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下水道接続義務どうあるべきか?

はじめに

 このページは、以下のページをすでにご覧になられている方に向けて記載しています。

例えば、「下水道接続・浄化槽・移管、真実は?」のページ、

あるいは、「下水道とは?」「下水道の運営・監査・法令」「公共下水道の現状把握」

さらに、「水の浄化とは?(おいしい水?きれいな水?水質?)」「大型浄化槽とは?」などです。
 

このページは、下水道法という行政に関わる法律の本来の目的や規定と、

法律の条文に従って行政業務(=事務処理)を推進する行政(特に国)の”おかしな”解釈について記載しています。

下水道法という法律の目的や規定については、お手数ですが、「下水道(事業)とは?」をご覧ください。

「下水道への接続についてどうあるべきか」

 インターネットで、「下水道への接続義務についてどうあるべきか」を検索して頂くと、

農林水産省(20ページ)あるいは国土交通省(6ページ)などのPDFが公開されています。

「下水道への接続義務について」

 上記書面、「下水道への接続義務について」から読み取れることとして、

本来すべき法解釈とは別に、

つまり、

間違った解釈ですが、

国や地方公共団体の法解釈として、以下のように考えていることが分かります。

黄色マーカーの部分、

①では、

下水道供用済区域内の合併浄化槽は、当然のこととして、下水道に接続する義務がある、という法解釈をしています。

※「原則」という文言が入っていますが、これは、「特別な理由がない限り」ということです。

また、①の法解釈を裏付けるように、

③では、

合併浄化槽の接続不要のためには、法令(=下水道法)の「見直し(=変更)」が必要と考えている

と推測できます。

具体例

 某地方公共団体によるインターネット上の実例(2023年7月時点で公開されているQ&A)を2つ示します。

「下水道接続指導制度導入に対するQ&A」の例

上記のQ&Aは、以下の点で問題があります。

①公共下水道の供用が開始されると、

 Qに対するAのやり取りを深く考えないで理解しようとすると、

 事実は、

 適正な管理をしている合併浄化槽を下水道に接続させる法律は実在しないのですが、

 適正な管理をしている合併浄化槽でも下水道に接続しなければならない、

 と一般人が誤解する
 

②「A(アンサー)」は、事実を記載しています。

 要点は、

 A(アンサー)に記載されているように、下水道に接続しなければならないのは、“「下水」のみ”です。

 適正な管理をしている合併浄化槽からは「下水」は排出されません。

 したがって、適正な管理をしている合併浄化槽を下水道に接続させる必要が無いため、

 事実は、

 適正な管理をしている合併浄化槽を下水道に接続させる法律は実在しないのです。

 つまり、

 上記のQ&Aは、互いに全く関連が無い、ということです。

 これは、単純に、日本語読解力が欠けている背景があるようにも見えます。

では、

そもそも、

③誰が、「適正な管理をしている合併浄化槽でも下水道に接続しなければならない」、と発言したのでしょうか?

 もしも、行政の職員が発言した、とすれば、事実ではないことを発言していることになります。
 

見方を変えると、

上記のQ&Aは、

一般人が誤解するような記載の仕方ですので、詐欺師のような掲載例です。

これらは、

田舎でも公共下水道事業を推進する要因ですので、修正を求める必要があります。

田舎の公共下水道事業は、投資でも消費でもなく、浪費(無駄遣い)です。

全国的に、水道水の配管更新工事もできない状況の中、田舎の公共下水道は更新できないことが確定しています。

上記のQ&Aを整理しますと、

1,「浄化槽」とは、

 浄化槽法第2条に定義として規定されています。

「浄化槽法」
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 浄化槽 便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道(以下「終末処理下水道」という。)以外に放流するための設備又は施設であつて、同法に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第六条第一項の規定により定められた計画に従つて市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。

 簡略すると、

 便所と連結してし尿及び雑排水を処理し、公共下水道以外に放流するための設備又は施設、です。

 言い換えると、

 もしも、適正・適法な管理をしている浄化槽を下水道に接続しなければならない、とすれば、

 「浄化槽法」第2条で明文化された規定があるにもかかわらず、

 「下水道法」がこれを否定できるのか?という問題です。

 日本という国は、法の支配を受ける先進諸国の一員です。

 法律によって、規制される内容に違いがあると、社会が混乱し、秩序を維持できません。

 したがって、

 ある法律(=この場合は浄化槽法)に従っている行為が、

 他の法律(=下水道法)で否定されることは、決してありません

では、「A(アンサー)」のどこに問題があるのでしょうか。

2,「下水道法」で下水道への接続を強制しているのは「下水」です。この法律の目的は、環境を保全するためです。

 浄化槽法では、自然界へ放流される浄化処理済排水の水質についても規制しており、

 適正に管理されていれば、浄化槽は、法律で規制された排水基準を順守する設備です。

 法令の排水基準を順守している以上、排出される水は、法令や環境に適合した水であり、「汚水」ではありません。

 では、どの程度浄化処理すれば、汚水が汚水ではなくなるのでしょうか?

 この点については、

 「水の浄化とは?」というページに、さまざまな水について、水質の詳細を記載していますのでご覧ください。

さらに、

費用を掛けて設置した浄化槽を廃止、あるいは撤去してまで、公共下水道へ接続しなければならないのでしょうか。

よく考えると、

3,「浄化槽」というものは、財産でもあります

 また、住居や建築物を建てる時には、建築基準法の規定に従って、便所を設置しなければ、建築が許可されません。

 「浄化槽」とは、住民や使用者などが、国に強制されて設置した設備であり、また財産でもあるのです。

 憲法には、国民の財産に関して、次のような規定があります。

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 第③項の「正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」とは、

 基本的には「収用」だけが該当します。対象となるのは「土地」です。

 しかし、「浄化槽」の場合は、該当するような法律が存在しない、のが事実です。

 正当な補償も無しに、個人の財産を廃止や撤去させる法律は、存在しません。

上記のQ&Aは、以下の点で問題があります。

①「A(アンサー)」の

 「汚水を浄化槽で処理する方法は選択できません」

 という説明(≒「選択できません」という行政指導あるいは処分)は、明かに法令に反しており、間違いです。

 この地方公共団体の事務処理は、改善する必要があります。

 なぜなら、公務員のすべての業務(事務処理)は法律に基づいて実施されることになっているからです。

 「浄化槽法」という法律があり、後段のように規定されています。

 この法律を所管するのは環境省です。

 環境省の出先機関は、全国47都道府県にありますので、

 環境省に対して、「浄化槽は、下水道が整備されている地域では設置できないのか?」

 浄化槽法第2条と下水道法の公共下水道の接続義務の規定が、

 「条文を読む人の日本語読解力が低いと、矛盾しているように読み取れるようですが、・・・?」と

 確認して頂くと、

 正しい回答が得られるはずです。

「浄化槽法」
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 浄化槽 便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道(以下「終末処理下水道」という。)以外に放流するための設備又は施設であつて、同法に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第六条第一項の規定により定められた計画に従つて市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。

(浄化槽によるし尿処理等)
第三条 何人も、終末処理下水道又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条に基づくし尿処理施設で処理する場合を除き、浄化槽で処理した後でなければ、し尿を公共用水域等に放流してはならない

2 何人も、浄化槽で処理した後でなければ、浄化槽をし尿の処理のために使用する者が排出する雑排水を公共用水域等に放流してはならない

 再度の説明になりますが、

 浄化槽法第2条で明文化された規定があるにもかかわらず、下水道法がこれを否定できるのか?という問題です。

 異なった法律によって、規制される内容に違いがあると、社会が混乱し、秩序を維持できません。

 したがって、

 ある法律(=この場合は浄化槽法)に従っている行為が、

 他の法律(=下水道法)で否定されることは、決してありません。

法律を守らない行政

 上記資料から、下水道事業に関して、以下①~④のようなことが言える状態です。

下水道接続義務の問題について、議論の前提として

①行政(地方公共団体=市区町村)は、適切な法律運用をしていない。

②所管する国(農林水産省、国土交通省)は、法律の運用について、地方公共団体に対して適切な指導をしていない。

③下水道事業に関連するさまざまな機関も、当然、所管する国の運用に従って活動するだけ。

ということになります。

※公務員になれば、数年間で配置換えがあり、誰でもが公共下水道の担当者になる可能性があります。
市区町村の担当者の段階では、おそらく誰が担当者になっていたとしても、国の指導に従うはずです。
したがって、
地方公共団体の段階で、
法律を守らない姿勢を非難するのは、考えさせられるところです。

どんな法律であっても、法律は難しいものです。地方公務員の皆さんにとっても同じと思います。
したがって、いろいろな制度の基幹となるような法律の場合、解説書というものが発行されています。
法律の解説書は、一般的には所管する省庁が「逐次解説」などの名称で、発行しているようです。
下水道法の所管は国土交通省です。
ただし、「逐条解説下水道法」の編著は下水道法令研究会となっています。
上述のように、法律が守られない状況ですが、
国(国土交通省)は、事業を計画・整備する市町村に責任があるという見方です。


 上記の状態が適正であるか不適正であるかにかかわらず、

結果として、総務省は、下水道事業が「法定受託事務」ではなく「自治事務」であるため、

所管する国(下水道法を所管する国交省)が地方公共団体に対して是正の要求もしない下水道事業について、

現状に見合った決算処理の方法を指導するだけ。

ということになります。

大切なこと

 日本では「法律を守るのは当然」と考えられていますが、上記のように、実はそうでもない現実があります。

公務員であるかないかに関わらず、だれでも、ある部門の担当者になれば前例に従うのが一般的です。

したがって、いったん定着してしまった制度や仕組みは、それが適正かどうかに関わりなく継続していくものです。

ただし、民主主義あるいは法の支配を受ける日本ですので、

最終的には、

不適正であれば修正する必要があります。
 

 なお、下水道接続義務に関する諸問題は、

全てについて対応策・解決策は有りますので、

修正は早ければ早いほど良い、というのが基本です。

終わりに

 日本で初めて実質的に財政破綻した当時の北海道夕張市は、多額の下水道債を抱えていた、という実例があります。

逆に、下水道事業を廃止し、浄化槽整備事業に変更して成功した事例も全国各地であります。

「下水道とは?」というページに、実例を記載しています。行政の考え方の変遷なども含めて、ご覧いただけます。

実例からすると、

地方の下水道事業の早期見直しは、地方公共団体の現職もしくは将来の長の手腕にかかっているのかもしれません。

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