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大型浄化槽とは?

はじめに

 大型浄化槽は、その地域の皆さんの宝です。

また、市町村などの地方公共団体、地元業者さんにとっても宝物です。
 

数百から数千世帯で大型浄化槽を所有されている方々は、本当のところは、非常に幸運な方々です。

1番の理由は、

汚水処理施設の建設費用と各家庭から施設までの配管敷設工事費用、将来の施設の維持管理費用の全てについて、

本来なら、間違いなく非常に安く済むからです。

普通に考えてみてください。その住宅団地は密集しています。

各住宅に1個づつ浄化槽を設置したり、そこで出た汚水を下水道の終末処理場へ運んだりするより、

近くでまとめて処理するほうが、工事費用や維持管理費用など、すごく安く済むはずです。

災害時に対応しやすく、浄化処理水の水質も良好のため、循環型社会の理にもかなっています。

大型浄化槽は、

現在の法令に従えば、

公共施設として所在する市町村が移管を受け

その地域の汚水を浄化処理している必要不可欠な公共施設として維持管理していくことが、

法令だけでなく、道理にもあっています。

 廃水(汚水)は、法令による水質規制の対象として、

次の3つがあります。

し尿(小便・大便)

生活雑排水(お風呂・洗面所・流し台・その他洗い場からの廃水)

③事業(製造工場などの事業場や工事現場など)に伴って排出される汚水、
 

上記以外に、

自然発生する、降水にともなって流出する廃水(汚水)などがあります。

降水による汚水流出は、降水の場所や量などにより、汚れの程度が大きく異なりますが、

人工的廃水(=下水道法では「汚水」)に比べると、環境負荷はかなり小さいものと考えられます。

ところで、

生活に伴う廃水(=上記の①・②)

=「し尿・生活雑排水」の浄化処理方法は、大きくは次表の3つに分類できます

3種類の生活廃水の浄化処理方法

分類

種類

排出形態 備考

①汲み取り便槽・

単独処理浄化槽

雑排水 浄化しない   平成12年浄化槽法改正により、平成13年(2001年)4月から、単独処理浄化槽の新設を認めていません。
し尿

貯留あるいは少し浄化して放流など

自家処理や定期的にし尿や余剰汚泥を清掃業者がバキューム吸引し、市町村のし尿処理施設に運搬して浄化処理しています。

②浄化槽

(=合併浄化槽)

雑排水 浄化後放流 定期的に余剰汚泥を清掃業者が運搬し、市町村のし尿処理施設に搬入しています。農業集落排水などの集合処理施設も浄化槽になります。

一般的な戸建て住宅の場合、5人槽もしくは7人槽という小型の浄化槽で、工場で生産されるタイプです。

し尿
③下水道 雑排水 終末処理場で浄化後放流 単独公共下水道、流域関連公共下水道、特定環境保全公共下水道、特定公共下水道などがあります。浄化処理していない汚水が広範囲に配管内を流れています。終末処理場は沿岸部に設置されることが多くなるため、浄化処理水を取水地付近には戻せません。
し尿
事業場排水

 浄化槽法では、生活で出る汚れた排水をし尿(=人間の小便と大便)と雑排水の2つに分けています。

雑排水とは、洗面所・風呂場・流し台・その他洗い場などで使用し、汚れた水のことです。

分けている原因は、昔の法律では、処理の対象を小便と大便だけにしていた時期があったためです。

このため、小便と大便だけを貯留したり、少し浄化処理したりして河川へ放流するさまざまな設備を

汲み取り便槽や単独処理浄化槽ということがあります。

単独処理浄化槽は、かなり多くの種類があります。

種類が多い理由は、処理方法が少しづつ進化し、進化に伴い、製品や法律の制度などが変わってきたからです。

単独処理浄化槽は、現在でも使用されており、雑排水を浄化しないで河川に放流する不完全な設備です。

具体的には、食器を洗った排水や、皆さんの体を洗った排水などをそのまま河川に流しているのです。

補足しますと、し尿(人間の小便と大便)と生活雑排水も併せて浄化処理する設備は、

現在の浄化槽法では、「浄化槽」と定義されていますので、本来は単に浄化槽というべきところですが、

単独処理浄化槽ではないという意味を強調するために、浄化槽のことをあえて合併処理浄化槽ということがあります。

自然環境への悪影響を考えれば、いまだに単独処理浄化槽を使用している場合は、

雑排水を浄化処理できるように浄化処理設備を追加するか、合併処理浄化槽に変換する必要があります。

しかし、いまだに雑排水を浄化処理しないでそのまま垂れ流している住宅は多いのが実情です。

ただ、河川を汚染させている一番の原因のひとつが単独処理浄化槽ですので、

浄化槽法では、上記下線部分のように改善に努めなければならない、というように法律を改正しています。

具体的には、浄化槽法附則平成12年6月2日法律第106号の第3条

既存単独処理浄化槽(新法第三条の二第一項ただし書に規定する設備又は施設に該当するものを除く。)を使用する者は、新法第二条第一号に規定する雑排水が公共用水域等に放流される前に処理されるようにするため、同号に規定する浄化槽の設置等に努めなければならない。

というように改正され、努力義務を規定しています。

ややこしくなりますが、上記の下線部分を分かり易く解説しますと、

下水道の事業計画の予定処理区域内の単独処理浄化槽は、そのままの状態での使用を認めていることになります。

このページでは非効率なシステムであると評価している下水道事業ですが、

その計画区域に指定されてしまうと、

その区域内の単独処理浄化槽は努力義務規定も適用されなくなる、ということになります。

いったん下水道計画区域に指定されてしまうと、その区域に下水道が整備されるまで、

単独処理浄化槽を使用している場合でも、

雑排水も浄化処理できるように浄化処理設備を追加するか、合併処理浄化槽に変換する必要も無くなってしまう、

ということです。

下水道計画区域に指定されても、下水道がすぐに整備されるわけでもありませんので、

整備されるまでの期間は、垂れ流し状態でも法律で守られているということになります。

いまだに垂れ流しがなくならない原因は、

単独処理浄化槽を使用している方の自然環境への悪影響に対する罪悪感がないということも原因のひとつですが、

上記のような例もあるということです。

また、法律上、単独処理浄化槽を設置した方あるいは単独処理浄化槽を使用し続けている方は、

処理の対象を小便と大便だけにしていた当時の)法律に従っただけのことです。

したがって、その当時の法律に従って単独処理浄化槽を設置された場合は、

現在の浄化槽法でいう浄化槽とみなされることになっています。

具体的には、浄化槽法附則平成12年6月2日法律第106号が、平成13年4月1日から施行されています。

第二条(既存単独処理浄化槽に係る経過措置等)

この法律による改正前の浄化槽法第二条第一号に規定する浄化槽(し尿のみを処理するものに限る。)であってこの法律の施行の際現に設置され、若しくは設置の工事が行われているもの又は現に建築の工事が行われている建築物に設置されるもの(以下「既存単独処理浄化槽」という。)は、この法律による改正後の浄化槽法(以下「新法」という。)の規定(第三条第二項の規定を除く。)の適用については、新法第二条第一号に規定する浄化槽とみなす。

となっています。

したがって、単独処理浄化槽は現在の浄化槽法で定義する浄化槽とは明らかに違うものですが、

「浄化槽とみなす」をもって、単独処理浄化槽も浄化槽と同じと考えている方がいることも事実のようです。

正しくは、「みなし浄化槽」というべきところです。

念のため、現在の浄化槽法第2条1項での浄化槽の定義は、

「便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水を処理」する設備または施設、となっています。

日本の現在の法律上、人の生活に伴う汚れた水は、全て浄化処理した後で、河川や海域へ放流しなけれなりません。

人の生活で出る汚水と建築物は密接な関係があるため、

建築物の工事を始める前に建築確認という手続きを建築基準法という法律で規定し、

汚水が浄化される仕組みを作っています。

なお、法律というものは、その法律が施行されている時に初めて法律の内容について効力がおよびます。

新しい法律が施行あるいは法律が改正された場合に、

法律が施行された日よりも以前のことについても遡及(そきゅう)して新法の規定に強制力を持たせると、

社会が混乱してしまうからです。

法律は、国家権力が個人の人権を縛るものですので、

新しい法律が成立した場合でも、国民に対して一定の周知期間を設ける必要があります。

このため、法律が成立した日以外に、

この日から法律の内容を実際に適用しますよ、という施行日というものが決められるようになっています。

しかし、みなし浄化槽が現存することが河川を汚染させている主な原因のひとつになっているので、

何とかしなければなりません。

このため、都市部以外では非常に効率の悪い下水道事業であるにもかかわらず、

地方でも推進されている、といっても過言ではありません。

また、みなし浄化槽が現存することで、

浄化槽が下水道よりも劣るなどという誤解を生んでいる原因のひとつにもなっているようです。

実際には、

生活で出るし尿や雑排水だけをまとめて浄化処理する場合は、各家庭で排出される汚濁物質が比較的安定しています。

したがって、事業場の汚水もまとめて処理する下水道事業の終末処理場に比べれば、

浄化槽での浄化処理は容易です。

詳細は、このページの「3、処理水の水質」に記載します。

したがって、みなし浄化槽の問題は、

大規模事業の公共下水道で解決するよりは、

雑排水も浄化処理できるように浄化処理設備を追加するか、合併処理浄化槽に変換する方が、

費用対効果は、格段に良くなります。

※地方公共団体では、単独浄化槽を浄化槽に変更する際の補助金制度を実施している場合があります。

これらの誤解を生んでいる環境を変えるためには、

できる限り多くの方に本当の現場の事情を理解していただく必要があります。

本当の現場の事情を明らかにすることで、

し尿(=人間の小便と大便)と雑排水と事業場排水の3種類について、

つまり、人間の都合で排出する人工的汚水の浄化方法について、皆さんに見直して頂く機会を提供できれば幸いです。

生活で出る汚水の処理方法は、浄化槽や公共下水道だけに限りません。

詳細な資料としては、「都道府県別汚水処理人口普及状況」があります。http://www.env.go.jp/recycle/jokaso/data/population/pdf/osui-h30.pdf

ページ数は14ページです。この内、資料1-2をご覧いただくと、

生活で出る汚水処理は、各種の浄化処理施設があり、

その設置費用に補助金(税金)が出る、いろいろな制度があり、

これらの制度は、汚水排出地点で浄化処理する方が効率は良いということで環境省が取り組んでいたり、

合理性よりも補助金に関係する省の存在感が出ていたりする制度になっています。

 

 余談ですが、洗剤を使用する際に、

天然由来の石鹸などが良いのか、合成洗剤でも良いのか、というような論争があります。

上記のように、雑排水を浄化処理しないで河川放流している場合、

自然による浄化作用に頼ることになりますので、比較的分子量が小さい石鹸洗剤などを使用すべきです。

高分子化合物含有排水は、分子量が非常に大きいため、

微生物や微生物のもつ酵素などによる分解速度が非常に遅くなる難分解性物質含有排水の一種ですので、

汚水の汚濁程度の指標のひとつCOD値によく反映します。

現在では、浄化槽の普及や事業場の排水浄化処理技術が進んでいるため、

魚の住む川や田んぼ・畑にそのような物質だけが多量に流入することにはなりませんが、

COD値が魚や植物に与える影響は思ったよりも大きいのが実情です。

COD値や他の水質を表す指標が、魚や植物などの生物に与える影響は、インターネットで検索できます。

   大型浄化槽が設置されている場合、所有権や維持管理の形態は、大きく3つのパターンが考えられます。

一つ目は、既に市町村が所有・維持管理しているケース、

もしくは、将来的に市町村が所有・維持管理することを予定しているケースです。一番理にかなった形態です。

大型浄化槽の維持管理およびその費用に問題が無ければ、特に問題は無いはずです。

維持管理費用については、このページの「6、大型浄化槽と下水道の実際の費用について」に記載していますので、

直ぐにそこへ進んでください。

 

二つ目は、市町村が大型浄化槽の移管を拒否しているか、

もしくは交渉をしていない状態で、

所有権も維持管理も住宅団地の自治会や管理組合あるいは宅地造成時の関係会社のままというようなケース。

この場合、早急に、市町村と移管交渉をする必要があります。

大型浄化槽は、都市計画法上は公共施設と定義づけられており、

本来は市町村が積極的に移管を受けるべきですが、

現実にはそうなっていないので、

住民側から移管の意思表示をする必要があります。

(詳しくは、このページ下の方の「5、大型浄化槽は公共施設」をご覧ください。)

 

 都市計画法第五十九条では、「都市計画事業は、一般廃棄物の処理責任がある市町村が施行する」となっています。

このため、浄化槽本体や付帯設備の工事内容についても詳細に規定されており、これに基づいて工事が発注されます。

しかし、所有権が移管していないと、

例えば、大地震などの震災被害時に、

その時の所有者が責任と復旧のための費用を負担することになるなど、

いろいろな面で合理性を欠くことになります。

地方公共団体との交渉前にすべきことは、

大型浄化槽が設置された経緯や

関係する法令や規則を調査・確認することです。

当社が調査や交渉に加わるためには、

大型浄化槽の管理者の立場あるいは機関であることが必要になりますので、

当社と顧問契約をしていただく必要があります。

顧問契約については、このページの下の方に詳しく記載しています。

 

三つ目は、市町村の計画として、大型浄化槽を廃止して、公共下水道への接続を計画しているケースです。

公共下水道への接続を計画している場合は、ほとんどのケースで方向性を間違えていると言わざるを得ません。

 

都市整備関連の法律(都市計画法、下水道法)の趣旨に反しており、

費用対効果などでも法律(地方自治法)の趣旨に反しています。

 日本の人口は減少傾向にありますので、空き家もどんどん増えている状況です。

したがって、原則、汚水を排出する地点で浄化処理する方が、費用対効果は数倍良くなります。

例えば、人が住まなくなり汚水も出なくなった場合、

住宅ごとに設置している小型浄化槽の場合、その浄化槽を休止すれば済みます。

下水道事業は、せっかく整備したにもかかわらず、

人が住まなくなって歯抜け状態が進行したとしても、大規模施設として運営し続ける必要があります。

大地震にあった場合には、

大型浄化槽は限られた地域を対象としていますが、

公共下水道の対象地域は市町村をまたいでいる場合も多くあり、広い地域が一度で使用できなくなってしまいますし、

汚水を集める範囲が広いため、配管口径も大きくなり、工事の規模が大きくなるため、

復旧工事に相当な日数がかかってしまいます。

復旧工事の期間中は、いつものように水道を使えなくなってしまいます。

大型浄化槽の場合、限られた地域を対象としていますので、

直下型地震や大地震にでも遭わない限り、使用できなくなる確率は、

大規模施設の下水道事業と比べれば、間違いなく低くなります。

もし地震にあって被害を受けても、

大型浄化槽と各家庭を結ぶ配管の口径もそれほど大きくありませんので、

復旧する場合、工事の規模は小さく済みます。

復旧工事は、その地域ごとの業者さんに施工してもらう小規模工事になります。

大型浄化槽は、その場所で更新し続けることが可能であり、最良の選択肢です。

その場所で更新し続けることが、

利用する住民・地方公共団体・地元の業者(清掃業者・保守点検業者・各種工事業者)にとっても一番良い方法です。

 

 大型浄化槽を使用している方が公共下水道へ接続してしまうと、

住民が支払う利用料金は、

正常に大型浄化槽を保守点検していた場合と比較して、ほとんどのケースで数倍の金額を支払うことになります。

詳細は、このページの「6、大型浄化槽の費用の実情」をご覧ください。

都市部を除いて、地方での下水道事業への税金の投入の仕方は、相当矛盾しており、実態は、結構な金額になります。

公共下水道事業は、一定地域だけの汚水を浄化処理する場合と比較して、

汚水を集める面積が非常に広いため、

本当に必要な浄化処理をするための水槽本体の容積の割合に比べると、

配管や中継地などの付帯設備の占める割合が高過ぎるため、維持管理や更新費用は当然のこととして高くなります。

さらに、全体として大規模事業になるため、ちょっとした事故で停止してしまっては困りますので、

終末処理場を含めた配管や中継地点などの施設についても、

保守点検や修繕のための支出見込費用に保険を掛け過ぎて予算を組んでいることが多いため、

その予算を無理やり執行する傾向が強いなど、非常に効率が悪い事業です。

公共下水道事業の新たな計画を日本全国で一斉に中止した場合の影響は、毎年数兆円規模にはなると試算できます。

計画中の下水道事業についても、精査すればするほど、

見直すことができるなら見直した方が良いと評価できるほど、

ほとんどの最近計画されている下水道事業はかなり効率が悪い事業です。

効率が悪くても、一旦その事業が決定してしまうと、公共事業ですので、毎年税金が投入され続けることになります。

大型浄化槽を下水道に接続するということは、

例えるなら、乗用車が必要なため低金利のローンを組んで購入することを決めた際に、

それなりの大衆車か進化した軽自動車を購入すれば十分足りると考えている方が、

なぜか数倍の価格の超高級自動車を買うようなものです。

したがって、以上のような下水道接続計画を方向修正するためには、

まずは、大型浄化槽を市町村へ移管する交渉の準備を進める必要があります。

準備に入ったり、交渉の手続きを進めたりするうちに、関係者の方々にも詳細な実態が浸透していくと思います。

移管をするためには、まずは、市町村に対して移管の意思表示をする必要があります。

当社が調査や交渉に加わるためには、

大型浄化槽の管理者の立場あるいは機関であることが必要になりますので、

当社と顧問契約をしていただく必要があります。

顧問契約については、このページの下の方に詳しく記載しています。

 

 二つ目と三つ目の行政との交渉は、基本的には浄化槽管理者が主体となって担うことになります。

当社は顧問の立場ですが、行政との交渉には積極的に参加する必要があります。

自治会や管理組合がある場合、主体は当社ではなく、あくまでも役員や理事の方が該当することになります。

市町村と交渉する場合、地域の議員さんなどに依頼することもある様ですが、

議員さんは当然のことながら、

行政を含めた関係者である当事者の皆さんも実情に詳しくないため、

こういう方々に依頼しても、交渉はなかなか進展しないのが一般的です。

行政が実情に詳しくないというのはおかしな話ですが、

担当者は数年で部署を移動することが多く、前例に従えば問題ない、

というような組織の考え方が根強いという理由からです。

したがって、できれば当社に相談いただくことが最善の方法と考えております。

 

 ところで、大型浄化槽をその場所で更新し続けるためには、

日常の保守点検や修繕工事などを地元の業者さんに実施してもらうことになります。

これは、地域振興の意味があります。

地域振興とは、その地域の経済的循環に寄与するだけでなく、

学校や住民を含めたその地域で、

自然および経済などの循環型社会を学習する最良の場あるいは機会になるということです。

循環型社会の学習の基礎は、人々の暮らしに関わること全てが循環しているのでは?

というようなことを探究すること、と思います。

 

地域の保守点検業者さんは、浄化槽法に定める保守点検業者として登録されていても、業務内容を費用面で評価した場合、適正に実施しているとは限りません。

大型浄化槽は、実際の維持管理コストが格段に安く済むことから、保守点検管理業務や清掃業務(=余剰汚泥の引抜)を不適正に実施し続けているケースが非常に多く見受けられます。

住民も行政も業務内容を熟知していないことから、何をするにしても業者任せになるため、利益を出し易いという実情があります。

はっきり言って、詐欺と同じような無茶苦茶なことをしているケースも見受けられます。

したがって、本来は、第3者が定期的にチェックする必要があります。医療や保険契約などでは、セカンドオピニオンが当たり前になってきている時代です。大型浄化槽の管理業務に限らず、何かを購入するような場合は、インターネットの比較サイトを利用することは多くなっているのではないでしょうか。大型浄化槽の場合、年間数百万から数千万円単位で遺失利益を出しているケースは多いと思います。

具体的に、運営の実態を評価するためには、大型浄化槽の年間収支報告書、住民数、大型浄化槽を使用している地域の1ヶ月もしくは2ヶ月の水道水使用量、1日当たりの浄化処理水排出量などを調べる必要がありますが、当社にご相談いただければ難しい話ではありません。

保守点検管理業務のチェックのため、現地での立ち合いを実施する場合は、清掃業務の時間に合わせるのが一番短時間で済む良い方法だと思います。なぜなら、一般的には、清掃業務の日に合わせて保守点検業務も実施するからです。清掃業務の日程は、汚泥を運搬する車両を確保するため、前もっておおよその時間がスケジュールされています。

 ところで、当社は、三重県内の四日市市を除き、浄化槽保守点検業の登録をしています。したがって、当社と浄化槽保守点検業務委託契約を締結していただくことも可能です。しかし、当社の方針としましては、将来を見すえて、自治会や管理組合など(浄化槽管理者)もしくは既契約の浄化槽保守点検事業者様と当社の間で顧問契約を締結することを最初にご検討いただくようお願いしております。

 なお、条件が異なるなどのために、当社の方針とは若干異なる見解もあります。参考までにURLを記載します。

「下水道 浄化槽 どう違うの? どっちがいいの? 鎌ヶ谷市」https://www.city.kamagaya.chiba.jp/sesakumidashi/soshiki-annai/toshikensetsu/gesuidou/keikaku.files/gesuidou_jyoukasou-chigai.pdf

 この他に、実情を考えさせられるものがあります。

「静岡県島田市 更新日:2018年12月18日 合併浄化槽の維持管理費と比較してどちらが安いか?

今回の使用料金設定でも、家庭用合併処理浄化槽の維持管理費用より安くなります。

合併処理浄化槽の場合、平均の7人槽で試算すると、月におよそ5,800円、一方下水道は月平均使用料20立方メートルとして2,550円で、その差約3,250円、下水道の方が安くなります。

また、一般会計の繰入をしてもらっている状況下では、浄化槽の維持管理費用を支払っている人は、維持管理費の安い下水道をも援助することになりますから非常に不公平な状況となっています。」

 経済性ばかりではなく、浄化処理能力についても考えてみる必要があります。

浄化処理能力については、2つの視点から、説明させていただきます。

1つ目は、法律で規定されている浄化処理後の放流水の水質規制値がどうなっているのか、ということ、

2つ目は、実際に放流されている処理水の水質がどうなっているのか、ということです。

法律で規定されている水質規制値がゆるいと、規制されている数値以内で放流している限り、公表したり、実態が公になったりすることはありません。

市町村や都道府県(地方公共団体)や国という行政機関は、必ず法律や政省令や内部規定などのルールに従って事務処理を進めますので、法律上の排水規制値を超えた数値で放流してしまった時に初めて問題視することになります。

 したがって、浄化槽と下水道事業の終末処理場の両方について、①法律上の規制値、②実際に放流されている浄化処理後の水質、の2つを比較してみることが必要になります。

例えば、一軒の家だけの汚水を処理する小型浄化槽は雨水が流入する余地がほとんどありません。

汚水が排出される地域だけで浄化処理をする大型浄化槽や、製品の生産計画が把握でき、その日に排出される汚水濃度や量にも対応できる事業場の汚水浄化処理施設も同じです。

広範囲の排水を処理する下水道の終末処理場を評価する際には、構造や仕組みの問題で、ずるがあるのではないか、ということを考えていただければ幸いです。

なお、事業場廃水を含めた排水規制全般については、別のページに記載しました。

 生活で出るし尿や雑排水だけを浄化処理する場合は、各家庭で排出される汚濁の状態が比較的安定していますので、事業場の汚水もまとめて処理する終末処理場に比べれば、浄化処理の対象としては浄化が容易な部類に入ります。

大型浄化槽を含めた浄化槽の場合、

現在の法律では、生物化学的酸素要求量(BOD)の除去率が90%以上、かつ、放流水のBODが20mg/L以下(法律上は「技術上の基準」)が「浄化槽法施行規則」第1条の2に定められており、

「構造基準」として、建築基準法施行令第32~35条に「汚物処理性能に関する技術的基準」が定められています。

さらに、浄化槽メーカーの浄化処理システムの開発が進んだために、近年の小型浄化槽の場合は、大きさもかなり小さくなりました。

放流水の規制基準(BODが20mg/L以下)がゆるいこと、小型浄化槽の耐久性能、浄化槽の小型化に伴う維持管理上の課題など、については、別のページに記載します。

 生活で出る汚水は、各家庭で排出される汚濁の状態が比較的安定している上、浄化槽メーカーの浄化処理システムの開発が進んだこともあり、日本で販売できる浄化槽の浄化処理の性能は、現在では、全国一律の浄化処理性能を法律で定められるレベルになったということになります。

しかし、水質汚濁防止法の適用を受ける浄化槽以外は、定期的な水質検査を強制されていません。

したがって、大型浄化槽以外の小型浄化槽の場合は、①保守点検の内容や回数、②清掃(=余剰汚泥の引抜など)の内容や回数、③法定検査(=浄化槽法第7条や第11条)を浄化槽法施行規則などで細かく規定することで、放流水の水質を確実に守っている、と推定していることになります。

日本で販売できる浄化槽の浄化処理の性能は法律で定められているため、しっかりと保守点検や清掃をしていれば、放流水の水質は性能基準値以内でおさまっているはずだ、ということです。

実際、処理能力を超える汚水量を排出したり、有害物質を排出したり、水に不溶性の阻害物質(多量の毛髪や生理用品や不溶性のティッシュなど水に溶けないもの)を排出したりしない限り、一般人であっても、保守点検能力を持つ方が定期的に管理をすれば、浄化槽の性能を維持することは出来るはずです。

したがって、浄化槽法では、501人槽以上の浄化槽を除いて、「浄化槽の所有者、占有者その他の者で当該浄化槽の管理について権原を有するもの(以下「浄化槽管理者」という。)」(第7条)は、保守点検と清掃を委託することができる(第10条3項)としています。つまり、浄化槽管理者が保守点検と清掃もできる、ということです。

本来は、浄化槽の浄化処理能力が現在の法律や規則よりももっと高ければ、浄化処理が十分できていることになりますので、草木などへの散水用の水としても使用できるはずですし、余剰汚泥が出る場合は、肥料として家庭菜園などにも利用できるはずです。

余談ですが、化学肥料が一般的になる以前は、人糞肥料が取り合いになっていた時代もあったようです。現実的には、現在の浄化槽法上、単独処理浄化槽で自家処理する場合を除くと、清掃業務を自身で実施することは困難です。また、浄化槽の処理水を散水等で再利用する場合、再生水に関する水質基準等を参考にする必要があります。

更にややこしいことですが、浄化槽法も何度か改正がされています。したがって、年度によって法律などの規制内容が異なりますので、浄化槽(浄化槽以外の事業場の全ての汚水処理施設も条件は同じですが)の浄化処理性能はその設置年度や処理方法などによって異なります。

法律による規制は、あくまで、対象となる浄化槽を設置した時に施行されていた法律に照らして実施されます。 

 多人数を対象にした浄化槽です。

浄化槽法第10条2項で、「技術管理者」を置くことを求められる場合を定め、浄化槽法施行令第1条でその規模を処理対象人員が五百一人以上の浄化槽と定め、浄化槽施行規則第8条で技術管理者の資格を「浄化槽管理士の資格を有し、かつ、同項に規定する政令で定める規模の浄化槽の保守点検及び清掃に関する技術上の業務に関し二年以上実務に従事した経験を有する者又はこれと同等以上の知識及び技能を有すると認められる者であること」としています。

当社代表は、浄化槽技術管理者の資格を有し、実際に大型浄化槽の保守点検業務委託契約を締結していただき、業務に従事させていただいた実績もあります。

 

 501人槽以上の浄化槽および下水道の終末処理場は、水質汚濁防止法第2条2項に定める「特定施設」です。
これは、水質汚濁防止法施行令 別表第一の番号72の「し尿処理施設(処理対象人員が五〇〇人以下のし尿浄化槽を除く。)および番号73の「下水道終末処理施設」に該当するためです。

※水質汚濁防止法施行令 の「し尿処理施設」について
建築基準法31条第2項にも浄化槽ではなく「し尿浄化槽」の文言があります。
明確ではありませんが、ともに、浄化槽法上の浄化槽を指すものと考えられます。
水質汚濁防止法施行令 の「し尿処理施設」は、市町村が設置するし尿処理施設も含むと考えられます。

※廃棄物処理法の「し尿処理施設」について
一般廃棄物処理業者が設置するし尿処理施設については、第8条に規定があります。
市町村が設置する一般廃棄物処理施設としての「し尿処理施設」?は、第9条の3に規定があります。
 

したがって、

ほとんどの大型浄化槽と、下水道の終末処理場は、浄化処理後の放流水の水質が、水質汚濁防止法という同じ法律で規制されていることになります。

浄化槽について、201人以上500人以下のし尿浄化槽も特定施設と同じく「指定地域特定施設」として水質汚濁防止法の適用を受ける地域があります。後段で記載する地域です。

さらに、水質汚濁防止法以上の規制として、都道府県や市町村の条例が関係する場合(上乗せ規制、横出し規制)もありますので、条例の有無の確認が必要です。

水質汚濁防止法の適用を受ける場合、保守点検回数、浄化処理後の放流水水質規制値(東京湾・伊勢湾・大阪湾・瀬戸内海は総量規制が適用されます)、水質検査の頻度、罰則規定の適用など、法律で規制される事項が増えます。

 水質総量規制に係る指定地域に設置された処理対象人員が201人以上500人以下のし尿浄化槽は、水質汚濁防止法の規定が適用されることになります。

水質汚濁防止法第2条3項で「指定地域特定施設」の定義と第4条の2の1項で対象地域として「指定地域」が定められています。水質汚濁防止法施行令 第3条の2で「法第2条第3項の政令で定める施設は、処理対象人員が201人以上500人以下のし尿浄化槽とする」と規定しています。

瀬戸内海環境保全特別措置法の第2条3項で、「関係府県」は、大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県及び大分県並びに瀬戸内海の環境の保全に関係があるその他の府県で政令で定めるものをいう、とし第12条の2で、「関係府県」の区域においては、水質汚濁防止法の規定を適用する、としています。

 生活で出る廃水(し尿・雑排水)は、浄化処理の対象としては浄化が容易な部類に入ります。

加えて、大型浄化槽の場合は、運転管理方法次第で、処理水の水質は大きく変わります。

住宅団地の場合、販売区画を整備して住宅販売を開始する時には、居住する予定の方がすぐに生活できるようにする必要がありますので、大型浄化槽は既に完成しています。

大型浄化槽の浄化処理能力は、団地販売開始時は汚水排出量が少ないので相当にゆとりがある状態で、

完売に近づくにつれて能力の限界に近づいていくという関係になります。

ただし、数百世帯以上の戸建て住宅団地に設置されているような大型浄化槽になると、

当初の運転能力を過剰に試算して設計していますので、

一般的には、宅地が完売したとしても、浄化処理能力にかなりの余裕が出てきます。

浄化処理能力にゆとりが生じていると、運転管理方法や処理方式の変更を検討することが可能ですので、行政に相談しながら運転管理方法などの変更届を提出するなどして、

処理水質をかなり改善することが出来ます。

完売になった住宅団地で、処理水の水質が不良で、近隣の住民から苦情があるなどの場合は、何らかの改善をすることが可能です。大型浄化槽の構造基準や老朽化(ろ過装置など施設の一部が使用できないような状態など)があったとしても、いろいろな角度から検討をすれば、相当な改善が可能です。

何か問題を抱えている場合、当社にご相談いただければと思います。 

 大型浄化槽からの放流水の水質の一例を下表に示します。

大型浄化槽の場合、

単純に十分な容積の水槽さえあれば、

浄化槽の設置年度に関係なく、

一応の目安として、以下のような数値での管理は可能と考えています。

※水質を比較してみてください。
比較する項目は、COD値という指標の比較が解り易いと思います。
水道水の水質基準や工業用水など、さまざまな水の水質(「水の浄化とは?」)をご確認ください。
 

下表は、他社から保守点検業務を当社が引き継いで、管理方法を改善して管理した際の実績に基づくものです。

ちなみに、当該施設(501人槽以上のため、浄化槽であり、水質汚濁防止法の特定施設でもある)を設置した当時、

水質汚濁防止法上の水質規制は、COD値についての規制値が30mg/ℓのみでした。

非常にゆるい規制値といえます。当然ですが、当該施設の行政指導の対象はCOD値30mg/ℓだけでした。

 

 下表の結果は、法律上の規制値を判断基準にすると、当社方式を採用する必要が無いため、採用しませんでした。しかし、もし大型浄化槽に当社方式(詳しくは「難分解性物質含有排水の浄化処理」を参照ください)を採用すれば、COD値や全窒素については確実に低減が出来、全リンについてはもう少し安定的に低減できるものと考えております。

し尿・雑排水の浄化の場合、処理水の目標水質が下表程度なら、各種ろ過装置などの処理装置は基本的には不要です。

一般的な重力式沈殿槽があれば足ります。

なお、新しく大型浄化槽を設計・施工する場合は、「浄化槽工事の技術上の基準並びに浄化槽の設置等の届出及び設置計画に関する省令」の第3条2項で「認定を受けた浄化槽以外の浄化槽にあつては、前項の届出書には、構造図、仕様書及び処理工程図を添付する」と規定されており、その内容は、「浄化槽の構造基準・同解説」で設計・構造などの詳細が決められていますので、これに従わない限り、建築確認や開発などの許可が下りないことになります。

下表の大型浄化槽は、構造区分第6の第五号でした。

大型浄化槽の放流水水質の一例

BOD COD SS 全窒素 全リン 大腸菌群数  
0.5未満~2mg/ℓ 4.5~7.5mg/ℓ 1未満~5.8mg/ℓ 4.3~15mg/ℓ 0.27~3.4mg/ℓ 0  

なお、大型浄化槽に限らず事業場の排水についても、管理方法の改善、既設水槽内部の改修工事、あるいは、

最悪の状態でも、水槽の増設ができれば、汚水処理施設設置当時の法律規制よりも良好な水質にすることは可能です。

廃水浄化・排水処理のことならなんでも、当社にご相談ください。

 下水道事業の場合は、汚水を収集する範囲が非常に広範囲になるため、分流式であっても雨水が多量に混入することがあったり、事業場からの排水の汚濁濃度や量の変動が大きかったりしますので、終末処理場の排水の水質基準をゆるくせざるを得ないという事情があります。

下水道の終末処理場の浄化処理水の排水基準は、下水道法で規制されているように見えますが、実際には、前述のように、大型浄化槽と同じ水質汚濁防止法という法律で規制されています。

水質汚濁防止法には上乗せ基準や総量規制という制度があるため、都道府県によっては水質基準をさらに厳しく設定している場合がありますので、都道府県ごとに規制値を確認する必要があります。

下表に例示します。

水質汚濁防止法の概要(環境省資料) https://www.env.go.jp/air/info/pp_kentou/pem01/mat02_2.pdf

COD、窒素含有量、燐含有量の総量規制基準

~県生活環境の保全に関する条例(上乗せ排水基準)


一律排水基準
 
 
https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

水質汚濁防止法では、全国一律の最低限基準を定めています。

更に、同法で「都道府県が条例で、上乗せ基準や横出し(規制対象の拡大)を定められる」としています。

なお、総量規制とは、人口、産業等が集中し、汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の水質改善を図る為、工場・事業場・生活排水等、全ての汚濁発生源について、総合的・計画的に汚濁負荷量の削減対策を進める制度です。

総量規制は、水質汚濁防止法に基づき実施され、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海が該当します。

規制対象は、1日当りの平均的な排出水量が50m3以上で、排水を該当海域に直接排出するか、該当海域に流入する河川・水路に排出する特定事業場(水質汚濁防止法施行令 別表第二に記載された特定施設を持つ事業場)です。事業所ごとに、都道府県が定めた「業種区分」別に規制基準値が決められています。

規制対象項目は、COD、窒素含有量、リン含有量の3項目です。

注意いただきたいのは、施設設置の時期により規制内容が異なることです。

 総量規制基準の算式は、総理府令で、規定されています。

総量規制対象となる特定施設を各地の行政指導担当者が巡回するサイクルは、最低限2年以内に1回を目途としているようです。但し、大型浄化槽は排水性状が一定のため、積極的には巡回していないようです。行政の全ての業務(事務処理)は、法令や公表されない場合もある内部規定など、ルールに従って実施されています。

終末処理場の排水基準も、総量規制の対象地域に所在する場合、総量規制が適用されることになります。

ちなみに、下水道法では、第8条で「公共下水道から河川その他の公共の水域又は海域に放流される水(以下「公共下水道からの放流水」という。)の水質は、政令で定める技術上の基準に適合するものでなければならない。」と定め、下水道法施行令第6条「放流水の水質の技術上の基準は、雨水の影響の少ない時において」水素イオン濃度 水素指数五・八以上八・六以下、大腸菌群数 一立方センチメートルにつき三千個以下、浮遊物質量 一リットルにつき四十ミリグラム以下、生物化学的酸素要求量、窒素含有量及び燐りん含有量は、第五条の五第二項に規定する計画放流水質に適合する数値(次表)、としています。

下水道法施行令第五条の五第二項

しかし、放流水質の計画を基にした数値設定をしていますので、法規制上は、下水道管理者自身が規定値を設けるような、自主規制制度になっています。

したがって、下水道の処理水の水質基準は、

実際の法律上の排水規制基準としては、水質汚濁防止法の総量規制が適用される地域の場合はこれを最優先とし、次に都道府県の定める上乗せ基準や横出し基準がある場合はそれを優先し、この2つが無い場合は、一律排水基準が適用されることになります。

下水道法施行令で、雨水の影響の少ない時、という規定があります。これは、下水道事業が、都市部を除くとほとんどが雨水を受け入れない分流式になっていますが、下水道事業はどうしても対象地域が広範囲になるめ、分流式であったとしても、雨水が混入することを前提にして、下水道事業が展開されているということです。

雨水が混入すると、雨水が浄化処理水槽を占有することになりますので、汚水が浄化処理水槽に滞留する時間が短くなって、処理水の水質は悪化することになります。

 生活で出る「し尿(大便小便)」や生活で出る「雑排水」は、法律上、汚水の状態ですので、まず「浄化槽法」の規制を受けます。

浄化槽法とこれに関連する法令は、浄化槽についての規制や関係するいろいろな仕組みの整備をしています。

浄化槽の規模が大きくなると、先述のように、水質汚濁防止法でも規制されることになります。

「し尿」や「雑排水」は、それ自体は、廃棄物処理法に規定された一般廃棄物の性格を有しています。

ただし、「し尿」や「雑排水」の段階では、浄化槽法の規制を受けるだけで、一般廃棄物の定義に該当しません。

しかし、浄化処理が終了した後に出てくる余剰「汚泥」に変換されると、一般廃棄物に該当することになります。

 

 「し尿」や「雑排水」を浄化処理する方法は、基本的には生物処理になります。

生物処理とは、微生物に汚水中の汚濁物質を消化してもらうことできれいな水にすることです。

つまり、汚濁物質が、微生物のエサになる訳です。

エサは、毎日どんどん流れ込んできます。たくさんのエサを食べるため、微生物はどんどん増えることになります。

汚濁物質を除去するために必要な微生物は、一定量は必要ですが、必要以上に増えた微生物は、汚水処理施設の容積に限りがありますので、除去する必要があります。

この除去する物質は、ほとんど微生物の塊ですが、見た目が汚泥のようですので余剰汚泥と呼ばれます。

この汚泥(一般廃棄物)を引き取ってくれるのが、市町村指定の清掃業者さんです。

 

 汚泥については、3つの視点で考える必要があります。

1つ目は、汚水処理施設の容積に限りが無ければ、例えば、汚泥濃度20,000mg/ℓ程度で滞留時間30日程度を確保できるシステム設計と水槽容積の増設が一応の目途になると推測していますが、余剰な汚泥がほとんど発生しなくなるまでに減容できるということ。

システム設計は必要ですが、基本的な考え方としては、主に嫌気処理用の水槽容積を増やせば増やすだけ、余剰汚泥の発生量は抑えられることになります。

 

2つ目は、余剰汚泥は、肥料取締法に規定する肥料登録をすれば、普通肥料として耕作地に返還できるということ。

循環型社会を考慮すれば、農作物・畜産物・海産物を利用した人間は、「し尿」や「雑排水」を原料とする余剰汚泥を循環系の外へ廃棄(費用がかかるコンクリート原料などとしての利用を含む)したり、焼却したりするのではなく、循環系の中の農地へ還元する必要性があります。

浄化が十分進んだ余剰汚泥は、病原性細菌や寄生虫はほぼ間違いなくゼロです。

 

3つ目は、余剰汚泥に対する、保守点検業者さんや清掃業者さんの業務上の取り扱い方、あるいは、一般人の皆さんや農業生産者さんの評価です。

先述しましたが、化学肥料が一般的になる以前は、人糞肥料が取り合いになっていた時代もあったようです。

浄化槽から出る余剰汚泥は、臭わない「完熟たい肥」の類で、当時の「コエダメ」「下肥」とは全くの別物ですが、

とにかく、自然界では循環する生活に伴い排出される物質、余剰汚泥に対する評価は180度変わってしまいました。

このあたりについての詳細は、別のページ(余剰汚泥とは?)に記載します。

 

 一般廃棄物は、市町村が生活環境の保全上支障が生じないうちに廃棄物処理法施行令第3条各号に規定する基準(処理基準)に従って処理を行い、最終処分が終了するまでの適正な処理を確保しなければなりません。

業者(清掃業者など)に委託して処理を行わせる場合でも、市町村は引き続き同様の責任を負う必要があります。

 

廃棄物処理法

第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

第二条の四 国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

第四条 市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。

 

また、市町村の仕事は、最少の経費で最大の効果を挙げるようにする必要があります。

 

地方自治法

第2条2 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。

14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

 

 公共下水道の終末処理場は、下水道法という下水道事業を推進することが目的の法律によって、事業場の汚水も受け入れる制度になっています。

したがって、し尿や雑排水だけでなくいろいろな事業場から排出される様々な汚水を浄化処理しています。事業場の汚水が流入する公共下水道の浄化処理施設で出る余剰汚泥は、廃棄物処理法という法律に基づくと、一般廃棄物ではなく産業廃棄物になってしまいます。

事業場の汚水は、収益を得るための事業活動で出るものですので、基本的には事業者の責任と費用で浄化処理すべきものです。それを下水道で処理するということは、費用の一部を税金でまかなうことにもなり、税金の使用方法として、矛盾や弊害があります。

更に、公共下水道が事業場の汚水を受け入れることで、余剰汚泥が産業廃棄物となってしまうだけではなく、有害物質などの流入があるため、余剰汚泥の最終処分方法を限定する必要があります。廃棄物の処分地には限界があります。

 

 事業場から出る製品の生産に伴う汚水の浄化処理費用は、ほとんどの場合、公共下水道へ接続して浄化処理するより、排出地点で浄化処理した方がはるかに安く済むのが実情です。

大型浄化槽と同じく、そこで出た汚水をわざわざ遠く離れた終末処理場へ運ぶより、事業場内でまとめて処理する方が安く済むからです。

事業場から排出される汚水は、その事業場の責任と費用で、浄化槽や終末処理場と同じように、法律に従って浄化処理しています。ほとんどの事業場にとっては、公共下水道事業は迷惑な事業といえます。

 

 もし、浄化処理が困難な汚水を排出されていて困っている事業場さまがあれば、まずは当社の難分解性物質含有排水の浄化処理のページをご覧いただき、ご連絡いただければと思います。

 一般廃棄物については、個々の国民の責任と費用で処理することは不可能ですので、法律上、市町村が、生活環境の保全上支障が生じないうちに処理を行い、最終処分が終了するまでの適正な処理を確保しなければならないことになっています。

したがって、大型浄化槽を公共施設として、そのままの状態で使用していくためには、大型浄化槽を市町村に移管する必要があります。

なお、浄化槽法は、2019年6月に改正され、2020年4月1日から施行されています。この法律改正によって、新たに浄化槽処理促進区域、その区域の指定、公共浄化槽という定義が新設されました。

2020年4月1日以降は、市町村が汚水の浄化処理計画をする際には、新たに住宅団地などで設置される大型浄化槽を公共浄化槽という公共施設にすることが可能になります。

ただし、浄化槽法改正以前に設置された大型浄化槽に対して、この法律が適用されることはありません。

したがって、行政と交渉をする場合には、大型浄化槽が設置された当時の法律や規則などを詳しく調査した上で打合せする必要があります。

 住宅販売に限らず、どんな商品でも大量生産は、原価を安くしやすくなります。住宅団地の販売も同じです。

従って、宅地開発業者は、可能な限り大規模開発を目指す傾向があります。

ただし、未開拓地の開発行為は、大規模な環境破壊を伴いますので、

開発可能な区域は、都市としての開発を目指す区域に限られています。

都市化を目指す区域では、都市計画法第4条の条文規定、

「健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画」

が必要になります。

つまり、無秩序な整備をしないように、細かいルールが必要になるということです。

そのため、一定規模以上の宅地造成を行う場合は、都市計画法という法律の規制を受けることになります。

大規模住宅団地は、都市計画法と関連する政省令などで細かな規制を受けて、業者が造成することになります。

都市計画法第五十九条
「都市計画事業は、市町村が都道府県知事(第一号法定受託事務として施行する場合にあっては、国土交通大臣)の認可を受けて施行する」

都市計画法が適用されて設置される大型浄化槽は、関連する法令などで、公共施設と定義されています。

私物ではなく公共施設である方が、合理性があるためです。

法律上、公共施設と規定されているにもかかわらず、地方公共団体の資産でないとすれば、異常な事態です。

都市計画法とこれに関連する法令では、宅地造成の進め方についての細かい規定や、

開発区域内の設備や施設の内容や、工事の仕様などについても、いろいろな規定が定められています。

都市計画事業は、開発業者が施工するものですが、公共施設の事業運営主体は、本来は、市町村です。

したがって、法律に基づいて開発業者が施工・設置した公共施設は、早急に市町村に所有権を移管すべきものです。

なお、都市計画法の詳しい解説書として、

都市計画事業の認可を出す都道府県は「開発許可制度事務ハンドブック」という本を所有しており、

この中で、公共施設としての大型浄化槽について、さらに詳細に解説しています。

 なお、「し尿や雑排水は全て公共下水道に接続して、

その使用料収入で健全な公共下水道の事業運営をするのが一番良い方法だ。」

などとお考えの市町村長がまだまだ多いのは実情と思います。

これは、このページでご案内しているような現場の実情が詳しく伝わっていないことが一番の原因かもしれません。

ただ、浄化処理施設の選択肢がいろいろある中で、

将来あるいは現在整備計画中の下水道事業を含めて、今後新設する場合、

都市部を除けば、下水道事業は間違いなく、法的にも効率的にも、道理が合わない浄化処理方法です。

 

先述しましたように、

製造工程で廃水を出すほとんどの事業場にとっても、下水道接続の仕組みは、迷惑な話です。

下水道法は「下水道の整備を図る」ことが目的のため、

この法律に基づき、市町村条例で浄化槽であっても接続義務を課すなど、

法律を勘違いして理解し、行政の事務手続きを間違えて進める原因になっている部分もあります。

 

議員や市町村長の皆さんには、次項の「大型浄化槽の費用の実情」もご覧いただき、

ここで説明する②と④の差額について、つまり、浄化槽と下水道事業それぞれの本当の原価の違い、

をよく検証していただきたく思います。

 

 公共下水道事業は、一定地域だけの汚水を浄化処理する場合と比較して、

汚水を集める面積が非常に広いため、

本当に必要な浄化処理をするための水槽本体の容積の割合に比べると、

配管や中継地などの付帯設備の占める割合が高過ぎるため、維持管理費用は当然のこととして高くなります。

 

いつまで事業拡大をしたとしても、この効率の差は縮まることはありません。

 

実際、少し都会と考えられるような地域でも④の単価は200円程度になるはずです。

1,000円を超えるような地域も多いはずです。

したがって、計画中を含め、できる限り早い時点で公共下水道事業の推進は止め、

大型浄化槽については移管を受け、

②と④の差額については、地方公共団体の収益とするような方向が健全かと思います。

 最後に、大型浄化槽を運転・管理していくために必要な費用の実情は、どうなっているのでしょうか。
 
何度か記載しましたが、生活で出るし尿や雑排水だけをまとめて浄化処理する場合、
各家庭で排出される汚濁物質の性状が比較的安定していますので、
事業場の汚水も処理する公共下水道の終末処理場に比べれば、浄化処理の対象としては浄化が容易な部類に入ります。
 
比較していただく項目は、次の4つです。
 
4つの内、④を算出することは少し難しくなっています。
 
難しくなっている理由は、市町村が「汚水処理原価」としている勘定科目は、総務省の指導に従っていれば、税金を投入した後で原価を算出しているからです。ほとんどの市町村が該当するはずです。
 
実際に支払っている料金÷水道使用量=現在の大型浄化槽の1立米当たりの利用単価
 
80円前後=維持管理業務、更新工事、関連事業者の利益も十分確保した上での理想的な1立米当たりの利用単価
 
(お住いの市町村が下水道利用者から徴収している基本料金+単価×基本料金超過分の水道使用量)÷水道使用量=税金等を投入して維持している現在徴収されている下水道の1立米当たりの利用単価
 
終末処理場管理者や都道府県の執行管理費もしくは負担金および市町村が下水道事業に投入した税金も含めて算出した実際にかかる下水道事業の費用の総額÷「年間有収水量」=税金投入前の本当の1立米当たりの下水道利用単価となります。
④について詳しく知る方法は、市町村議会のウェブサイトなどから検索して、「公共下水道事業会計決算書」を詳しく見る必要があります。
決算書の中で「損益計算書」の「費用」の合計額が、その事業にかかった費用の総額です。ただし、決算書を下の方へスクロールしていくと、「決算報告書及びその他財務諸表における注記」あるいは、「下水道事業報告書」という書面が出てきます。この中で、「資本的収支は、○○円を補填しました。」あるいは、「収入」の項目に「他会計負担金」や「○○補助金」などが入っていることがありますので、これらの金額も「損益計算書」の「費用」の合計額にプラスすると実際の事業にかかる総費用が算出されます。
算出総額を決算書の「年間有収水量」で割ると税金投入前の本当の1立米当たりの利用単価になります。
概略ですが、人口数万人程度の地方公共団体の場合で500円前後、中には1,000円を超えるようなケースもあるのではないでしょうか。
 
④の数字によっては、その市町村は粉飾決算をし続けている一般企業と同じような状態です。

※公共下水道事業の初期費用(資本あるいは資産)の概略

下水道の政策目的は環境保全なので、必要な機能は、浄化槽や事業所の廃水処理施設と同じです。

環境を保全するために必要な施設は、本来は、廃水を浄化処理するための施設だけです。
したがって、廃水を浄化処理施設まで移送する配管が、少なければ少ないほど、
下水道事業全体のコストが安く済むことになります。
つまり、浄化槽や事業所の廃水処理施設は、廃水排出地点で浄化するため移送配管が最小限で済むため、効率が良く、費用も安いのです。

配管埋設費用を特筆する理由は、下水道配管の場合、水道配管の2~3倍以上かかるからです。

廃水を移送する配管は、
圧送されている水道配管(=蛇口をひねれば水が出てくる状態)と違って、
自然流下ですので、勾配を設けて配管を埋設しないと廃水が流れません。
したがって、少しづつ深く掘削していく必要があります。
また、制限なく深く掘れませんので、途中でポンプアップ施設を設ける必要があります。
さらに、配管が道路下に埋設されるため数十年単位で陥没する可能性を回避する必要があります。
したがって、配管埋設工事費用が公共下水道事業費全体の中で占める割合は、
都市地域を離れてからは、田舎に行けば行くほど、増えていくことになります。
田舎の公共下水道事業の場合、環境を保全するために必要な廃水浄化処理施設の費用に対して、7割あるいは8割位は廃水移送に関連する費用になっているはずです。
住居密集率などの状況によるため、詳しくは、公共下水道事業決算報告書を確認する必要があります。
 

公共下水道事業は、公共事業なので、経済波及効果がある。というご意見もあるでしょうが、

公共下水道事業は、税金の使途として、

人件費に支払われる割合が低いこと、

投資ですから、その事業は将来の資産になる必要がありますが、資産にならず負の遺産になる確率が高いこと、

税金の支出であれば、

社会的弱者の人件費、教育・研究あるいは医療・介護などの将来を見すえた現場の人件費などとして使えば、

可処分所得が増え、経済波及効果は当然上がることになります。

 ところで、家庭廃水(し尿・雑排水)の概略の性状は下表のようになります。()内の数値は、環境省資料です。

家庭廃水(し尿・雑排水)の概略の性状
  し尿 雑排水
排出水量 50ℓ/人・日 150ℓ/人・日
単位 g/人・日 mg/ℓ g/人・日 mg/ℓ
BOD 13 260 27 180
COD 6 120 12 80
SS 22 440 13 87
全窒素 6(8) 120 1.3(2) 9
全リン 0.5(0.8) 10 0.3(0.2) 2

上表を基にした「し尿」と「雑排水」を合わせた家庭排水について、一人当たりが1日に排出する汚水濃度を試算すると、下表のようになります。

項目 排水量および濃度 試算式
排水量 約200ℓ  
BOD 200mg/ℓ (13+27)÷(50ℓ+150ℓ)×1,000=200mg/ℓ・人
COD 90mg/ℓ (6+12)÷200ℓ×1,000=90mg/ℓ
SS 175mg/ℓ

(22+13)÷200ℓ×1,000=175mg/ℓ

全窒素 36.5~50mg/ℓ

(6+1.3)÷200ℓ×1,000=36.5mg/ℓ

(8+2)÷200ℓ×1,000=50mg/ℓ

全リン 4~5mg/ℓ

(0.5+0.3)÷200ℓ×1,000=4mg/ℓ

(0.8+0.2)÷200ℓ×1,000=5mg/ℓ

し尿・生活雑排水は、COD濃度がBOD濃度を下回っていますので、処理能力を超える汚水量を排出したり、有害物質を排出したり、水に不溶性の阻害物質(毛髪や生理用品や不溶性のティッシュなど水に溶けないもの)を排出したりしない限り、汚水浄化の難易度は比較的容易な部類に入ります。但し、年末の大掃除の時期などには洗浄剤などが多量に流入する危険がありますので、少し注意が必要になります。

 

 先述していますように、生活で出る汚水は、浄化処理の対象としては非常に浄化が容易な部類に入ります。

家庭で使用する洗剤などの薬品を製造する会社も、循環型環境社会の理念を非常に重視する時代です。

生活者も普通に生活しているだけなら、浄化が困難になるようなおかしな薬品を排出する方もいないはずです。

したがって、浄化が容易な「し尿」や生活「雑排水」を住宅が密集した地域でまとめて浄化処理する大型浄化槽は、かなり理想的な施設なはずです。

浄化が容易な汚水ですので、本来は、特筆すべき特殊な浄化処理装置や設備は不要です。

また、大型浄化槽に設置されている機器類は、一般的な水中ポンプやブロワなど、開発されてから十分な年月を経て改良が進んでいる機器ぐらいで、全て電動モーターで駆動します。

ただし、非常用に発電機やエンジンポンプを設置しているような場合は、ガソリンなどで駆動する場合があります。

施設内に設置されている機器や装置は、浄化槽維持管理業務費に含まれるメンテナンス費用ぐらいになりますので、普通に業務をしていれば、修繕費などはほとんどかかりません。

以上なようなことから、数百軒規模の大型浄化槽の場合、浄化槽利用料は、各種経費を十分に見積もったとしても、80円/立米以下程度には収まるはずです。

住民の方が、処理能力を超える汚水量を排出したり、有害物質を排出したり、水に不溶性の阻害物質(多量の毛髪や生理用品や不溶性のティッシュなど水に溶けないもの)を排出したりしなければ、50円/立米以下でも十分に収まると思います。

あなたが、もし住宅団地で生活していて、大型浄化槽を利用している場合、この金額で収まっているでしょうか?

念のため、ご家庭での月々の水道使用量×80円の合計金額と実際に支払われている浄化槽利用料金とを比較してみてください。

下表に大型浄化槽にかかる全ての費用の項目を一覧にしました。

項目 内容 備考
①清掃料 余剰汚泥を引き抜く作業にかかる費用です。脱水機を導入している大型浄化槽の場合は、引き取り形態が異なります。 液状の場合、1立米当たり12,000円~13,000円程度が多いと思いますが、市町村により異なります。安い例では、5000円程度の場合もあります。所在地ごとに調査が必要です。
②浄化槽維持管理業務費 浄化槽を定期的に保守・点検するために係る費用です。 管理業務委託契約を締結している業者に支払われる人件費を基本とした費用です。水質汚濁防止法で規制される場合は、保守点検の最低限度の回数も規定されています。
③通信費 電話やインターネットなどの通信にかかる費用です。 大型浄化槽は、通常運転の場合、ほとんどの機器が電動モーターで駆動していますので、動力源は3相200V電源になります。電力会社からの電源供給が停止した場合などには、管理者に警報が入るような仕組みになっていたり、インターネット回線でモニタ管理していたりします。
④水道使用料 大型浄化槽の管理室には、トイレが設置されています。 保守点検作業終了時や清掃時などにも水道は必要です。
⑤修繕費 ポンプやブロワなどのメンテナンスや更新にかかる費用です。 水中ポンプは買い替え対応になります。ブロワは、通常メンテナンスのみの対応になります。
⑥施設更新積立金 将来の汚水処理施設全体の老朽化に伴い、施設本体の更新にかかる費用を前もって少しずつ積み立てておく費用です。 設置時の施工に問題が無ければ、耐用年数は50年程度になるかと思います。当社で大型浄化槽の更新工事の見積書作成も可能です。

汚泥引抜料金の安い例を参考のため掲載します。

神奈川県川崎市 http://www.city.kawasaki.jp/300/cmsfiles/contents/0000082/82297/chirashi_odei.pdf

奈良県吉野郡吉野町 http://www.town.yoshino.nara.jp/chomin/kankyo-gomi/shinyo.html

 

 費用の項目は、上表の6項目が基本になります。

これらの費用の内、金額が最も高くなるのが①と②ですが、大型浄化槽の規模や立地の条件が異なると費用の算定基礎は若干変わってきます。

例えば、清掃料(=余剰汚泥の引き抜き料金)は、日本全国、地域によって、4,000円程度~15,000円程度まで大きな開きがあります。

したがって、コスト計算を一律で比較するのは問題がありますが、概算ということで試算してみてください。 

上記表の年間の費用の合計金額は、自治会や管理組合あるいは管理会社の事業報告書などに明細が記載されています。 

排出水量は、団地全体として試算する場合、その住宅団地の上水道使用量の総量を市町村の上下水道局で確認するのが正確な数字です。

大型浄化槽を管理する会社は、浄化槽からの排出水量を記録していますが、この数値には雨水が含まれる確率が高いため正確な数値とは言い切れません。 

どうでしょうか?収まっているでしょうか?数字がかなり上回っている場合も多いと思います。

数十円も上回っているのであれば、逸失利益が大きすぎますので、問題点の所在を見つけ出すのは比較的簡単です。

費用の見直しができます

大型浄化槽の管理業務について、当社が第三者的立場で拝見し、必要なアドバイスをさせていただきます。

多くの場合、住民の方々にとって、当社顧問料の何十倍もの逸失利益があるものと考えております。

急な問い合わせにも迅速に対応いたします

通常の連絡は、担当者の携帯電話で行っております。定休日はございません。不定休となっています。

お気軽に携帯電話に問合せ下さい。

市町村担当者との交渉に参加いたします

行政担当者さま、あるい保守点検業者さま、との交渉には必ず同席させていただきます。

きわどい交渉が想定される場合、住民の代表者の皆さんだけでは、知識や経験の不足などもあるため、

相当の時間と労力を消費してしまい、なかなか話が進捗しないのが一般的です。

住民に価値観を共有していただく支援を致します

代表者の皆さんの後押しとなるのは、自治会などの住民の皆さん、施設利用者の皆さんの協力と支援です。

そのためには、大型浄化槽の実情を丁寧に説明する必要があります。

実情をよく理解している当社が、支援をさせていただきます。

大型浄化槽の更新計画のアドバイスをいたします

将来の更新にかかる費用について、説明をさせていただきます。

大型浄化槽は、施設の機能としては、公共下水道事業の終末処理場と条件はあまり変わりません。

しかし、公共下水道事業を更新する場合、汚水処理量が多いため、終末処理場の各種機器も大型になりますし、接続する配管も大口径の管路や中継設備が多く、大規模事業になっているため、非常に割高な費用を掛けざるを得なくなります。

しかし、数百から数千世帯規模の大型浄化槽の場合、本来は、非常にコンパクトな設計が可能です。

施設を設計する際に、通常の運転管理、あるいは、緊急時の運転管理など、維持管理の保険的な発想や、工事の施工方法の違いなどが、設計費用に影響します。

制度としては、「浄化槽の設計・施工上の運用指針」に従って設計することになります。

お問合せ

 まずは、お気軽にお問い合わせください。

調査票のご記入

 お問い合わせいただいた内容をもとに、

弊社が、お客さまの現状を十分に把握する必要がありますので、

メール(もしくはFAX)で確認事項を連絡させていただきます。

現場説明会開催

 メール(もしくはFAX)のやり取りだけでは、十分な現状把握ができませんので、

現地にお伺いし、製造工程ラインなどを実際に拝見し、担当者さまとの打ち合わせをさせて頂きます。

なお、お客さまの所在地が遠方の場合は、旅費についてご負担いただきたくお願い申し上げます。

顧問契約の締結

 当社の基本方針としては、お客さまとの顧問契約締結をお願いしております。

理由としましては、汚水処理施設の維持・管理については、適切な管理ができているケースが比較的少ないと考えており、また、例え適切な管理ができていたとしても、途中であらぬ方向へ方向転換してしまう事例を多く拝見してきたからです。

一方で、当社の基本的方針として、汚水処理施設の維持・管理は、汚水排出者自身が直接すべきだと考えています。

その方が、いろいろな意味で理にかなっているからです。

浄化槽法という法律上も、

浄化槽管理者(=所有者など)が自ら浄化槽の保守点検や清掃をすることを前提に法律を組み立てています。

ただし、住宅団地での保守点検業務を住民の中から選出して実施して頂くことは、比較的難しいことと思います。

したがって、この場合は、既存の保守点検業者さまに今まで通り、保守点検業務を委託し、

この保守点検業者さまと当社との間で顧問契約を締結することを推進していただくよう、お願いしております。

本来、保守点検業者さまは独立した事業者ですので、顧問契約など不必要でしょうが、

これまで記載してきたような事情から、極めて広範囲な事項に取り組む汚水処理施設の維持管理担当者には、

定期的に、適切な相談相手が間違いなく必要になりますので、当社との顧問契約締結をお願いする次第です。 

報告書提出

 必要に応じて、報告書を提出させていただきます。

必要に応じて毎月1回程度のご訪問と
電話・FAX・メール・SNSなどを利用した相談
基本料金 35,000円/月(税抜き)

※特別な事情がない限り、初期の顧問契約は基本料金での契約となります。

 

1週間に2回以上の保守点検業務 基本料金 450,000円/月(税抜き)

浄化槽の状態、処理方式により必要な点検回数は異なりますので、必ずしも上記料金を適用するものではありません。

ただ、保守点検業務を他社から引き継いで直ぐの期間は、保守点検訪問回数は多くなりますし、

汚れ作業を伴う技術的業務は、安全性を優先するため二人以上で実施することになりますので、

基本料金を高く設定しています。

なお、1~2か月後には、必ず料金見直しを行います。

※浄化槽法施行規則などで、保守点検の方法・回数・測定項目・頻度・記録方法などの規定があります。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

090-7312-7407

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24時間受け付けております。   お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2020/03/31
ホームページを公開しました。
2020/7/2
大型浄化槽って何?のページを公開しました。
2021/8/9
廃水浄化とSDGsの関係とは?のページを公開しました。
2021/9/12
建築基準法31条と下水道接続のページを公開しました。
2021/12/22
COD除去とは?のページを公開しました。
2022/4/19
下水道とは?のページを公開しました。
2022/5/10
下水道接続、どうあるべきか?のページを公開しました。
2022/6/19
2022/7/7
下水道接続義務・浄化槽・事実は?のページをリニューアルしました。
2022/10/11
下水道とは?のページをリニューアルしました。
2022/10/31
廃水浄化・排水規制に関わる法律のページを公開しました。
2022/12/29
浄化槽とは?のページを公開しました。
2023/1/24
下水道の運営・監査・法令のページを公開しました。
2023/3/13
SDGs対応型浄化槽のページをリニューアルしました。
2023/3/17
公共下水道の現状把握のページを公開しました。
2023/4/4
三重県亀山市との取組のページを公開しました。
2023/6/21
浄化槽とは?のページを更新しました。

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