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廃水浄化・排水規制に関わる法律

はじめに

 廃水を浄化した後の水(=処理水放流水排水)は、

その敷地内だけで完全に循環させることは難しいため、一般的には、河川や湖・沼・池や海などへ放流します。

放流水が、“かなり”あるいは“ひどく”あるいは“極端に”汚れていると、周辺の環境を悪化させます。

放流しても良い、とされる水質、つまり一定の「水質基準」がある、ということです。

したがって、

自然環境を保全するために、法令による取り締まり、つまり排水の水質規制があります


一方で、

汚濁原因物質の多くが、栄養素として、微生物を含むすべての生物によって再利用されています。

栄養素として利用されるということは、一定程度の汚濁原因物質は、自然環境には必要、ということでもあります。


ところで、

排水の水質を規制する法律は、

2つの法律「浄化槽法」と「水質汚濁防止法」)だけです。

しかし、

「制度」としては、

他のいろいろな法律、

建築基準法、下水道法、都市計画法、土地区画整理法、廃棄物処理法なども密接に関係しています。

 

このページでは、全体的な「制度」、「仕組み」について書いています。

 

※関連分野が広範囲のため、下の目次から、気になる項目をクリックしてご覧ください。
 ただし、
 少なからず関連性はありますので、
 可能であれば、読み返さず、最後まで一気に読み切ってみてください。

このページの目次です

 このウェブサイトでは、

排水規制の「仕組み」について、さまざまな視点から記載しています。

しかし、排水を規制する前提として

(1)廃水を浄化処理する目的は自然環境の保全にあること、

(2)ただし、自然環境では、あらゆる物質が循環していること、

   これに関連して、循環する中で、汚濁原因物質の多くが栄養素として、生物によって利用されていること、

   栄養素として利用されるということは、一定程度の汚濁原因物質は、自然環境に必要である、ということ、

   つまり、私たちにとっての汚水の浄化は、微生物たちにとっては、私たちの飲食と同じ作用、ということ、

   また、極少量で有害性を示す物質の一部は、生物種によって、栄養素や必須元素にもなり得る、ということ、

   有害物質によっては、自然界に普通に存在し、有害物質の環境循環は、自然現象のひとつであること、

(3)廃水を浄化処理する責任やその費用を負担する責任は、排出者にあること、

(4)排水規制の対象となる廃水を2つ(①し尿・生活雑排水および②事業廃水)に分類する必要があること、

   ①は、人が生活すれば必ず出る廃水です。自然環境では、人以外のすべての生物も、当然に排出するものです。

(5)廃水浄化処理施設の種類別特徴

   施設運営の実態(=作業現場の実務の考え方や現状)など

を十分に踏まえて考える必要があります

理由は、

目的や実務を理解しないで判断し、物事を推進してしまうと

高額な費用が掛かってしまう、

あるいは、

本来なら、する必要が無いあるいは社会的需要が無い事業の経済活動が正当化されてしまう、ことになるからです。

それが公共事業であれば、

貴重な税金が、必要な事業に使われることなく、将来の資産にもならず、無駄になっていることになります。

結果として、循環型社会あるいは経済活動など、

社会システムや人としての考え方にも矛盾が生じ、さまざまな悪影響や問題が発生してしまいます。

したがって、

どんな制度であっても、全て、仕組みというものが存在すれば、その仕組みの前提条件を考察することが大切です。

 人が住居を建て(=建築)、生活を始めると、

必ず「し尿(=糞と尿)、生活雑排水」を排出します。

生活雑排水については、高度に発達した人類だけが出す廃水です。

地球上では、

人に限らず、どんな生物でも、

生きているだけで、

し尿あるいは落ち葉など、新陳代謝に伴い、さまざまな廃棄物や廃水を排出し続けます。

自然界で排出された汚濁物質の濃度や量は、

自然環境が浄化する作用で、十分に処理できるレベルです。

自然界では、最終的に生物の寿命が来て(=人でいう死体)も、廃水と同じように、

微生物たちを基礎とする自然環境が「浄化」し、「循環」することで、自然環境が成立しています

つまり、私たちにとっての汚水の浄化作用は、微生物たちにとっては、飲食と同じ作用ということです。

したがって、

本来は、

人が排出するし尿や生活雑排水も、

生きているだけで必ず排出されるものなので、一定程度は、循環させるべきものです。

ほとんどの方が、このことには気づいていません。


ただし、循環させるとしても、

人の場合は、生活圏の規模に対して、人口密度が高過ぎるため、

あるいは、

1つしか無い地球に対して人口が多過ぎるため、

廃水をそのまま自然環境へ排出する前に、

効率良く、適正な程度まで、人工的に浄化しないと、自然環境を維持できない状態です。

事業廃水について
事業で出る廃水は、さまざまな業種があるため、業種が異なれば、汚れの原因物質が異なります。
ここでは、生物が生存すれば出る廃水、循環利用すべき処理水、余剰汚泥について記載していますので、
事業廃水ではなく、
し尿・生活雑排水を対象にしています。

しかし、事業廃水であっても、飲食物製造業など、原料が栄養素として利用された廃水の浄化処理水や余剰汚泥については、し尿・生活雑排水と同じように、処理水や余剰汚泥を再利用すべきです。
しかし、この場合でも、行政ではなく、事業者自身が、個別に再利用の検討をすべきです。

ところで、事業廃水の排水規制は、厳しくはありません
詳しくは、「水の浄化とは?」→「排水規制」をご覧ください。

なお、浄化処理水は、業種を問わず、「雑用水(中水、再利用水)」として、再利用すべきです。
し尿・生活雑排水と事業廃水の2つを分ける必要性は、後段に記載します。

 自然環境を維持できない状態を証明したのが、1950年代~1970年代頃です。

身近にあった小川が、硫化水素臭のする“ドブ川”と呼ばれる川になっていました。

汚れ成分が多いと、川で生息する(微)生物が、水に溶けている酸素を多量消費し、酸欠になります。

一般的に、溶存酸素濃度2mg/ℓを下回ると、川底では無酸素状態となるため、悪臭が漂い始めます。

硫化水素の発生です。
 

自然の浄化能力が限界を超え、汚濁が垂れ流しあるいは蓄積することで、公害という言葉が世間に定着した時代です。

その後、4大公害など、さまざまな公害の発生が全国的に明らかになり、

環境保全に関する法律が整備され、排水規制などで自然環境が少しづつ改善し、現在に至っている状態です。

つまり、

人間社会では、

①地球の自然環境の規模に比べて人口が増えすぎたため、

②法的規制で環境保全を強制し、

③効率良く、人工的に廃水を浄化処理しないと、

環境は保全できない、

したがって、

廃水を浄化処理する目的廃水浄化処理に関わる法律の目的は、

環境を保全するためです。

詳しくは、「水環境保全のための廃水浄化とは?」というページに記載します。

農・水産物の収量に大きく関わる大きな問題です。是非、ご覧ください。

※「公害」とは、
環境基本法(第2条第3項)の定義では、
「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。省略)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。」

 人は、生きているだけで廃水を出します。

小便・大便とこれを洗い流す水、あるいは、お風呂場・洗面所・流し台・その他の洗い場からの廃水です。

人は、他の生物と比べて人口がはるかに多く、さらに、文明が高度に発達していますので、

難分解(≒COD値に反映)、高濃度、かつ、多量の廃水を出します

したがって、他の動物とは別枠で考えられがちですが、

人や動物だけに限らず、

微生物から植物に至るまで、地球上の生物であれば、全て、生きている限り、必ず廃水を出し続けています

それらの廃水は、

自然環境中であれば、

栄養素として他の生物によって再利用され(=浄化作用)、地球環境が成り立っています

栄養素とは、摂取しないと生物が生存できなくなる物質です。

ただ、人の廃水は、難分解、高濃度、多量のため、そのまま放流すると、蓄積して公害を引き起こします。

したがって、蓄積しないよう、一定程度は、人工的に浄化処理してから放流する必要があります。

 

ところで、人工的に浄化処理した排水は、

すでに廃水(下水道法の用語では「汚水」)ではありませんので、

汚濁物質の一定程度は、同じように循環させて、

栄養素として、再利用すれば良いのですが、

現状は、

立派な循環すべき資源である処理水汚泥も、ほとんど再利用されていません。
 

 深く考えれば、

自然現象(さまざまな気象現象・地殻変動・風化作用など)として、

生物でなくても

地球上のさまざまな物質が、

水中で存在すれば水を汚す汚濁物質が、

地球の内外を循環しています。

 

廃水の浄化とは、

廃水の中から、さまざまな汚れの原因となる汚濁物質を除去することですが、

汚濁物質というもの

実は、

すべての元素や化合物質、

あるいは、

ビタミン・ミネラルを含む栄養素などの有益物質など、

水に溶解しない物質を含めて、全てのさまざまな物質、ということです。→参照:「水溶性物質と懸濁物質」

栄養素は、プランクトンなどの微生物から人に至るまで、生物が生存するためには必須の物質です。

したがって、汚濁原因物質であっても、

栄養素として

一定程度は自然環境を循環させる必要がある

あるいは、

循環させる際、

有害物質について、法律による排水規制の制度は有るものの、完全には除去しきれないのであれば、

一定程度は循環せざるを得ない、ということです。

※カドミウムや水銀の規制値の濃度変更が一例です。→「水道水の水質基準の変遷
 ただし、水質検査の測定精度が向上したことを考慮する必要もあります。
 なお、常温でもわずかに気化する水銀は、地球規模で循環しています(例として、次項に転載)。

※「水循環基本法」という法律が成立し、参議院法制局が概要を示しています。

なお、

難分解、高濃度、多量の廃水は、環境保全のため、人工的に効率よく汚濁物質を除去する必要がありますが、

さまざまな物質を人工的に除去する方法は、その物質によって異なります。
 

また、視点を変えて、

有害物質であっても、一定程度は、自然環境を循環せざるを得ない、ということになるのであれば、

循環してしまう有害物質について

人などの生物にとって、どの程度の濃度までが許容範囲とできるのかを

関係機関は、調査を継続し、広く一般に周知し、

国民は基礎知識として知っている必要がある、ということになります。

関連して、環境リスク評価リスクコミュニケーション予防原則、などの考え方があります。

 上述のように、一定程度は循環させる必要がある栄養素、

しかし、逆に、一定程度が循環せざるを得ない有害物質も存在する、ということです。

地球では有害物質とも隣り合わせにならざるをえない、というのが現実の自然の環境ということになります。

一例として、水銀の地球上での循環の概要を掲載いたします。

水銀は、常温で容易に気化するため、地球規模で循環しています。

有機水銀(主にメチル水銀)の蓄積が、水俣病の原因となったのは有名ですが、主な循環の形態は、無機水銀です。

また、

すべての生物について、さまざまな有害な物質を摂取した場合でも、

直ぐに、

身体や健康への危害が及ぶということではありません。

地球規模の水銀循環 環境省資料より

 水を汚した人、廃水を出す人は、廃水を浄化処理する責任があります。

また、どんな廃水であっても、

浄化処理する設備・施設を①設置・②維持管理・③更新する費用を負担する責任は、原則として、排出者にあります。

廃水による何らかの損害が発生した場合、責任を負う必要があります。

維持管理を委託していても、管理状態が適正にされているかどうか、という問題の責任も排出者側にあります。

したがって、

廃水排出者は、

費用がかかる話ですので、

浄化処理施設をどれにするのか、

維持管理方法をどのようにするのか、

法規制の範囲内で、選択する権利があります。

 ところで、

廃水、あるいは排水には、次のようなものがあります。

1、し尿(小便・大便)生活雑排水(お風呂・洗面所・流し台・その他洗い場からの廃水)

2、事業廃水(産出・生産・製造・加工などの事業活動や工事現場などから排出される廃水、主に洗浄廃水)

3、④降水などによって自然発生する排水、

などです。

降水による汚水流出は、降水の場所や量などにより、汚れの程度が大きく異なりますが、

人工的廃水に比べると、環境負荷はかなり小さいものと考えられています。

したがって、上記の内、法律の規制の対象になるのは、①②③です。④は、このページの対象にしていません。

※下水道法では、廃水(=①②③)のことを「汚水」と読み換えています。
※人工的廃水は、COD値を高くする傾向があります。

なお、①②は、人が生きているだけ(=生活するだけ)で必ず排出される廃水、です。
 

このページでは、①②を同じ分類として一括りにし、③を別の分類として一括りにして記述しています。

つまり、廃水を2種類に分けて記述しています。

③の「事業廃水」の排水規制は、別のページに記載しますので、誘導リンクをクリックしてご覧下さい。

 廃水を2種類に分ける理由は、

「廃水」そのもの、あるいは「廃水を浄化処理するための施設」について、

公共施設であれば、所有・維持管理・施設の更新は、行政の管轄ですので、税金をつぎ込む妥当性があります。

しかし、事業廃水の場合は、税金をつぎ込む妥当性はありません。

したがって、

「公共性の有無」について考える必要があるということです。
 

し尿・生活雑排水は、全ての人が、生きている限り、排出するものですが、

環境を保全するため、基本的には排出した者が自己責任で、浄化処理する必要があります。

ただし、団地などの浄化処理施設、“共同の”「浄化槽」あるいは「下水道」(=大型浄化槽公共性があります

公共性が高い施設を個人や企業が所有して維持管理するのが良いか否か、行政が管轄すべきか、という問題です。

事業廃水は、その事業に従事し利益を得る人だけが排出し、事業生産物も、全ての人が利用するとは限りません。

事業廃水は、利潤追求の結果排出されるものですので、基本的には、公共性がありません。

事業廃水を浄化処理する施設も同じです。

事業廃水に関しては、税金をつぎ込むようなことは、基本的には出来ないはずです。
 

ところで、確認になりますが、

個人が設置・所有する合併浄化槽は、個人所有の住居と同じように、基本的には、公共性はありません

 どんな廃水でも、

有害物質や難分解物質が含まれているために浄化できない場合を除けば、

廃水を排出した地点で浄化処理するのが、最善です。

 廃水を浄化処理する設備・施設は、浄化槽、公共下水道、自前の浄化処理施設の3つです。

し尿・生活雑排水は、現行法では、浄化槽か公共下水道でしか処理できません。

事業場廃水は、費用対効果を考えれば、自前の浄化処理施設で処理すべきですが、

法律上、税金が投入される公共下水道に接続することが可能になっている状態です。

 費用対効果だけでなく、考えられる限りの検討を重ねても、

廃水は、都市部を除き、出した場所で浄化処理して、自然界へ戻してあげることが原則です。

公共事業の場合、最適なプランと比べて数倍から十数倍の出費になる実例が多くあります。

具体的な例が、都市ではない田舎での公共下水道事業です。

いまだに計画中、あるいは推進中の公共下水道事業計画地域は、ほとんど都市ではなく田舎です。

下水道は、大規模公共事業なので、

これを推進する法律「下水道法」の規定では、基本的な対象地域都市としています。

本来は、田舎での事業展開を想定していません。

したがって、田舎での公共下水道事業の運営実態を調べると、驚くべき不採算事業になっています。

実態を調べる方法はこちら(大型浄化槽と公共下水道の比較の例)を参考にしてください。

※公共下水道事業の費用(資本あるいは資産)の概略

下水道の政策目的は環境保全なので、本来必要な機能は、浄化槽や事業所の廃水処理施設と同じです。

環境を保全するために必要な施設は、本来は、廃水を浄化処理するための施設だけということです。したがって、廃水を浄化処理施設まで移送する配管が、少なければ少ないほど、下水道事業全体のコストが安く済むことになります。つまり、住居が密集しているほど、配管の割合が少なくなるため、効率的になります。同じように、浄化槽や事業所の廃水処理施設は、廃水排出地点で浄化するため、効率が良いのです。なぜ、配管埋設工事費用を取り上げるかというと、工事費用が水道配管と比べると2~3倍以上かかるからです。

廃水を移送する配管は、圧送されている水道配管(=蛇口をひねれば水が出てくる状態)と違って、自然流下ですので、勾配を設けて配管を埋設しないと廃水が流れません。したがって、少しづつ深く掘削していく必要があること、制限なく深く掘れませんので、途中でポンプアップ施設を設ける必要があること、配管が道路下に埋設されるため数十年単位で陥没する可能性を回避する必要があることなど、配管埋設工事費用が公共下水道事業費全体の中で占める割合は、都市地域を離れてからは、田舎に行けば行くほど、増えていくことになります。田舎の公共下水道事業の場合、環境を保全するために必要な廃水浄化処理施設の費用に対して、7割あるいは8割位は廃水移送に関連する費用になっているはずです。詳しくは、公共下水道事業決算報告書を確認する必要があります。
 

 ところで、都市とは

総務省統計局 国勢調査 都道府県別 人口集中地区境界図(更新日2022年3月25日)が、参考になります。

「人口集中地区の人口は8829万人で、総人口の70.0%、その面積は国土の3.5%」という記載があります。

※都市について
 都市の定義はありません。したがって、人口集中地区境界図は、参考資料となります。
 都市計画法の対象地域は、第5条で、知事もしくは国土交通大臣が指定すること、としています。
 問題は、人口密度が低い地域で、税金を財源に、大規模公共事業を実施すべきか否か、にあります。
 ちなみに、ウェブサイト「人口集中地区に関するQ&A」によると、
 人口集中地区に法的根拠は無く、原則として、次の地域としています。
 1,人口密度が1平方km当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、
 2,それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有する地域。

 なお、総務省統計局は、「都市的地域」の特質を明らかにする新しい統計上の地域単位として
 人口集中地区の国勢調査結果を集計しており、都市計画地域開発計画市街地再開発計画
 産業立地計画交通計画環境衛生対策、防犯・防災対策、その他各種行政施策、 
 学術研究及び民間の市場調査などに広く利用されている。としています。

 

ご覧いただくと、福岡、大阪、名古屋、東京首都圏、あるいは都道府県庁所在地など以外は、

日本のほとんどが、田舎だと理解できます。

現状の問題点をストレートに記述しますと、

都市ではなく“地方で”、今なお推進されている公共下水道事業は、

人件費よりも資材費や設備費にかかる費用割合が高過ぎるため、

可処分所得を増やして多くの方の購買力を高めることになり難いため、

経済波及効果が低いだけでなく、

公共事業は、本来は、将来の資産を増やす為の投資であるはずですが、

逆に、

将来の負の遺産(=施設の更新時期が来た時、実際の更新費用が高すぎて更新できないレベル)を増やす状況です。

詳しくは、後段の「公共施設等総合管理計画」(=公共施設再配置計画)に記載します。

 

環境保全が目的であるなら、

田舎では合併浄化槽を設置し、事業廃水は自前の浄化処理施設を設置する方が、はるかに効率が良く、

歳出の対象として、人件費の割合が高いため、

地域への経済波及効果も高い、というのが実情です。

 建築基準法の目的は、

建築基準法第1条に記載されています。

「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図」ること

です。


ところで、先述のように、このページでは廃水を2つに分類して記載することにしましたので、

これ以降は、すべて、し尿・生活雑排水を対象にして記載します。

事業廃水については、別のページ(「水の浄化とは?」 排水規制など)に記載することにします。

なお、事業場からも、必ず、し尿・生活雑排水が排出されますが、

し尿・生活雑排水は、当然、事業廃水には含まれません。

し尿・生活雑排水は、

例外を除き、浄化槽法に定義される浄化槽か、下水道法に定義される下水道でのみ、浄化できます。

 建築物を建てる場合、建築基準法に従う必要があります。

建築基準法では、第31条に、し尿・生活雑排水の処理設備に関する規制が有ります。

なお、建築基準法31条についての詳細は、別のページに記載しました。次にリンクを貼り付けました。

ただし、少し視点を変えて記載していますので、このページを読み終えてからご覧ください。

 人が生きていくためには、衣・食(飲食物)・住(住居・家・建築物)が必須です。

人が生活すれば必ず「し尿・生活雑排水」が出ますので、

これを浄化処理する設備は、

家を建てる計画段階で、設計図に書き入れる必要があります。

家を建て、飲食すれば食器の洗浄、排せつ物の処理、衣類の洗濯や歯磨きや体を洗う必要もあり、廃水が出ます。

したがって、建築する家に、廃水浄化設備を備え付けなければならないのは、当然です。

※規制対象になるのは、「建築物」に該当する場合です。
建築基準法第2条第1号に建築物が定義されています。
「建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び若しくはを有するもの(これに類する構造のものを含む。)(以下省略)」
 

これらの廃水は、「建築設備」(=「建築基準法」第2条第3号の定義)で浄化するように法律で規制されています。

行政(国)が、環境を保全する目的で、排水を浄化処理するための「建築設備」を設置することを義務付けています。

具体的には建築基準法第31条に規定があり、

法律の規定に従えば、

下水道(=「下水道法」)、もしくは浄化槽(=「浄化槽法」)のいずれかを

住宅建築主が建築設計段階で選択しなければなりません。

※公共下水道を整備するかしないか
公共下水道の整備計画は、地方公共団体(市町村)の裁量権に任されています(→裁判例)
下水道事業を規定するのが「下水道法」です。
「下水道法」は、田舎ではなく都市(=土地面積約3.5%)を対象にした法律で、都市の一応の目安は、5年に一度実施される国勢調査の「人口集中地区境界図」が参考になります。

下水道が整備されている地区に家を建築する場合、環境を保全する目的で、建築主は、下水道と浄化槽のいずれかを選択し、下水道が整備されていなければ、浄化槽を設置する必要があります。

「浄化槽」は、家を建築できる場所であれば、建築基準法も、浄化槽法上も、家の建築設備として、その敷地内のどこにでも設置することが出来る設備です
 

建築主(≒設計事務所)は、

建てようとする建築物が「建築基準法」に適合していることを確認するため、建築確認申請をし、

確認済み証が出て、初めて建築できることになります。

建築確認済み証が無いまま建築すると、適法な建築物ではない、ということになります。

 環境保全を目的として、

し尿・生活雑排水という廃水を浄化処理するために、

建築物(住宅など)を建築する際、

便所などの「建築設備」を取り付けさせる規制が、「建築基準法」(第31条)で規定されており、

廃水を浄化した水を河川などへ放流する時の水質の規制が、「浄化槽法」や「水質汚濁防止法」で規定されている、

という法律による仕組みが、出来上がっているのです。

 田舎であれば、広い土地が手に入りやすいため、家などの建築物を建てやすい、と考えられるかもしれません。

しかし、法律による土地の利用規制があり、

「市街化調整区域」では基本的に不可能など、まったくの自由には、家を建てられない仕組みになっています。

※「地目」と「農地」と「宅地」の関係について
「地目」とは、不動産登記法により、土地を客観的に判別した“現況としての”土地の用途のことです。
「農地」とは、「農地法」により定義されており、耕作の目的に供される土地のことです。
「農地法」上の「農地」を農地以外に利用するには制限があります。
「農地」転用を制限するのは、「農業振興地域の整備に関する法律」(略称「農振法」)と農地法です。

さらに、

一定の土地を造成して作られる住宅団地や、駅周辺に広がっていくような住宅密集地などは、

もはや街(まち)あるいは都市と呼べるような規模になりますので、一定の秩序が必要になります。

したがって、土地の造成を計画する業者に対しては、社会インフラ(≒公共施設)などを整備することを条件に、

造成工事を許可する仕組みになっています。

過去には、街を勝手に造成したり、広げたりして、廃水処理など、社会インフラ整備に支障をきたしました。

そこで、一定規模以上の自然環境を造成する場合、「都市計画法」という法律で、規制をする仕組みになっています。

※「地域」「区域」など、法令による指定制度について
まず、「都市計画区域」があります。
都市計画区域以外には、「準都市計画区域」があります。
都市計画区域には、
市街化調整区域市街化区域特定用途制限地域、定めのない白地の地域(「白地地域」)があります。
白地地域であっても、特例の規制があったり、条例による規制があったりしますので、確認が必要です。
 

一定規模の開発行為については、下表「開発許可制度概要」に面積を記載しました。

一定地域の社会インフラを“再”整備する必要がある場合、
関係する法律が
後述する「土地区画整理法」です。
法律の目的などは、都市計画法と同じようになります。
都市計画法は、土地を造成する前に社会インフラなどを整備する規制を定めた法律、
土地区画整理法は、造成が進んだ地域の社会インフラを“再度”整備する場合の規制を定めた法律です。


「都市計画法」については、街づくりの法律ですので、簡単にまとめて解説することはできません。

そこで、

比較的わかり易い「みんなで進めるまちづくりの話」(国交省)のリンクを貼り付けましたので、ご覧ください。

なお、

「都市計画法」の概要(国土交通省)、

都市計画法の区域区分

市街化区域(13種類の用途地域)、

※市街化区域の農地については、時の経過や「生産緑地法」「都市農業振興基本法」などにより、評価・考え方が大きく変わりました。
詳しくは、こちら「SDGs対応型浄化槽 都市での農業」をご覧ください。

一定規模の造成(開発行為)の規制一覧、を以下に掲示しました。

「都市計画法」の概要
都市計画法の区域区分

非線引き区域は、市街化調整区域と異なり、住宅建築が可能ですが、用途指定の有無を確認する必要があります。

非線引き区域は、市街化区域と同じく、市街化の対象で、法律上、区域区分が定められていない都市計画区域です。

市街化区域の農地については、生産緑地法に基づく(特定)生産緑地という制度が有り、農業振興の対象です。

クリックすると画像が拡大します

市街化区域(13種類の用途地域
開発許可制度概要

 田舎であっても、

かなり広い土地を造成して作られた団地は、もはや街や都市と同じようなものです。

都市ともなれば、普通に生活するために必要な社会インフラや公共施設、

例えば、歩道や道路・街灯・交通標識・緑地帯・公園・貯水池・排水路・し尿や生活排水を浄化処理する浄化槽など、

個人ではできそうにない公共施設を整備する必要があります。

※都市計画法では、類似した用語の「都市施設」と「公共施設」を分けて定義付けしていますが、
重複している場合があります。下水道という法律用語は、両方の定義に当てはまり、重複しています。

 

これらの公共施設を整備するのは、本来は、行政の仕事(事務処理)です。

行政としては、

過去、好き勝手に整備されて困った歴史があるため、

都市計画法という法律で、

土地を造成する工事(≒開発行為)に法令を使って決まりを作り、

実際に土地を造成する事業者に対して、さまざまな規制をしているのです。

都市計画法は、

すべての開発行為について、

開発事業者に対して、法令の基準に従って、さまざまな公共施設を整備させる法律である、ということです。

 「開発行為」とは土地の区画形質の変更をいう。」(「都市計画法」第四条第12項)

※土地の区画形質の変更とは?
「土地の区画形質の変更」について具体例は、条例で定義づけられている場合もありますが、
法令の条文としては、明確な定義は見当たりません。
一般論としては、以下3つのいづれかに該当すれば、開発行為と評価されます。
①土地の区画を形成する公共施設を新設・廃止・移動することにより、土地の「区画」を変更すること。
②盛り土・切り土などの造成により、土地の形状を変更すること。
③農地・山林などの宅地以外の土地を宅地に変更すること。

したがって、

開発業者が、法令に基づいて造成し、

宅地の上に建てられた複数の住宅と公道で構成されるような集合があれば、

所管が、都道府県あるいは市町村に関わらず、

基本的には、

その戸建て住宅団地は、その規模を問わず、「都市計画法」が適用される対象になります。

以下に、「都市計画法」の廃水処理施設に関係する個所を、抜粋して、掲載します。

「都市計画法」
(目的)
第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(都市計画の基本理念)
第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

(国、地方公共団体及び住民の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。

2 都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない。

3 国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。

(定義)
第四条 この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次章の規定従い定められたものをいう

2 この法律において「都市計画区域」とは次条の規定により指定された区域を、「準都市計画区域」とは第五条の二の規定により指定された区域をいう。

12 この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。

14 この法律において「公共施設」とは道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。

都市計画区域
第五条 都道府県は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる。

第二 都市計画
第一節 都市計画の内容
(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)
第六条の二 都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を定めるものとする。

(都市施設)
第十一条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。

一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設

二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地

三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設

四 河川、運河その他の水路

五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設

六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設

七 市場、と畜場又は火葬場

八 一団地の住宅施設(一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)

九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)

十 一団地の都市安全確保拠点施設(溢いつ水、湛たん水、津波、高潮その他の自然現象による災害が発生した場合における居住者等(居住者、来訪者又は滞在者をいう。以下同じ。)の安全を確保するための拠点となる一団地の特定公益的施設(避難場所の提供、生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供その他の当該災害が発生した場合における居住者等の安全を確保するために必要な機能を有する集会施設、購買施設、医療施設その他の施設をいう。第四項第一号において同じ。)及び公共施設をいう。)

「都市計画法施行令」
(公共施設)
第一条の二 法第四条第十四項の政令で定める公共の用に供する施設は、下水道、緑地、広場、河川、運河、水路及び消防の用に供する貯水施設とする。

 公共施設とは何か?その所有者は誰か?(地方自治法第244条)など、

法令は、細かく規定しています。

法令を詳しく調べる限り、矛盾した条文は見当たりませんので、問題は起きないはずです。

地方公共団体は、法令に基づいて事務(=全ての業務)を処理しなければなりません(「地方自治法」)ので、

当然のこととして、法令通りの行政運営をしている地方公共団体は実在しますが、

そうではないケースが多いのも実情です。

法令通りの行政運営でない場合、本来は、該当する条文を確認する必要がありますが、

担当部署がまたがっているなどの理由で、十分な確認や理解が出来ていないケースです。

あり得ない話ですが、該当する法令と条文規定が、そもそも特定できていないケースが推定されます。

※公共施設とは、法令の定義では「公の施設」となります。
地方公共団体が、責任を持って、費用を支出して、設置するものである、という規定でもあります。
以下が、該当する条文です。
「地方自治法」
第十章 公の施設
(公の施設)
第244条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

 公共施設とは、都市計画法では、

道路、公園(都市計画法第4条第14項)、

および、

下水道、緑地、広場、河川、運河、水路及び消防の用に供する貯水施設(都市計画法施行令第1条の2)です。

※「下水道」の定義は、下水道法第2条第2号にだけ明文化されています。
※この条文中の「屎尿浄化槽」とは、合併処理浄化槽ではなく単独処理浄化槽のことです。
 都市計画法は、し尿のみの処理でなく、生活雑排水も処理する「浄化槽」を許可対象にしています。
※「下水道」の定義は、都市計画法、土地区画整理法、関連する法令には、規定されていません。

「下水道法」
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

二 下水道 下水を排除するために設けられる排水管、排水渠きよその他の排水施設(かんがい排水施 設を除く。)、これに接続して下水を処理するために設けられる処理施設(屎尿浄化槽を除く。)又はこれらの施設を補完するために設けられるポンプ施設、貯留施設その他の施設の総体をいう。

※「下水道法」、「建築基準法」、「都市計画法」、「土地区画整理法」の所管は、国土交通省です。
 「下水道」の意味(=用語の定義)は、法律が異なっても、混乱しないように、同じ意味です。
 

開発地域が田舎であるなどの理由で、

造成する地域に公共下水道が整備されていない場合は、

仕方がありませんので、下水道の替わりに(大型)

「浄化槽法」の規定に従って、浄化槽を整備し、法律上の下水道とせざるを得ません

「浄化槽法」
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 浄化槽 便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道(以下「終末処理下水道」という。)以外に放流するための設備又は施設であつて、同法に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第六条第一項の規定により定められた計画に従つて市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。

(浄化槽によるし尿処理等)
第三条 何人も、終末処理下水道又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条に基づくし尿処理施設で処理する場合を除き、浄化槽で処理した後でなければ、し尿を公共用水域等に放流してはならない

2 何人も、浄化槽で処理した後でなければ、浄化槽をし尿の処理のために使用する者が排出する雑排水を公共用水域等に放流してはならない。

※浄化槽は公共施設ではない?
都市計画法に基づく都市計画法施行令では、
開発された地域に設置しなければならない公共共施設として、「下水道」を規定しています。
しかし、都市計画法の関連法令で「下水道」とはどういうものか?を定義していません。
したがって、下水道法第2条第2号の下水道の定義に照らし合わせ、
(大型)浄化槽は、下水道と同等のものとして、公共施設とされます。
もし、
(大型)浄化槽が、
都市計画法で規定する下水道に該当しない、もしくは下水道に代替する施設ではない、
あるいは、
都市計画法では、下水道が公共施設であるとされていても、
下水道ではなく大型浄化槽が設置された場合は、公共施設とは認められない、というのであれば、
そもそも、街あるいは都市には必要とされる公共施設を完備できないような開発計画は、
都市計画法の規定に従えば、許可されないはずです。

なお、都市計画法では、街あるいは都市で、人が生活すれば当然、し尿・雑排水が排出されることから、
下水道(都市計画法施行令第1条の2)も公共施設のひとつであるとし、明文化して、規定しています。
田舎の場合、通常、都市ではなく下水道整備計画の対象地域ではありませんので、浄化槽を設置します。さらに、田舎では、都市化できる地域が限定されますので、
通常は、その地域に居住する住民の数を算定基礎として、浄化槽の人槽とします。
ただし、近くに都市化できる地域の想定があれば、
事前協議(都市計画法第32条第2項)という制度が有りますので、
将来公共施設になる浄化槽を設置する場合、
移管を受ける地方公共団体が、開発事業者に対し、人槽を増やして浄化槽を設置させることは可能です。
したがって、
都市計画法の規定に基づいて設置された大型浄化槽について、
浄化槽は下水道とは異り、公共施設には該当しない、という理由は見当たりません
参考までに、都市計画法で設置された大型浄化槽は、
一般的に、分譲を完売したとしても、浄化処理性能の半分程度~7割程度の稼働で留まるのが実情です。
また、浄化処理の考え方が進歩していますので、
水槽容積が十分であれば、管理方法次第で、放流水の水質も改善できる時代になっています。
(下記「大型浄化槽の放流水の水質の例」をご覧ください。)
 

「都市計画法」
(公共施設の管理者の同意等)
第三十二条 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

2 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。

3 前二項に規定する公共施設の管理者又は公共施設を管理することとなる者は、公共施設の適切な管理を確保する観点から、前二項の協議を行うものとする。
 

都市計画法には、上記のような明文規定が有るため、

開発許可で造成された団地に設置された生活排水やし尿を浄化する大型浄化槽は公共施設、とせざるを得ません。

この場合、

都市計画法の第39条の明文規定に従って、市町村へ所有権を「移管」する手続きをする必要があります

※大型浄化槽という公共施設の設置・建設工事の費用の負担者について
開発行為で設置される大型浄化槽(あるいは、その他公共施設)の設置・建設工事費用は、
住居購入者が、住むために必要な施設として費用負担していますが、市町村への移管が前提です。
つまり、
「移管」とは言うものの、
市町村は、
税金を新たに収めてくれることになる新たな移住者(≒お客さま)から、
各種公共施設という「資産」の工事費用も、市町村が出費することなく、完成された状態で、
譲渡されることになります。
しかも、費用対効果の悪い、
かつ、資産にならない公共下水道【参照:公共施設等総合管理計画(=公共施設再配置計画)】でなく、
維持管理費が下水道の数分の一から十数分の一で済む、
言い換えると、地方公共団体にとっては、収益を得られる立派な資産の譲渡を受けることになります。

ただし、

都市計画法で公共施設と定義される(大型)浄化槽ですが、

市町村への移管が完了(地方公共団体の資産台帳に記載)していなければ公共施設ではありません

移管していない場合、移管したいという意思表示を市町村に示して、移管の交渉をする必要があります

移管を拒否されたり、

移管の前提に、おかしな条件を付けられたりする場合は、

先ずは、「都市計画区域に該当するのか否か。」を市町村に確認する必要があります。

「該当しない」という回答であれば、

「では、どんな法令に基づいて、開発行為を許可されたのでしょうか。」

「開発業者は、法令に基づかず、勝手に造成し、

私たちの住宅団地は、違法性のある宅地に行政が建築許可を出し、建築されたのでしょうか。」

と問合せをどんどん進めます。

「該当する」という回答であるにもかかわらず、移管を拒否される場合には、

法令の趣旨に反していますので、

詳しい事情を聞き取る必要があります。

※移管が完了していないケースとは?
後述する都市計画法39条但書(ただしがき)の場合が該当します。
但書に従って行われた協議書が、移管手続きの障害になっている可能性があります。
この場合、まず、協議書の有無の確認が必要です。
協議書が無ければ、移管について、法令上の障害は何もありません。
協議書があった場合、ただしがきの規定にある
「管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属する」部分が、
当事者なのか、部外者(=第三者)なのか、確認が必要です。
部外者による定めであれば、法的効力はありません。
当事者同士の定めであったとしても、
但書の条文にあるように、
ただ単に、「公共施設の適切な管理を確保するためにした協議」ですので、
適切な管理が確保できていれば、
法令の趣旨に従って、
居住者側は、地方公共団体に移管の意思を伝え、
地方公共団体は、移管の手続きを完了する責任があります。
先述の通り、
公務員の事務手続き(=全ての業務)は、各種法令や規則などに従う必要があります。
したがって、
移管を禁止する法令や規則はありませんので、
まずは、①移管したい旨の意思表示と②法令の根拠を示す必要があります

なお、「都市計画法」に伴うさまざまな協議書や契約書を含む書類の保存については、
極めて重要な書類ですので、法定期間を超えて保存しているのが通常と考えられます。
 

以下に、上述の内容に関連する法律の条文を転載します。

条文中、「屎尿浄化槽」とは、合併処理浄化槽ではなく単独処理浄化槽です。

下水道法
(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

二 下水道 下水を排除するために設けられる排水管排水渠きよその他の排水施設(かんがい排水施設を除く。)、これに接続して下水を処理するために設けられる処理施設(屎尿浄化槽を除く。)又はこれらの施設を補完するために設けられるポンプ施設貯留施設その他の施設の総体をいう。

三 公共下水道 次のいずれかに該当する下水道をいう。
イ 主として市街地における下水を排除し、又は処理するために地方公共団体が管理する下水道で、終末処理場を有するもの又は流域下水道に接続するものであり、かつ、汚水を排除すべき排水施設の相当部分が暗渠きよである構造のもの
ロ 主として市街地における雨水のみを排除するために地方公共団体が管理する下水道で、河川その他の公共の水域若しくは海域に当該雨水を放流するもの又は流域下水道に接続するもの

四 流域下水道 次のいずれかに該当する下水道をいう。
イ 専ら地方公共団体が管理する下水道により排除される下水を受けて、これを排除し、及び処理するために地方公共団体が管理する下水道で、二以上の市町村の区域における下水を排除するものであり、かつ、終末処理場を有するもの
ロ 公共下水道(終末処理場を有するもの又は前号ロに該当するものに限る。)により排除される雨水のみを受けて、これを河川その他の公共の水域又は海域に放流するために地方公共団体が管理する下水道で、二以上の市町村の区域における雨水を排除するものであり、かつ、当該雨水の流量を調節するための施設を有するもの

「都市計画法」

(工事完了の検査)
第三十六条 開発許可を受けた者は、当該開発区域(開発区域を工区に分けたときは、工区)の全部について当該開発行為に関する工事(当該開発行為に関する工事のうち公共施設に関する部分については、当該公共施設に関する工事)を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、国土交通省令で定める様式の検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならない。

3 都道府県知事は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。この場合において、当該工事が津波災害特別警戒区域(津波防災地域づくりに関する法律第七十二条第一項の津波災害特別警戒区域をいう。以下この項において同じ。)内における同法第七十三条第一項に規定する特定開発行為(同条第四項各号に掲げる行為を除く。)に係るものであり、かつ、当該工事の完了後において当該工事に係る同条第四項第一号に規定する開発区域(津波災害特別警戒区域内のものに限る。)に地盤面の高さが同法第五十三条第二項に規定する基準水位以上である土地の区域があるときは、その区域を併せて公告しなければならない。

(開発行為等により設置された公共施設の管理)
第三十九条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は第三十六条第三項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第三十二条第二項の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。

第三十二条第二項の協議とは、(公共施設の管理者の同意等)を定めた条文です。
第三十二条 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
2 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。
3 前二項に規定する公共施設の管理者又は公共施設を管理することとなる者は、公共施設の適切な管理を確保する観点から、前二項の協議を行うものとする。

(公共施設の用に供する土地の帰属)
第四十条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第三十六条第三項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする

2 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び開発許可を受けた者が自ら管理するものを除き、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者(その者が地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(以下単に「第一号法定受託事務」という。)として当該公共施設を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するものとする。

3 市街化区域内における都市計画施設である幹線街路その他の主要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地が前項の規定により国又は地方公共団体に帰属することとなる場合においては、当該帰属に伴う費用の負担について第三十二条第二項の協議において別段の定めをした場合を除き、従前の所有者(第三十六条第三項の公告の日において当該土地を所有していた者をいう。)は、国又は地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、当該土地の取得に要すべき費用の額の全部又は一部を負担すべきことを求めることができる。

「都市計画法施行規則」

(工事完了公告)
第三十一条 法第三十六条第三項に規定する工事の完了の公告は、開発行為に関する工事を完了した場合にあつては開発区域又は工区に含まれる地域の名称並びに開発許可を受けた者の住所及び氏名を明示して、開発行為に関する工事のうち公共施設に関する工事を完了した場合にあつては開発区域又は工区に含まれる地域の名称、公共施設の種類、位置及び区域並びに開発許可を受けた者の住所及び氏名を明示して、都道府県知事の定める方法で行なうものとする。


したがって、上述の大型浄化槽は、その場所を管轄する地方公共団体(市町村)に移管する必要があります

 「開発許可で造成された団地」の項目で記載しましたように、

都市においては、公共施設が必要不可欠です。

ただし、大規模な公共施設の整備を個人にさせることは不可能ですので、

開発事業者と、

団地完成後に公共施設の所有者あるいは管理者となる地方公共団体に対して、

それらの公共施設を問題なく整備し、維持管理させるため、

造成工事に入る前(=開発行為の申請前)に、

事前協議させる仕組みを規定(都市計画法32条)したり、

団地完成後、公共施設を地方公共団体に移管する手続きについて規定(都市計画法40条)したり、

各公共施設の基準(構造・性能・施工方法など)についての細かな規制や規定が条文化されていたり、

します。

なお、平成12年4月のいわゆる地方分権一括法の施行に伴い、

開発許可に関する事務については、自治事務として整理されましたが、

必要な基本的事務手続き(=公務員のすべての仕事、いろいろな事項が、法律で細かく規定されています

このページでは、法律で規定されている内容を、行政の解説書を交えるなどして、出来るだけ正確にお伝えします。

また、

都市計画法について、具体的運用の解説書として、都道府県が「開発許可制度事務ハンドブック」を出版しています。

 都市計画法の解説書として、各都道府県から「開発許可制度事務ハンドブック」が出版されています。

以下は、三重県の「開発許可制度事務ハンドブック」に記載された内容を抜粋して記載しています。

※「開発許可制度事務ハンドブック」は、出版年次により、記載内容が異なる場合があります。

都市計画法第39条40条についてのみ、抜粋しています。

〔解説〕の部分は、(都道府)県の考え方を示しています。

開発行為等により設置された公共施設の管理(法第39条)

(開発行為等により設置された公共施設の管理)

法 第39条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、第36条第3項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第32条第2項の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。

〔解説〕

開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事によって設置された公共施設の管理権の帰属について規定したものである。すなわち、本法では、開発行為を行う場合に、都市計画上、災害の防止上、環境の整備上の観点等から、道路、公園、排水施設の整備を義務づけたことと関連して、設置された公共施設が事業の施行後においても適正に管理されることを確保するため、設置された公共施設の管理は、原則として、地元市町において引き継ぐべきことを規定したものである。

(1) 第29条の許可を受けて施行する開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の管理は、

  第36条第3項の工事完了の公告の日の翌日において、原則として、地元市町に引き継がれるものとされる。

  ア  本条で「開発行為に関する工事」とあるのは、開発行為を行う場合は、

    一般的に開発区域外の幹線道路との接続道路等の工事を同時に行うことが少なくなく、

    これが開発区域で行う開発行為に含まれない場合があるからである。

  イ  「他の法律に基づく管理者が別にあるとき」とは、道路法、河川法等のいわゆる公物管理法の規定に基づき、

    公共施設についての管理者が当然に定まる場合である。

  ウ  「第32条第2項の協議により管理者について別段の定めをしたとき」とは、

    市町との協議の結果、開発許可を受けた者が自ら管理する場合等が考えられるが、

    本条の規定がおかれた趣旨を考えれば、極力市町がその管理をすることが望ましい。

(2) 第32条第2項の規定は、当然には協議が整うことを必要としていないと解されるが、市町の協議が整わない場合、

  開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の管理権はどこに帰属するかという問題が生ずる。

  法律的には、このような場合であっても、管理者について別段の定めをしない限り市町が管理することとなる

  もっとも本条は、このように原則的な管理者として市町を規定しているものの、

  実質的には、管理者が協議に応じてくれなければ、円滑に管理を引き継ぐことは実際には困難であろうし、

  多くの問題が生ずることとなるおそれがあるので、事前にできる限り十分協議を整えておくことが望ましい。

   やむを得ない事情により当該公共施設の全部又は一部の管理を開発者に行わせる場合には、

  当該公共施設用地の所有権の移転登記を行って帰属を受けた後、

  別途期間を定めて当該公共施設に関する管理委託契約を締結する等の措置を講ずることが必要である。

  例えば市道認定基準に該当しない道路等公物管理法による管理になじまない公共施設についても、

  当該公共施設用地の帰属のみは受け、所有権に基づく管理権の所在を明確にした上で、

  後日の係争防止に努めることが必要である。

 

(3) 本条による管理権は、道路法、河川法その他の所謂公物管理法に基づく場合の管理権とは異なり、

  その実質は、所有権等の権原に基づく管理権と同様である。

  従って、(例えば)道路法に基づく道路となるためには、別に同法による指定、認定等の行為を必要とする。

公共施設の用に供する土地の帰属(法第40条)
 
(公共施設の用に供する土地の帰属)
 
第40条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第36条第3項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする
 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び開発許可を受けた者が自ら管理するものを除き、第36条第3項の公告の日の翌日において、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者(その者が地方自治法第2条第9項第一号に規定する第一号法定受託事務(以下単に「第一号法定受託事務」という。)として当該公共施設を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するものとする。
 市街化区域内における都市計画施設である幹線街路その他の主要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地が前項の規定により国又は地方公共団体に帰属することとなる場合においては、当該帰属に伴う費用の負担について第32条第2項の協議において別段の定めをした場合を除き、従前の所有者(第36条第3項の公告の日において当該土地を所有していた者をいう。)は、国又は地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、当該土地の取得に要すべき費用の額の全部又は一部を負担すべきことを求めることができる。
(法第40条第3項の政令で定める主要な公共施設等)
 
第32条 法第40条第3項の主要な公共施設で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
 都市計画施設である幅員12m以上の道路、公園、緑地、広場、下水道(管渠を除く。)、運河及び水路
 河川
第33条 法第40条第3項の規定により国又は地方公共団体に対し費用の負担の協議を求めようとする者は、法第36条第3項の規定による公告の日から起算して3月以内に、国土交通省令で定める書類を国又は当該地方公共団体に提出しなければならない。
則第33条 法第33条の国土交通省令で定める書類は、次に掲げる事項を記載した書類、費用の負担を求めようとする者が法第36条第3項に規定する公告の日において当該費用の負担に係る土地を所有していたことを証する書類並びに当該土地の位置及び区域を明示する図面とする。
 費用の負担を求めようとする者の住所及び氏名
 負担を求めようとする額
 費用の負担を求めようとする土地の法第36条第3項に規定する公告の日における所在、地番、地目及び面積
 費用の負担を求めようとする土地の取得に要すべき費用の額及びその積算の基礎
 
〔解説〕
 
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する事によって設置された公共施設の用に供する土地の帰属について規定したものである。
 
(1)  第1項は、従前の公共施設を廃止してそれに代わる新たな公共施設を設置する場合の土地の交換についての規定である。開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により従前の公共施設が廃止される場合には、その公共施設の用に供されていた土地は、その他の土地やあるいは建築物等と同様に開発許可を受けた者が買収する等により必要な権原を取得すべきものであるが、本法が道路、排水施設等の公共施設を整備する義務を課したことと関連して、代替的な機能を有する公共施設が設置される場合には、その土地と従前の公共施設の用に供する土地とが第36条第3項の公告の日の翌日において当然に交換されるものとして整理することが事務処理のうえで便宜であると考えられるので、国有財産法及び地方公共団体の財産の処分に関する法令についての特例を定めたものである。
 「開発行為に関する工事」については、第39条の解説を参照されたい。
 「従前の公共施設に代えて」とは、従前の公共施設の機能に代わる公共施設という趣旨であって、その構造、規模等が同一であることを要せず、従前の公共施設が複数であって、それらを単一の公共施設にまとめて整備する場合も含まれる。また、必ずしも新旧が等価であることを要しない。
 本項は、従前の公共施設の用に供する土地が国又は地方公共団体の所有に係る場合についてのみ適用される。その敷地が民有である場合を除外したのは、公共施設の用に供する土地は、原則として、国又は地方公共団体が所有することが望ましく、従って、開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により新設される公共施設の敷地についても、当然に民有地とすることが望ましくない以上、従前の民有地である敷地については、本則にかえり、開発許可を受けた者が買収する等により必要な権原を取得すべきものと考えられるからである。

 都市計画法や土地区画整理法も、何が公共施設であるか、という公共施設の定義に違いはありません。

したがって、下水道が整備されていない地区で、2つの法律に従って設置された“共同の”(大型)浄化槽について

先述のように、2つの法律の定義によると、施設を呼称する際の用語としては、「下水道」になりますが、

重要なことは、この施設は、

浄化槽法では、浄化槽(「公共下水道以外に放流するための設備又は施設」:浄化槽法第2条)であり

施設の定義としては、公共施設である、ということです。

流総計画は、都道府県単位などの広域について、

各市町村が、法律規定に基づいて事務処理をしているかどうかは別にして、

手続き上は適正な処理をして、5年毎に計画した下水道事業計画を積算して、まとめ上げられた計画なので、

市町村によっては、この事業計画の推進は絶対的に推進すべき事業、という考え方が普通になっています。

しかし、何事も法律規定などのルールに従って進めていくことが大事です。

法令を順守しないと、

後で、大きな矛盾と混乱を生じてしまいます

都市計画法や土地区画整理事業で設置された共同の浄化槽が、公共施設である事実は変更できません。

公共施設であるかどうかを地方公共団体の資産台帳に記載されているか否か、で判断するのは、あまりにも愚かです。

公共施設の移管が問題になっている場合、

都市計画法や土地区画整理法に基づく開発の段階で、地方公共団体の計画案に問題があったと、考えるべきです。

公共施設が完成しているのであれば、法の趣旨に従って、直ぐに移管手続きをする必要があります。

 一定地域の社会インフラ、公共施設を再整備する必要がある場合、関係する法律が「土地区画整理法」です。

都市計画法は、土地を造成する前に、前もって社会インフラなどを整備する規制を定めた法律、

「土地区画整理法」は、土地を造成した後で、社会インフラなどを再度整備する場合の法律、となります。

事例としては、災害後の復興計画、駅前などの繁華街の整備計画、などさまざまです。

 概要は、国土交通省のウェブサイトをご覧ください。

土地区画整理事業の実績を下表に掲載しましたが、

事業は、旧都市計画法に基づいていたり、事業主体がさまざまであったりします。

既に完了した土地区画整理事業の権利・義務関係などを見直す場合は、過去の資料を確認する必要があります。

土地区画整理事業の実績(公益社団法人 街づくり区画整理協会より 平成29年度末時点)

 土地区画整理法の公共施設とは、

道路、公園、広場、河川(土地区画整理法第2条第5項)、

運河、船だまり、水路、堤防、護岸、公共物揚場及び緑地(土地区画整理法施行令第67条)、さらに、

下水道(土地区画整理法施行令第58条第16号)なども規定されています。

公共施設(施設の性格から判断すべき)であれば、地方公共団体への移管の申し込みと手続きが必要になります。

移管の必要性など、詳細は、先述の都市計画法の項目ですでに記載しています。

関係する条文を以下に転載します。

土地区画整理法

(特別の宅地に関する措置)
第九十五条 次に掲げる宅地に対しては、換地計画において、その位置、地積等に特別の考慮を払い、換地を定めることができる。
一 鉄道、軌道、飛行場、港湾、学校、市場、と畜場、墓地、火葬場、ごみ焼却場及び防火、防水、防砂又は防潮の施設その他の公共の用に供する施設で政令で定めるものの用に供している宅地

(公共施設の用に供する土地の帰属)
第百五条 換地計画において換地を宅地以外の土地に定めた場合において、その土地に存する公共施設が廃止されるときは、これに代るべき公共施設の用に供する土地は、その廃止される公共施設の用に供していた土地が国の所有する土地である場合においては国に、地方公共団体の所有する土地である場合においては地方公共団体に、第百三条第四項の公告があつた日の翌日においてそれぞれ帰属する

2 換地計画において換地を宅地以外の土地に定めた場合においては、その土地について存する従前の権利は、第百三条第四項の公告があつた日が終了した時において消滅する。

3 土地区画整理事業の施行により生じた公共施設の用に供する土地は、第一項の規定に該当する場合を除き、第百三条第四項の公告があつた日の翌日において、その公共施設を管理すべき者(当該公共施設を管理すべき者が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(以下単に「第一号法定受託事務」という。)として管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するものとする。

(土地区画整理事業の施行により設置された公共施設の管理)
第百六条 土地区画整理事業の施行により公共施設が設置された場合においては、その公共施設は、第百三条第四項の公告があつた日の翌日において、その公共施設の所在する市町村の管理に属するものとする。ただし、管理すべき者について、他の法律又は規準、規約、定款若しくは施行規程に別段の定めがある場合においては、この限りでない。

土地区画整理法施行令

(公共の用に供する施設等)
第五十八条 法第九十五条第一項第一号に規定する政令で定める施設は、次に掲げるものとする。
十六 (省略)下水道法にいう下水道

 販売目的による開発行為で、1つの街や都市の公共施設として設置された大型あるいは集中浄化槽については、

法令の規定に従って、本来は、地方公共団体への移管手続が必要です。

法令を順守する必要性だけでなく、

行政にとっても、地域あるいは地域経済(地元事業者)にとっても、納税者にとっても、

ありとあらゆる要素を考慮しても、終局的には、移管することが最善です。

しかし、気付いている方が、行政にも、当然、政治家にも、ほとんどおられないのが現状です。

※アパートやマンションなどに付属し、
同一敷地内の共有施設として設置された大型あるいは集中浄化槽は除外される、と考えられます。


ところで、地方自治法の用語で事務処理、つまり地方公共団体の仕事は、

すべて、法律の趣旨(目的)や規定に基づき処理されることとされています。

しかし、実際の行政運営は、

すべて、適法に処理されているとは限らず、地方公共団体によって、大きく異なります。
 

実例としては、

都市計画法や土地区画整理法などの開発行為で設置された公共施設である(大型)浄化槽が移管されていない問題、

公共下水道事業が、都市ではない田舎で推進されている問題、

法律上も、理論上も、公共下水道に接続する必要が無い合併浄化槽なのに、接続させようとする問題、

既にほとんど浄化槽が整備されている地域で下水道を計画し、無駄に税金を使い、下水道事業を推進する問題、

公共下水道に本来は接続する必要が無い事業場廃水処理済み排水を接続させようとする問題、

など多くあります。
 

本来の法律の趣旨(目的)や規定に基づかない事務処理をすると、

公共施設の維持管理ができなくなったり、

公共施設の更新時期が迫っても、更新費用が捻出できず、更新できないような事態になります。

公共施設等総合管理計画(=公共施設再配置計画)が、これに該当します。

ただし、適正な行政運営に修正した実例(参照:「政策見直しの実例」)が全国的に多くあるのも事実です。

 

廃水浄化処理の問題解決や、行政機関などとの交渉が、難航・停滞している場合は、当社へお気軽に相談ください。

地方公共団体あるいは関係機関の方々も、現場の実務関連事項の問題解決など、当社へお気軽にご相談ください。

 コミニティ・プラントとは、

「廃棄物処理法」第8条に規定する「し尿処理施設」のひとつです。

これ以外に関係する法令は、見当たりません。

「廃棄物処理法」に基づき市町村が定める「一般廃棄物処理計画」に沿って設置されるだけの施設です。

したがって、「浄化槽法」で定義される浄化槽ではありません。

しかし、し尿及び生活雑排水を併せて処理する施設で、構造や機能は、農業集落排水施設などと同じ浄化槽です。
 

なお、コミニティ・プラントは、

全国的に設置数は少なく(下記の「環境省:コミニティ・プラント一覧」を参照)、

多くの場合、

上述のように、都市計画法や区画整理事業により設置された施設で、

法令の定義では下水道ですが、

機能・性能は「浄化槽法」で定義される(大型)浄化槽そのものです。


コミニティ・プラントを所管するのは、環境省です。

行政運営上、

コミニティ・プラントは、「コミニティ・プラント構造指針の改訂について」(環境省)に従って、

地方公共団体が事業主体となって設置される公共施設で、

法令に従って、すでに所有権や運営は、地方公共団体に移管されているはずです。

コミニティ・プラントの所在や内容は、都道府県ごと、あるいは市町村ごとに公表されていることもあります。

※コミニティ・プラント処理水の水質について
環境省通知「コミニティ・プラント構造指針の改訂について」によると、
「放流水の水質は、生物化学的酸素要求量(BOD)の日間平均値20mg/l以下、浮遊物室量(SS)の日間平均値70mg/l以下、大腸菌群数の日間平均値3,000個/cm3以下とすること。ただし、水質汚濁防止法等の関係法令に基づく規制を受ける場合は、それらの法令等に準拠すること。」となっています。
コミニティ・プラントは、大型浄化槽の一種ですので、処理水質を改善できる可能性はあります。

 大型あるいは集中浄化槽について、インターネットで検索すると、

地方公共団体のQ&Aで、次のような、

法令の趣旨に反したおかしな記載が見られます。
 

「集中浄化槽は、

民間開発等で整備される浄化槽であり、

各家庭に設置される個別浄化槽と同様の扱いであるため、

使用者(管理者)が維持管理する必要があります。」
 

※マンションやアパートなど、あるいは建築物が複数であっても、

開発行為時あるいは建築時に、

それら不動産の所有者が同一を前提に建築された建築物に付属する浄化槽の場合は、

上記の記載(行政指導)が該当する、と考えられます。


しかし、

分譲あるいは販売を前提にしている場合で、

新たに1つの街や都市を造成するような、

開発行為において、

公共施設として設置された大型あるいは集中浄化槽(法令の条文規定では「下水道」)については、

上記の記載(行政指導)は、間違いと考えられます。

 理由を7点、以下に箇条書きします。

1、公共施設とは、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(地方自治法)です。

「地方自治法」
(公の施設)
第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

2、すべての開発行為について、

 行政は、事業者に対し、法令の基準に従って、各種公共施設を整備するよう規定しています。

※「開発行為」とは?
「土地の区画形質の変更をいう。」(「都市計画法」第四条第12項)
開発行為は、法令の規定に従い、当該地の地方公共団体の許可が無ければ実施できません。

※土地の区画形質の変更とは?
「土地の区画形質の変更」について具体例は、条例で定義づけられている場合もありますが、
法令の条文としては、明確な定義は見当たりません。
一般論としては、以下3つのいづれかに該当すれば、開発行為と評価されます。
①土地の区画を形成する公共施設を新設・廃止・移動することにより、土地の「区画」を変更すること。②盛り土・切り土などの造成により、土地の形状を変更すること。
③農地・山林などの宅地以外の土地を宅地に変更すること。

公共施設の整備についての規定
「都市計画法」
(国、地方公共団体及び住民の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。
(定義)
第四条 この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次の規定に従い定められたものをいう。
2 この法律において「都市計画区域」とは次の規定により指定された区域を、「準都市計画区域」とは第五条の二の規定により指定された区域をいう。
14 この法律において「公共施設」とは、道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
(都市計画区域)
第五条 都道府県は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる。
第二章 都市計画
第一節 都市計画の内容
(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)
第六条の二 都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を定めるものとする。
(都市施設)
第十一条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
四 河川、運河その他の水路
五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
七 市場、と畜場又は火葬場
八 一団地の住宅施設(一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
十 一団地の都市安全確保拠点施設(溢いつ水、湛たん水、津波、高潮その他の自然現象による災害が発生した場合における居住者等(居住者、来訪者又は滞在者をいう。以下同じ。)の安全を確保するための拠点となる一団地の特定公益的施設(避難場所の提供、生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供その他の当該災害が発生した場合における居住者等の安全を確保するために必要な機能を有する集会施設、購買施設、医療施設その他の施設をいう。第四項第一号において同じ。)及び公共施設をいう。)

「都市計画法施行令」
(公共施設)
第一条の二 法第四条第十四項の政令で定める公共の用に供する施設は、下水道、緑地、広場、河川、運河、水路及び消防の用に供する貯水施設とする。

3、都市計画法では、下水道(都市計画法施行令第1条の2)も公共施設のひとつとして規定しています。

4、田舎で下水道が整備されなければ、替わりに大型の浄化槽を整備し、下水道の代替とせざるを得ません。

※下水道とは?移管手続きの必要性について

都市計画法に基づく都市計画法施行令では、
開発された地域に設置しなければならない公共施設として、「下水道」を規定しています。
しかし、都市計画法の関連法令で「下水道」とはどういうものか?を定義していません。
したがって、下水道法第2条第2号の下水道の定義に照らし合わせ、
大型あるいは集中浄化槽は、下水道と同等のものとして、公共施設とされます。
もし、
大型あるいは集中浄化槽が、都市計画法で規定する下水道ではない、
というのであれば、
そもそも、公共施設を完備できないような開発(行為)計画は、
都市計画法の規定その他の関連法令に従えば、地方公共団体が許可を出しません。
その地域は、不法に開発され、分譲された団地ということになってしまいます。
正確には、開発業者、地方公共団体の双方に、
「事前協議書」(=都市計画法第三十二条第二項の協議)の内容を確認すれば判明します。
浄化槽が都市計画法で定める下水道に該当するかどうかは、事前協議書で確認できることになります。

都市計画法には、上記のような明文規定が有るため、
開発許可で造成された団地に設置された生活排水やし尿を浄化する大型あるいは集中浄化槽は、
公共施設とせざるを得ません。

この場合、都市計画法の第39条の明文規定に従って、
市町村へ所有権を「移管」する手続きをする必要があります。

※公共施設の土木・建築工事費用の負担者について

開発行為で設置される大型あるいは集中浄化槽(あるいは、その他公共施設)の設置・建設工事費用は、住むために必要な施設として、居住者が費用負担(=施設負担金などの名称)する場合が多いですが、
市町村への移管が前提です。

つまり、「移管」とは言うものの、
市町村は、
各種の税金や保険料を新たに収めてくれることになる新たな居住者(≒お客さま)から、
公共施設という「資産」について、工事費用も、市町村が出費することなく、完成された状態で、譲渡されることになります。
しかも、都市ではなく田舎の場合は、費用対効果の悪い、かつ、資産にならない公共下水道【参照:公共施設等総合管理計画(=公共施設再配置計画)】でなく、維持管理費が下水道の数分の一から十数分の一で済む、言い換えると、地方公共団体にとっては、収益を得られる立派な資産の譲渡を受けることになります。

5、法令は、地方公共団体が「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設を設ける」と規定。

※公共施設は、地方公共団体の責任と費用で設けられるものである、という規定です。

6、都市計画法第39条による規定

※クリックすると、上述の「開発許可制度事務ハンドブック」の解説を別ページで開きます。

7、「廃棄物処理法第6条第1項及び第6条の2第1項に基づき、市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物処理計画を定めなければならず、かつ、それに従って当該区域内における一般廃棄物の処理を行わなければならない。」

上記は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項の規定に基づくごみ処理基本計画の策定に当たっての指針について 環境省 環廃対発第080619001号 平成20年6月19日」に記載された、環境省から地方公共団体に対する技術的助言です。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
(一般廃棄物処理計画)
第六条 市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。

(市町村の処理等)
第六条の二 市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(再生することを含む。第七条第三項、第五項第四号ニからヘまで及び第八項、第七条の三第一号、第七条の四第一項第五号、第八条の二第六項、第九条第二項、第九条の二第二項、第九条の二の二第一項第二号及び第三項、第九条の三第十二項(第九条の三の三第三項において準用する場合を含む。)、第十三条の十一第一項第三号、第十四条第三項及び第八項、第十四条の三の二第一項第五号、第十四条の四第三項及び第八項、第十五条の三第一項第二号、第十五条の十二、第十五条の十五第一項第三号、第十六条の二第二号、第十六条の三第二号、第二十三条の三第二項、第二十四条の二第二項並びに附則第二条第二項を除き、以下同じ。)しなければならない。

 「1、廃水浄化の考え方((排水規制の前提))」で記載したように、

廃水の浄化処理に関連する範囲は、実務として考えると、かなり広い分野にまたがります。

具体的には、以下のような分野です。

①水の浄化の意味〔⇒水の浄化とは水環境保全のための廃水浄化とは?〕、

②排水規制値の設定の考え方〔⇒排水規制〕、

③浄化処理施設(浄化槽、下水道、自前の施設)の選択〔⇒下水道と浄化槽どっちが良い下水道(事業)とは〕、

④選択した施設の施工〔⇒廃水処理施設の設計・施工〕、

⑤施設維持管理〔⇒廃水処理施設の管理方法と費用の改善〕、

⑥処理水の再利用〔⇒雑用水(中水、再利用水)SDGs対応型浄化槽〕、

⑦余剰汚泥の循環利用〔⇒余剰汚泥〕、循環利用できない場合の行政の負担の大きさ、

など。

 

したがって、本来は上記のような広範囲の実務について総合的に考察し、法律制度を構築する必要がありますが、

その当時の机上で考えることができた対策を基に、法律整備を進めざるを得なかった、という事情があります。

総務省の「公共施設等総合管理計画」についても、同じことが言えますので、

何らかの課題や矛盾などの問題が生じた場合は、本来は実務から見直す必要があります

 

なお、公共事業の場合、法律制度と事業のさまざまな課題は、

①担当者の異動が数年で実施される中、

作業現場の実務レベルで十分な考察をしているか(知見だけでなく実務経験者による考察が必須)、

②公務員の皆さんの事務処理の能力評価が、

計画推進の達成状況(行政運営の見直しはせずに達成状況のみの評価や税金の使い切り)を基準にしていないか、

などの理由から、

実情として

いろいろな行政関連法の趣旨(=条文として明文化された理想的な内容)と、

実際の行政運営とが、

乖離してしまっている状況です。

現在の状況は、そうならざるを得ない強力な仕組みが人の手で作られてしまった結果、と言うことが出来そうです。

 

一般企業の場合、

設備投資などの見直しは常時で、当初予算を使い切るというような発想はあまり無いのではないでしょうか。

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