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SDGsとトイレ(SDGs対応型浄化槽)

はじめに

 SDGs対応型浄化槽は、

Sustainable Development Goals(SDGs:エス・ディー・ジーズ 持続可能な開発目標)

の考え方に沿った浄化槽で、

かつ、

浄化槽法に定める、適正・適法な浄化槽です。

循環利用は、基本的な生活環境の維持に関わる問題、あるいは教育の原点として、是非ご覧ください。

なお、このページは循環型社会全般を記載しましたので、かなり長く、項目別に「目次」を設けました。

下にスクロールし、「目次」をクリックすると、ご興味のある項目に飛び、再度項目をクリックすると目次に戻ります。

※SDGs対応型浄化槽とは?
し尿・生活排水を浄化すると、①処理水②余剰汚泥が排出されます。
SDGs対応型浄化槽とは、この2つの適正・適法な利用を目的にした、浄化槽法上の浄化槽のことです。

し尿・生活排水を浄化した後の処理水・余剰汚泥を利用することについて、
余剰汚泥は、し尿を肥溜めに貯留して嫌気処理するだけの、下肥(しもごえ)とは、全くの別物です。
例えるのは難しいですが、森林浴をするような環境で、周辺の土壌のような、そんな感覚です。
このページを最後までお読みいただければ、
あらゆる観点から、称賛、あるいは推奨して頂けるよう、
今後、さらに追加して、すべての“事実”の編集を続けて参ります。
ご指摘等が御座いましたら、お手数ですが、ご連絡いただけますようお願い申し上げます。

 

なお、事業場の廃水は、基本的には対象外ですので、「難分解物質排水の浄化処理(COD除去)」をご覧ください。

1、浄化槽とは?

 このページでは、汚れた水を浄化することについて書いています。

ただ、内容は、地球上のどこにでもある自然環境

例えば、山や河川や庭や道路わきなど、

どこでも、同じような自然環境を液状に置き換えただけのことです。

し尿や生活雑排水(家庭から排出される廃水)は、水を多量に含むことから、液状です。

液状の廃水について、最適な浄化方法を検討した結果、浄化槽という効率的な設備にたどり着いたに過ぎません。

浄化槽でも、自然環境でも、浄化あるいは分解処理するのは、基本的には微生物たちです。

廃水に含まれる物質は、人にとって「汚れ」であっても、微生物たちにとっては、エサになります。

微生物たちは、そこら中にいます。

いろいろな生物や人間の体内や体表面にもいます(=常在細菌と言います)。

私たち人類も、飲食物を体内の常在細菌に分解してもらい、生きていられるのです。

 浄化槽が自然環境と異なる点は、

限られた浄化槽の容積で、効率よく浄化する必要があるため、

ばっ気用のブロワ(=電気モータで動く送風機)を設置する必要があること、

したがって、

仮に消費電力35W(0.035kw/時間)のブロワを設置したとすると、

1kw当たり17円として、24時間365日連続運転すると、約5,212円/年間の費用がかかる、ということです。

汚れた水は、ありとあらゆる生き物に影響を与えます。

しかし、

水に含まれる汚濁物質は、

微生物にとっては飲食物、

微生物を「食物連鎖」の起点とすれば、

すべての生きている動植物にとって、汚濁物質こそが食物連鎖の出発点、ということになります。
 

これを機会に、私たちが汚してしまった水の浄化処理の諸問題について、

気づき、知って、行動を起こすのも良いのではないでしょうか。

(1)SDGs対応型浄化槽とは?

 ところで、浄化槽は、し尿や生活雑排水の浄化をするための設備・施設、と浄化槽法で定められています。

もう少し詳しく説明しますと、

公共下水道の有無・計画区域・供用開始に関係なく、

家が建てられる場所であれば、

し尿や生活雑排水を浄化をするため、

浄化槽法という法律に基づいて設置できる設備・施設です。

SDGs対応型浄化槽とは、現行法で定義する浄化槽の性能や目的に加えて、

浄化槽を設置した地域で、処理水や余剰汚泥を再利用すること(循環型社会対応)が可能です。

したがって、処理水(=河川などへの放流水)の水質は、浄化槽法や関連する法律を厳守するだけではなく、

ヤマメやイワナが生息できる水質を目標値として設定し、設計(構造基準を満たした上で高処理性能設計)します。

また、余剰汚泥についても、浄化槽を設置した場所で処理可能な維持管理ができるように設計します。

SDGs対応型浄化槽は、汚泥減容率や汚泥還元率の試算基礎になる情報、余剰汚泥の還元場所の実態など、

詳しくお聞きしてから設計することになります。

SDG’s対応型浄化槽は、お客さまの希望をお聞きし、個別設計、現場施工で対応する形式です。

庭や畑がある場合、処理水や余剰汚泥を散水や肥料もしくは堆肥として再利用するだけで、

一般的な浄化槽に比べて、コストはかなり低減できます。

 ①余剰汚泥とは?

 微生物群は、汚れ成分をエサとして摂取していますので、少しづつ増えます。

したがって、狭い浄化槽内に必要以上に増えた汚泥状の微生物群を「余剰汚泥」として施設の外へ取り出します。

「余剰汚泥」は、ほとんどが微生物の集合体で、拮抗した状態で存在し、バランスが取れた状態です。

浄化が十分進んだ余剰汚泥(水分98%程度)は、耕作地などに薄く施すと、植物が驚くほど元気に生育します。

 ②SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥とは?

 ヤマメやイワナが生息していそうな清流の周辺の土壌をスコップですくい、

その中から、落ち葉や小枝、砂や小石などを取り除いたもの、

つまり、微生物がすぐには浄化処理できないものを取り除いて残ったようなもの、とお考え下さい。

少し異なるのは、余剰汚泥の方が栄養バランスが格段に良いこと、

含まれる繊維質は、最も細分化された状態で土壌に還元されやすい状態、ということです。

SDGs対応型浄化槽は、浄化レベルを高く設定するため、処理水と一緒に散布できるメリットがあり、

しかも、し尿や生活雑排水だけが原料なので、人間のバランスの良い飲食物をエサにした微生物群、

あるいはトイレットペーパーなどの植物繊維を自然へ循環させることになります。

定期的に、SDGs対応型浄化槽の余剰汚泥を耕作地に還元するのは、自然栽培そのものです。

注意いただきたいのは、昔の「コエダメ(肥溜め)の下肥(しもごえ)」とは全くの別物であることです。

勘違いから、一般的には厄介者扱いとなってしまった浄化槽の「余剰汚泥」をどう処理すべきか、

この解答を出すことが、

生活排水処理の最も重要な課題、視野を広げると、SDGsや環境保全問題の終局的解決策になります。

SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥は、完璧な、立派な肥料あるいはたい肥としての価値があるのです。

 ③対象者

 2020年現在でも、みなし浄化槽(単独処理浄化槽)や、汲み取り便槽を利用している方は、日本全国におられます。

地方に比較的多くあり、し尿は浄化あるいは汲み取りしても、生活雑排水を浄化処理していない、と考えられます。

また、年式が古く浄化処理性能が低い場合や更新時期を迎えている浄化槽もかなりあります。

こういった方々に向けて、SDGs対応型浄化槽を製品化することにしました。

参考までに、廃水浄化処理の現状について、

日本における廃水浄化の概略を推察していただくことを目的に、ページを作りましたので以下にご案内します。

なお、お住いの市町村によっては、浄化槽設置費用の補助金制度を採用している場合があります。

 

 SDGs対応型浄化槽は、上記のように、法令を遵守しています。

しかし、現実の問題として、

隣接地に耕作地を所有している、

もしくは住宅敷地面積をかなり広く所有しており植栽している、

ような場合でも、

都市部での採用は、当面の間は難しい、と考えております。

現実の問題というのは、余剰汚泥が土壌化するための土地が必要なこと、一番の問題は、近隣住人の心の問題です。

ただ、都市の農業については、後述の「都市での農業」のように、評価や考え方は少しづつ改善されてきています。

数十年経過すれば、ひょっとすると都市部でも余剰汚泥の循環利用が受け入れられる時代になるかもしれませんが、

現状では、まだまだ理解される状況ではないようです。

したがって、当面、都市ではなく地方に居住されている方は、

是非、SDGs対応型浄化槽を採用いただきたく、ご検討をお願い致します。

なお、SDGs対応型浄化槽は、個別設計となるため、プレキャストコンクリート製を前提にしております。

駆体(プレキャスト性コンクリート浄化槽本体)の現実的な耐久年数は住宅と同程度以上です。

このページ内の目次です

 浄化槽で廃水を浄化処理した後、処理水を再利用する場合、どの程度きれいな水を目指すべきか?

SDGs対応型浄化槽を注文する方、ご本人に十分にご理解いただく必要があります。

まず、浄化槽処理水の水質を表す一般的な指標(表-1)をご覧ください。

当社の基本方針は、BOD濃度が常時2mg/ℓ以下(ヤマメやイワナが生息可能な水質)になるように設計します。

コイが住めるような水質の基準が、BOD濃度5mg/ℓ程度です。

なお、浄化槽法の排水規制値(=放流水の水質基準)は、

放流後の自然環境の浄化作用を見込んでいるため、上限値BOD濃度20mg/ℓ以下としています。

 少し想像していただきたいのですが、

浄化槽というものは、入ってくる廃水の濃度や量などの性状によって、浄化処理されて排出される水質は異なります。

したがって、設計段階で、最悪の使用条件を具体的に想定しておく必要があります。

設計の視点では、廃水の性状、浄化処理能力、が同じ浄化槽であれば、

単純に、水槽容積が大きければ大きいだけ、水質が良くなり、

余剰汚泥の減容率も高くなる(=余剰汚泥排出量が少なくなる)、という考え方です。

 

 実務的には、し尿や生活雑排水を浄化処理するのが難しいということはありませんので、

BOD濃度が常時2mg/ℓ以下の水質を維持することもそれほど難しいことではありません。

ただし、先述の通り、廃水排出者側の日常の排出の仕方次第で、放流水の水質が大きく変化することがあり得る、

ということを常に念頭に置いて、浄化槽の使用と維持管理をしていただきますようにお願いいたします。

日本で浄化槽を設計する場合の基礎資料はこちら(「家庭排水の性状」)に記載しました。

 

水質の指標の例(表―1)

水素イオン濃度(pH)

規制値は、5.8~8.6となっています。pH7が中性になります。

生物化学的酸素要求量(BOD) 20度で1ℓの水中の微生物が、5日間に活動して使う酸素の量です。
化学的酸素要求量(COD) 微生物ではなく酸化剤を使って酸素の消費量を計測します。
浮遊物質量(SS)

水1ℓに対し、大きさ2mm以下で孔径1μmの濾紙に残る物質量を計測します。

全窒素(T-N) 水1ℓに含まれる窒素の総量のことです。
全リン(T-P) 水1ℓに含まれるリンの総量のことです。
ノルマルヘキサン抽出物質量 水1ℓに含まれる油成分の指標のことです。
大腸菌群数

「残留塩素が検出される」時、生活雑排水全ての試料について、大腸菌群数が

100~1,000個/mℓ程度に低下していたという実績に基づく指標です。

 

 「水質汚濁防止法」によって、法令の排水基準は、「排水基準を定める省令」の別表第2で一覧にされています。

細菌に関しては、放流水の大腸菌群数は3千個/cm3以下、と規定しています。

実際には、浄化槽で、BOD濃度2mg/ℓ以下まで浄化処理できていれば、

消毒工程が無くても、大腸菌群数はほぼ間違いなく検出されません

なお、大腸菌群という場合、動物の大腸以外であっても生息可能な土壌細菌として生息する菌も含んでいます

 大腸菌群数は、それ自体が人の健康を阻害するものではありません。

大腸菌群数の検査の目的は、次の2点です。

①し尿によって汚染された可能性を判定するため、

②大腸菌群が存在するということは他の病原菌も存在する可能性があるため、

 大切なことは、もともと、人間のし尿には、100万個/mℓ以上の大腸菌群が含まれています。

しかし、上記②にも関連しますが、大腸菌群の殆どは人間に対して病原性がありません。

 「水の浄化とは?」というページに、自然界には、化学式HOだけで表される水は存在しない、と記載しました。

これは、廃水を浄化処理する場合、水質レベルをどの程度まで浄化すればよいのか?を検討する際に必要です。

念頭に入れて頂きたいことは、どれだけ浄化しても、どれほどきれいな河川であっても、微生物は残存します。

また、微生物を含めて、わずかに水に存在する汚濁物質は、自然界のすべての生物の栄養素供給源になりますので、

除去すべき汚濁物質の程度を社会共通認識として、共有する必要があるということです。

 病原菌(病気や感染症を引き起こす可能性のある微生物)となり得る細菌やウィルスなどは、

自然界や一般人の“常在細菌”として、普通に存在していますが、

優勢化するような要件がそろわない限り、

あるいは、

普通の健康状態の人が普通に生活している限り、

通常は、他の常在細菌との拮抗作用や、

宿主(=ここでは人)の免疫機能が働くなどで、

発病することを心配する必要は無いものです。
 

また、

殺菌(対象とする微生物の種類や取り除く程度に決まりはなく、一種類の微生物しか数が減らせなくても、少ない数の微生物しか取り除けなくても、殺さなくても、とにかく微生物の数を減らすことができれば「殺菌」を表示できます)したり、

滅菌(日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になること。これは、病原体・非病原体を問わず、すべての微生物を死滅、または除去することに等しい。)したり、

消毒(感染症を惹起し得ない水準にまで病原微生物を殺菌または減少させること)したり

とにかく、

四六時中、病原菌やウィルスが優勢化するような要件を心配する生活は、

普通の生活とは言えない

あるいは、過剰な殺菌・滅菌・消毒は、

他の微生物などとの拮抗作用や、宿主(=ここでは人)の免疫機能などの劣化・退化を招く可能性や、

不特定多数の微生物について、薬剤の耐性が備わる危険性など、

さまざまな影響が危惧されます

※大腸菌群と大腸菌について
実態調査では、大腸菌群は再生処理後に増殖する場合があったが、大腸菌は再生処理後の増殖が殆ど見られなかった。従って、糞便性汚染を示す指標としては、大腸菌の方が指標としてより相応しいと判断された。(「下水処理水の再利用水質基準等マニュアル」(2005年国土交通省)より抜粋。
宿主(しゅくしゅ)・寄主(きしゅ)とは?
ウィルス、細菌、寄生虫などが寄生、又は共生する相手の生物のこと。
一般的に、宿主が死んでしまうと寄生している生物も死んでしまうため、宿主に大きな害を及ぼさないものが多い傾向があります。しかし、スペインかぜ、あるいは2020年のコロナ感染症の初期のように、本来の宿主以外の生物に入った場合、もともと宿主に大きな害を与えない寄生者であったとしても、宿主の免疫系などとの相互作用がうまくいかず、宿主が重篤化したり死亡したりする場合もあります。また、感染力が強く、次の宿主に容易に移動し、宿主の致死率が非常に高いエボラウィルス感染症などもあります。

 尿は基本的に無菌ですので、

し尿・生活雑排水を浄化して排出される排水(放流水)に細菌が含まれるとすれば、

大腸菌を含むさまざまな菌の由来は、ほとんどが大便ということになります。

しかし、し尿・生活雑排水は、(公共下水道以外では)浄化槽を経由しないと、河川へ放流できません。

したがって、適正・適法に管理された浄化槽の放流水が原因で、病気になる可能性は極めて低い、と考えられます。

大腸菌群のイメージ

 水系感染症(=水を経由した病原微生物の侵入)は、3つの経路が考えられています。

①病原細菌による感染症、②病原ウィルスによる感染症、③寄生虫による感染症。

調べてみましたが、

浄化槽の処理水を原因とする感染症あるいは疾病の関係性について、

処理水中や余剰汚泥中の細菌・ウィルス・寄生虫の除去率についての調査結果は、散見されますが、

処理水を原因としての発病したケースがあるのか、関係性を証明できる疫学的調査、関連する文献は無いようです。

 公共下水道の場合、浄化処理されていない廃水が、終末処理場に至るまでの配管の中を流れています。

配管の中身は、今は設置が禁止されている単独処理浄化槽のような、浄化されていない廃水の状態です


ちなみに、

日本の水道水の基準は、

一般細菌:100/mℓ以下、

大腸菌:検出されないこと

となっています。

 概略は次のように考えられています。

し尿だけですと、1ℓ~1.5ℓ程度ではないでしょうか。

お風呂屋、洗面所、調理場、洗濯機置き場などからの洗浄排水がありますので、排水量は増えます。

排水量:200ℓ、BOD:200mg/ℓ、COD:90mg/ℓ、SS:175mg/ℓ、全窒素:36.5~50mg/ℓ、全リン:4~5mg/ℓ。

 飲料用水でないため、明確な法律規定はありません。

下水処理水の再利用水質基準等マニュアル(2005年国土交通省策定)や、排水再利用・雨水利用システム計画基準など、

また、地方公共団体が条例などで個別に規定している場合があります。

浄化槽で浄化処理した放流水を再利用する場合は、

最悪の場合でも浄化槽法の放流水の水質基準、BOD濃度20mg/ℓ以下を厳守する必要があります。

また、設置場所の地方公共団体が、条例で排水の水質を規定している場合は、その規定に従う必要がありますが、

BOD濃度が常時2mg/ℓ以下、ヤマメやイワナが生息可能とされる水質、であれば支障ありません。

参考までに、水道水の水質基準の変遷などもご覧ください。

 浄化槽による廃水の浄化作用は、主に、微生物(体内酵素・体外酵素)の消化や吸着によるものです。

廃水の中に含まれる汚濁物質をエサにしているわけですから、当然、微生物は増殖します。

エサは流入し続けますから、微生物はどんどん増えます。

しかし、浄化槽の容積には限りがありますので、必要な微生物は一定量だけです。

したがって、余分な微生物は、余剰汚泥として浄化槽から排出することになります。

余剰汚泥は、見た目は汚泥状ですが、ほとんどが微生物の集合体です。

具体的には、放流水の水質がBOD濃度20mg/ℓ以下の時、微生物の割合は7~8割程度と考えられています。

汚泥の中で、微生物以外に含まれる物質は、

トイレットペーパの原料の植物繊維など、浄化槽での滞留期間だけでは微生物が消化しきれない物質となります。


余剰汚泥は、法律上、そのままの状態では「一般廃棄物」、

流通する場合に肥料登録すれば「汚泥肥料」と定義されます。(後述「4、余剰汚泥の評価と法律 ①肥料とは?」)

ただし、十分に浄化処理された処理水と一緒に槽内から排出して耕作地などに散布されると、

ほとんどが微生物の集合体で、豊富に栄養素が含まれるため、急速に減容し、生分解速度が格段に早まり、

結果として、耕作物を元気に生育させます。

原因は、急速な乾燥と、分解に関わる外的要因が浄化槽内よりも増えるためです。

考えられる要因は、

(微生物以外の)捕食者の増加、水を介さず捕食者あるいは酵素と接する、太陽光による劣化、などです。
 

 SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥とは、どんなものか?

実際にヤマメやイワナが生息していそうな川の周辺の土壌をスコップですくい、

その中から、落ち葉や小枝、砂や小石などを取り除いたもの、

つまり、微生物がすぐには浄化処理できないものを取り除いて残ったようなものとお考え下さい。

少し異なるのは、余剰汚泥の方が栄養バランスが格段に良いことです。

余剰汚泥には、し尿や生活雑排水だけを原料とする場合、立派な肥料あるいはたい肥としての価値があります。

 

 私達が食べるミネラルなどの栄養素が豊富な野菜や果物など、つまり農作物は、農地から収穫されます。

農作物は、主に光合成で成長しますが、光合成以外に、農地からミネラルなどの栄養素を吸収して成長します。

牛・豚・ニワトリなどの畜産物はエサで成長しますが、彼らのエサのほとんども、農地から収穫される農作物です。

つまり、私たちが飲み食いする牛乳や肉類も、農作物が形を変えて出来ている、ということができます。

栄養素とは?
人の場合、タンパク質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラルに分類して、5大栄養素としています。
欠乏すると、生命が維持できず、死に至ることがあります。動植物の栄養素は、種により異なります。

 

私たちは、直接的あるいは間接的に、農地からミネラルなどの栄養素を食事として取り込んでいることになります。

これとは逆に、農地は、農作物を収穫するたびにさまざまな栄養素が抜き取られ、やせ細ることになります。

食事は、私たちの排泄物となり、浄化槽で微生物の消化を経由し、汚泥に変換され、余剰汚泥として排出されます。

 

循環型社会を考慮すれば、

農地から収穫された耕作物を利用した人は、

余剰汚泥を

持ち出した農地へ還元すべき必然性があるのではないでしょうか。

現状、余剰汚泥は、循環系の外へ廃棄(コンクリート原料としての再利用、焼却、埋め立てなど)されています。

私たち人間は、耕作地から収穫物を搾取したいだけ搾取し、

実態としては、

搾取して排出される廃棄物は、循環利用しない、どう処理されているかも関心を持たない、

つまり、自然環境に責任を持たない、循環型社会に則した環境保全活動とは程遠い状態です。


ところで、余剰汚泥は、昔のコエダメ(肥溜め)の下肥(しもごえ)とは全くの別物です。詳しくは後述します。

 「農業」とは、「農耕」と「畜産・牧畜」を含めて表す言葉です。

一般的には、「農耕」には、畜産・牧畜(養豚・養鶏・鶏卵・酪農牛・畜産牛、馬・羊の放牧など)を含みません。

しかし、

農耕による収穫物を畜産・牧畜で飼育する草食動物の飼料として供給しますので、両者には密接な関係があります。

基本的に、「農耕」と「畜産・牧畜」は、切り離して考えるようなものでは無いのです。

したがって、農耕だけ、畜産・牧畜だけ、ではなく、

少なくとも、「農業」を一つのくくりにしていろいろなことを考える必要があります。

化学肥料を使用する必要はありませんが、

適度な有機「肥料」あるいは微生物群などを耕作地に投入しなければ、

多収穫に見合った土壌に豊富な微生物群を保持できにくいため、

有機物を分解したり、効率的な収穫すなわち収益とは程遠くなります。

落ち葉や伐採した樹木のチップのみで、有機肥料あるいは微生物群などを耕作地に投入しないで耕作した場合でも、

ミミズなどに十分に分解された土壌の層に根を張った農作物は、多肥栽培のような傾向になりますが、

分解が進んでいない層にしか根を張れない農作物は、

しっかりとした農作物に育ちますが、組織が固くて美味しくなく、また多収穫は望めません。

落ち葉や伐採した樹木のチップなどの有機物を耕作地に上積みしていくだけでは、

多収穫する収益性の高い農業の場合、微生物の培養が追い付かなくなってきます。

そもそも、多収穫を目指した「収益性の高い農業」であれば、

それ自体が自然とは少し異なりますので、

多収穫を補填する(落ち葉や伐採した樹木のチップなどの有機物を継続して分解する)ため、

有機肥料や微生物群などを投入しない農業は、自然ではないので、自然栽培ではありません。 

また、有機肥料を使用しないのであれば、「農業」ではなく、「農耕」です。

膨大に増えた人類の飲食物がもとになった排出物、具体的には、

し尿・生活排水を浄化処理する浄化槽から排出される浄化処理水やほとんどが微生物の余剰汚泥、

あるいは、人類の飲食物の元になる畜産からの排出物を含めて、

自然界と同じように、循環型社会を考える必要があります。

これらの排出物を含めた農業の健全な発展が、世間が求める理想です。

 さまざまな農作物の栽培方法が注目されています。YouTube動画でも、さまざまな栽培方法が紹介されています。

代表例を以下に一覧にしてみました。

なお、同じような農法の中でも、肥料(≒栄養素)を施肥することの是非について、色々な考え方があるようです。

その肥料が、何から作られているのか、

人工的に製造された化成肥料か、

畜産・牧畜の排出物から作られた有機肥料か、

自分たちが排出した余剰汚泥か、

耕作者の主観で考える、雑草や落ち葉などの堆肥だけか、

というようなことで評価が分かれています。

農法とは?

 ここ数年、自然農(法)というものが注目を浴びています。

自然農(法)では、

化学肥料以外の余剰汚泥を含めた有機肥料も一切施肥しない、という主張が、高評価されています。

これまで述べてきましたように、余剰汚泥を循環させない農耕は、自然環境に対して責任を果たしているのか?

あらためて深く考えることが必要なのではないでしょうか。

「今だけ、金だけ、自分だけ…」に近いものになっていないかと。

農法を考えること、あるいは、実際に自身で農耕をすることは、衣・食・住の「衣」を考える機会になり、大切です。

飲食物の生育について、他人事ではなく、自身のこととして、深く考える良い機会になる、と思います。

上述のように、(農耕ではなく)「農業」というものは、

自然の摂理、農業界の振興、食料自給率改善、余剰汚泥、SDGs教育など、広い分野に関連しており、

義務教育の実習として、取り入れることが大切です。

肥料を与えない「農耕」を推進・推奨されている方々は、

自分たちの排せつ物について、まだ気づいていない、あるいは、解決できていない課題があるように思います。
 

余剰汚泥は、処理水と一緒に薄く散布すると、作業が効率的で、施肥方法としても理にかなっています。

余剰汚泥を薄く散布された周辺の耕作物は、驚くほど元気に生育します。
 

 ところで、自然農(法)の先駆者としては、福岡正信氏が有名です。

 不耕起栽培については、ここにたどり着くまでにはとんでもない努力があったのだと、知らされます。

他にも、自然農(法)に取り組んでこられた方は、多くおられます。

川口由一氏もそのお一人です。

では、不耕起栽培をした場合、どのような状態になるのか?

下記動画の「2/6 その豊かさと慣行農法との違い」の最後の節で取り上げられていますので、是非、ご覧ください。

不耕起栽培は、

海外では、福岡正信氏のご活躍により、日本よりも早い1980年代から注目を集め、

現在では世界中に広がりはじめており、

考え方として、環境省の唱える「発意」の代表例と言えそうです。

※「発意」とは?
(意見・計画などを)考え起こすこと。思いつくこと。考え出すこと。

他に、

道法正徳氏の植物ホルモンの作用を基礎として考える栽培・剪定方法、あるいは、

耕作地における従来の価値観とは異なる石の効用についての考え方などは、

草木を問わず、果樹・果菜栽培では画期的で、発意と考えられそうです。

同じように、

SDGs対応型浄化槽に係る余剰汚泥を処理水と一緒に耕作地などに薄く散布して返還する施肥も、

発意のひとつと考えられます。
 

以下に、川口由一氏の動画へのリンクを貼り付けます。
「自然農に切り替えた時 村から出て行ってくれと言われた」真のサスティナブル川口由一の自然農 1/6 自然農を選んだ激動の人生(18分58秒)

「なぜ自然農の土は豊かなのか?慣行農法の米作りの流れとともにその理を学ぶ」
真のサスティナブル川口由一の自然農 2/6 その豊かさと慣行農法との違い(17分30秒)

「原っぱに苗移植!?」自然農の米作り〜記録映画を参考に〜
真のサスティナブル川口由一の自然農 3/6(22分59秒)

「自(おの)ずから然(しから)らしむる農」「実りの妨げといかに向き合うか」
真のサスティナブル川口由一の自然農 4/6(10分51秒)

「最初は断ろうと思っていた」赤目自然農塾のはじまり
真のサスティナブル川口由一の自然農 5/6「農村の変革は都市住民から」(14分6秒)

そこは桃源郷でした
真のサスティナブル川口由一の自然農6/6 番外編〜川口さんの絵とともに〜(5分30秒)

 耕作物の生育に必須な元素は、現時点で解明されているのは、17種類です。

植物の必須元素

 上述のように、「農耕」だけではなく「農業」として、循環型社会を考える必要がある、という前提では、

有機肥料を施肥する農業が必要、つまり、有機農業が必要、という結論になります。

「有機農業の推進に関する法律」(平成18年略称「有機農業推進法」)が関係法です。

後述する「農業基本法」第4条、第32条は、有機農業に関係しています。

 植物は、病気・害虫被害以外に、

水分量・必須元素・温度・光・空気・根茎や根のpH・化学物質などの影響で、生育に障害が出ることがあります。

この内、塩類濃度やpHは必須元素の溶解性に影響し、元素があるにもかかわらず、欠乏症に陥ることがあります。

都道府県が作物の種類、土壌、作型等の別に標準的な施肥量等の基準を公開していますので、参考になります。

 日本の場合、農業関係を管轄するのは、農林水産省です。

農林水産省のウェブサイトのホーム(最初のページ)を開き、下の方にスクロールすると、

農林水産省の部門別にさまざまな政策が閲覧できます。農林水産省には、たくさんの政策があることが分かります。

たくさんの政策に分かれていますが、政策同士、少しづつ相互に関連性があります。

以下に2つの法律をご紹介します。

1.「食料・農業・農村基本法」(平成11年略称「農業基本法」)

2.「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」(略称「みどりの食料システム法」令和4年7月1日施行)

※「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」(平成11年略称「持続農業法」)、「みどりの食料システム法の施行(令和4年7月1日)と同時廃止されました。

農薬関連

 「日本食品標準成分表」と「日本人の食事摂取基準」というものがあります。

この2点について、考え方や評価はさまざまですが、

傾向として、ビタミン・ミネラル類の摂取量が不足傾向にあることを危惧する方向、ではないでしょうか。

余剰汚泥を自然循環させる必然性につながる要素の一つです。

 食品成分表など、略称されることもあります。

所管するのは、文部科学省です。

「給食事業等のほか、栄養成分表示をする事業者や個人の食事管理におけるニーズの高まりに応えるため、文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会の下に食品成分委員会を設置及び検討を行い、調理済み食品の情報の充実、エネルギー計算方法の変更を含む全面改訂を行ったものです。」
と解説があります。

何回か改訂されていますが、傾向として、野菜などの栄養価が少しづつ低下しているのでは、という指摘があります。

ただし、

①分析方法や②記載される成分が見直されて異なるケースがある、という点に留意する必要があります。
 

 厚生労働省が所管する「日本人の食事摂取基準」は、

健康増進法(平成14年法律第103号)第16条の2の規定に基づき、

国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を

厚生労働大臣が定めるもので、5年毎に改定を行っています。

厚生労働省の「「日本人の食事摂取基準」策定検討会」が報告書を出し、これを基に告示します。

 ③不足気味のビタミン・ミネラル

 ビタミンやミネラルが不足するとさまざまな症状が出ます。

ただし、症状が出るようでは、対応が遅すぎる、と言えます。

 1991年、アメリカ合衆国のBiosphere2(バイオスフィア2=第2の生物圏)という

巨大な密閉された建築物、つまり人工的な生態系で、

地球を離れ、宇宙空間に移住する場合、閉鎖された狭い環境で生存することが可能かを検証するため、

科学者8名が、閉鎖された生態系に滞在する実験、

つまり、小さな地球を再現し、

その空間で持続可能な自然環境を再現することが可能か、実証実験をしました。

100年間の継続を目標に、「全ての廃棄物を循環利用する仕組み」を構築し、

農耕による飲食物と酸素の自給自足を持続する実験です。

ただし、生命維持に必須の一定の気温や放射線を含む太陽エネルギーの制御は、外界から電源を供給しました。

結果は、継続不能となって、2年間で中止になっています。


ここでは、汚泥の循環利用について深く考えていただくため、ひとつのテーマとして取り上げました。
 

単純に、

水と空気と太陽光以外に、耕作地からさまざまな栄養素を吸収して生育した収穫物と

それらを飲食した人と家畜、

さらに、人は、家畜も食べることになります。

飲食後は、人も家畜も、し尿・生活雑排水を排出します。

し尿・生活雑排水は、

元々は耕作地に蓄積されていた栄養素、

これにプラスして、水と空気と太陽光から生育した収穫物が、姿形を変えたものです。

したがって、閉鎖された空間での限定的な生態系を維持するためには、

当初の運営が順調だったとすれば、その順調さを何年にもわたって持続するためには、

「そこにあった全ての廃棄物を循環利用する仕組み」が必要であり、

農耕だけではなく農業全体として、一括りにものごとを考察する必要があり、

汚泥の循環利用も当然必要だったのではないか、とご理解いただけるように思います。

 

 し尿・生活雑排水に含まれる物質は、飲食物と洗剤などです。

しかも浄化処理は、比較的容易な部類と言えます。

したがって、

それらの分子構造を考えると、

浄化槽に入る廃水は、浄化処理期間を制限しなければ、微生物とその酵素による分解を経由して、

最終的には、主には水と二酸化炭素、他に窒素ガス、メタンガス、硫化水素などに分解されます。

つまり、理論上は、浄化槽容積を大きくすれば、時間をかけて、余剰汚泥を限りなくゼロに近づけることが出来ます。

ただし、浄化槽の容積を大きくすると、浄化槽本体価格と工事費は比例するように高くなってしまいます。

以上のことから、

SDGs対応型浄化槽の設計は、

目標とする処理水の水質と、余剰汚泥を散布できる庭や耕作地面積の関係で決まることになります。


また、浄化槽の価格や工事費を抑えるためには、できるだけ浄化槽をコンパクトにしようという考え方があります。

しかし、浄化槽をコンパクトにしても、メンテナンス(保守点検)の際には、障害になることがあります。

SDGs対応型浄化槽を総合的に考えると、

電源が必要なブロワ(送風機)を設置していますので、

観賞魚を飼育しているように、

水槽で、観賞できない微生物を飼育し、

たまには、

自分たちが汚した水をきれいにしてくれる微生物のことを考え、

水槽をメンテナンスしてあげる、

というような考え方が理想のように思います。
 

※廃水を敷地内で完全に循環処理する方法について
廃水の排出量が少ない場合、
敷地外へ処理水も余剰汚泥も排出しない方法は、理論的には可能です。
廃水に有害物質を含まないのであれば、
隣接地や周辺地域への悪影響がない限り、
取り締まる規制は見当たりません。
ただし、浄化処理状況が常に明らかな管理状態が、メンテナンスを考えると、望ましいと思われます。
特に人毛などの夾雑物や余剰汚泥の流動性には、どんな廃水であっても、一定の限界がありますので、
万が一、滞留した場合には、工事工程を考えて人工的に除去する作業が必要になります。
作業対象は廃水ですから、あらゆるメンテナンスの作業工程を具体的に想定しておく必要があります。

 

 SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥は、本来は、立派な肥料あるいはたい肥としての価値があるものです。

ご注意いただきたいのは、昔の「コエダメ(肥溜め)の下肥(しもごえ)」とは全くの別物です。

余剰汚泥の原料は、私たち人間が飲み食いしたもの、洗面所や風呂場やキッチンなどの洗い場で流した廃水です。

そして、余剰汚泥のほとんどが、これらをエサとして増殖した微生物の集合体です。

余剰汚泥の物質としての実態とは別に、汚泥の評価は、さまざまです。

以下は、余剰汚泥をさまざまな考え方や方法で自家消費する場合について記載しています。

事業として余剰汚泥を流通させる場合は、「肥料取締法」(=肥料の品質の確保等に関する法律)の規制対象です。

この場合、定期的な登録や分析などの手続きが必要です。

 自家消費する場合は、肥料取締法の対象になりません。

自家消費する場合は、そこで生活する人々のし尿・生活雑排水を浄化した処理水や余剰汚泥ですので、

重金属などの有害物質が入る心配もありませんので、

そもそも登録や分析は必要ない、と理解いただけると思います。

 

「汚泥」としてではなく、処理水と一緒に余剰汚泥を散布する場合は、

法律上、処理水の水質としての規制値BOD濃度20mg/ℓ以下を厳守している限り、処理水と一緒に再利用できます。

※SSがBOD値に反映する割合について
余剰汚泥は、ほとんどがSS(Suspended Solid:懸濁物質、浮遊物質)に該当します。
SS値もBOD値も単位は、同じmg/ℓです。
SSは、廃水の性状にもよりますが、BOD値に30%程度は反映しますので、法律上の注意が必要です。

※定期的な散水の大切さ
処理水を散布する耕作地などの面積によりますが、定期的に処理水を散水していれば、
余剰な汚泥(=SS)は、たまり難くなります。
汚泥(=SS)は、水中に比べて地上部では、
太陽光にさらされたり、微生物に接触する確率が上がるなどのため、分解が格段に早くなります。
したがって、耕作物の生育のため、また余剰汚泥をあまり出さないために、定期的な散水が大切です。

※年間1回以上の清掃義務について
法律上、浄化槽・みなし浄化槽は、年間1回以上の清掃(=汚泥引き抜きを伴う清掃)が義務です。
しかし、耕作地などへ余剰汚泥を散布すると、余剰汚泥が発生せず、一般にいう簡単な清掃で済みます。
法律では、余剰汚泥の散布行為を想定していないためか、余剰汚泥が無い場合など、
清掃が不要な場合の規定は、見当たりません。

SDGs対応型浄化槽の処理水を散水に、余剰汚泥を肥料に、還元利用することは、自然環境上で言い換えると、

ヤマメやイワナが住むような川の水を散水し、一緒に周辺の肥えた土のようなものも散布する、ということです。

想像するよりも現物を手に取って観察していただくのが良いと思います。

市販されている腐葉土のようなものをふるいにかけて出てくるような細かい形状のものという感じです。

腐葉土などと異なるのは、余剰汚泥の方が栄養バランスが格段に良いことです。

 

実際には、

し尿や生活雑排水だけを浄化処理した後に排出される余剰汚泥を施された周辺の植物は、驚くほど元気に成長します

循環型社会という考え方について、あらためて納得して頂けるはずです。

※ご注意いただきたいのは、一度に多量に散布すると、酸欠状態になって腐敗する可能性があるため、施肥厚を薄くする必要があります。浄化が進んだ余剰汚泥は、ほとんどが微生物のため、地上に薄く散布するとかなり早く分解・乾燥します。したがって、定期的な汚泥抜き取りと散水が大切です。
関連して、
C/N比という考え方は、施肥厚に大きく影響されるように思います。
したがって、施肥厚が薄い場合にも、C/N比という考え方が適当なのか、見直す必要があります。

 浄化槽に入る廃水の元は、

トイレからは、飲食物やトイレットペーパー、微量の医薬品などです。

洗面所、台所、風呂場からは、化粧品、歯磨き粉や毛染め剤、洗剤類、柔軟剤、その他薬剤などです。

※トイレと紙
トイレに流せる紙は、基本的には、トイレットペーパーだけです。
ティッシュペーパーや「紙おむつ」などは、水でバラバラにならないため、使用できません。

これらの廃水の元になった商品は、色々な企業が工場で製造していますが、

商品になる前、原材料の段階では、

さまざまな法律で、一定の管理・規制がされています。

(薬事法、家庭用品品質表示法、毒物及び劇物取締法、化学物質排出把握管理促進法、食品安全基本法、食品衛生法、

化学物質審査規制法など)

普通に生活していて、普通に洗い流してしまう洗剤など、廃水に含まれるさまざまな物質は、

当然ですが、汚水をきれいに浄化してくれる微生物のエサになります。

エサを食べる微生物たちの身になって考えることは難しいですが、

使用する物質の影響で、微生物たちが死滅したりすれば浄化処理に影響が出ますし、

過剰に殺菌剤を使用することで、耐性菌が出現することになれば、ゆくゆくは人に跳ね返ってくる大きな問題です。

したがって、法律が、一定の管理や規制の基準・仕組みなどを定めてはいますが、

私たち使用者自身が、各種商品を購入し使用する時に、色々考える機会を増やしていく必要がありそうです。

ちなみに、環境保全の活動や教育を促進することを目的として、

「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(環境教育推進法)」という法律が2003年に施行、

改正法として、

「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(環境教育等促進法)」が、2012年に施行されています。

 トイレットペーパーは、日本産業規格(JIS)で、形状、寸法、品質について規格が規定されています。

規格の策定には、産(製紙会社、販売店、トイレ機器メーカー)・官・学と消費者も加わっています。

 トイレットペーパーの原料は、パルプ(=植物繊維=セルロース)です

主に木材チップを原料としていますが、草・藁・竹などからも製造できます。

重力に逆らって、高く成長する木や竹は、

いずれも、水に不溶性の炭水化物(多糖類)で、セルロース,ヘミセルロース、リグニンから構成されています。

細胞壁に含まれる非結晶性のヘミセルロースが、セルロースやリグニンを結合させ木質を形成しています。

この内、セルロース(=植物繊維)とは、

植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分として、天然の植物質の1/3を占め

地球上で最も多く存在する炭水化物【分子式 =(CH10O)n】です。繊維素とも呼ばれます。

野菜や果物、穀物類にも含まれるセルロースは、ヒトの消化酵素では分解されませんが、

不溶性食物繊維として整腸作用など様々な働きをし、腸内細菌により分解されてエネルギーとしても利用されます。

トイレットペーパーの主原料は、セルロース(=植物繊維)です。

ヘミセルロースとは、

陸生植物の細胞壁構成成分で、セルロースやリグニンを結合させています。

リグニンとは、

植物・部位で異なる多種多様な不規則なフェノール高分子化合物の総称です。

生分解性は、一般論として、ヘミセルロース、セルロース、リグニンの順に困難になります。

リグニンは、「木質素」とも言い、リグニンの含有量は、植物の木化や硬さに関わります。
 

木材チップ、パルプ、トイレットペーパーの水中での状態について、3つの画像を上記動画から引用します。

広葉樹チップ
トイレットペーパーの原料(パルプ)

 パルプの原料は、針葉樹と広葉樹があります。

N材とは、杉、ヒノキなどの針葉樹を原料とします。繊維が長く、丈夫なパルプが生産できます。

L材とは、ユーカリやブナ、アカシアなどの広葉樹が原料です。繊維が短く、きめ細かい柔らかいパルプができます。

木材チップを高温・高圧で煮て、木材の繊維だけを取り出した物質が、パルプです。

主にL材を原料にしたパルプの繊維をほぐして、洗浄・漂白したものが、トイレットペーパーの原料になります。

竹を原料にしたトイレットペーパーも販売されているようです。

トイレットペーパーをトイレで使用すると、

水中で攪拌されることによって、木質繊維の絡み合いがほどけてバラバラになり、分散します。

再度申し上げますが、トイレットペーパーの主原料は、セルロースです。

木材の成分:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
トイレットペーパーの水中での状態

各種条件による生分解性は明確ではありませんが、どんな木材も最終的には生分解されます。

循環型産業:日本製紙連合会より

 余剰汚泥は、法律上、一般廃棄物に該当しますが、

肥料として取り扱う場合、

業としてあるいは他人に譲渡して施肥する場合は、肥料取締法の規制を受けるため、登録や検査などが必要で、

肥料取締法上の分類は、「普通肥料」の「汚泥肥料」として分類されます。

ただし、自家消費する場合、法令上は、「一般廃棄物の汚泥を再生する」行為に該当します。

関連する法令と告示を以下に書き出します。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。

4 この法律において産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」
第二章 一般廃棄物
(一般廃棄物の収集、運搬、処分等の基準)
第三条 法第六条の二第二項の規定による一般廃棄物(特別管理一般廃棄物を除く。以下この条及び次条において同じ。)の収集、運搬及び処分(再生を含む。)の基準は、次のとおりとする。

二 一般廃棄物の処分(埋立処分及び海洋投入処分を除く。以下この号において同じ。)又は再生に当たつては、前号イ及びロの規定の例によるほか、次によること。

ホ し尿処理施設に係る汚泥を再生する場合には、環境大臣が定める方法により再生すること
 

上記の「環境大臣が定める方法」について、多くは、施行規則に規定されていますが、見当たりません。

しかし、

し尿処理施設係る汚泥の再生方法」(平成4年7月厚生省告示第193号)で、

以下、第1号から第3号まで3つ示されましたが、

さらに、告示第193号は、

2010(平成22年)3月31日、環境省告示第二十七号で、改正され、

第1号と第2号には、「又は燃料もしくはその原材料として利用する方法によること。」が追加され、
第3が、全て削除されています。

1,浄化槽・みなし浄化槽を除き、

  し尿処理施設に係る汚泥の再生方法は、

  発酵処理し、化学処理し又は乾燥処理することにより、堆肥とする方法によること。

  又は燃料もしくはその原材料として利用する方法によること。

2,浄化槽・みなし浄化槽に係る汚泥の再生は、

  十分な脱水等の処理を行った上で、

  発酵処理し、化学処理し又は乾燥処理することにより、堆肥とする方法によること。

  又は燃料もしくはその原材料として利用する方法によること。

3,他に、し尿処理施設に係る汚泥の再生は、

  生活環境の保全上及び公衆衛生上支障を生じさせない方法として環境大臣が定める方法によること。

  (具体的方法としての基準は見当たらず、新しい方法が確立すれば規定する予定と推測された。)

なお、上記2,についてのみ「十分な脱水等の処理を行った上で」と記載されているのが気になります。

これは、

浄化槽法の排水の規制値が、河川など公共用水域へ放流する場合の規制値としてBOD濃度20mg/ℓ、

とされるのにもかかわらず、

農業用水基準(水稲)のCOD値が6mg/ℓとなっており、この基準からすると、BOD値が高過ぎる、

BOD濃度20mg/ℓ程度の水質では散布に適さない可能性がある、という懸念があると考えられます。

なお、「係る」とは、「~のような」という意味です。

「し尿処理施設」とは、
地方公共団体が所有・維持管理する「し尿」や「浄化槽余剰汚泥」を浄化処理する施設であって、浄化槽法上の「浄化槽」ではありませんが、浄化槽を含むことを想定しています。
廃棄物処理法に規定される「コミュニティ・プラント」は、法令上もこれに含まれます。
廃水原料が、し尿処理施設も浄化槽も「し尿・生活雑排水」であるため、浄化槽も含まれます

 余剰汚泥をこの告示に従って散布する場合、乾燥やいろいろな処理をする必要がある、とされていますが、

そもそも、これらのひと手間かけた処理が必要か否か、もっと深く探究してみる必要があります。

本来は、「(1)処理水と一緒に散布する場合」で記載した処理方法がベストです。

SDGs対応型浄化槽は、ヤマメやイワナが生息できる水質まで浄化処理していますので、

脱水やコンポスト化しなくても、

耕作地に薄く散布する方法であれば、生活環境の保全上及び公衆衛生上支障を生じさせない方法、と評価できます。

なお、大型浄化槽であれば、

設置年度に関係なく、SDGs対応型浄化槽並みの水質にまで浄化処理できる、と考えられます。

 SDGs対応型浄化槽から排出される余剰汚泥は、廃水を高度に浄化処理した後に排出されますので、

例えれば、

ヤマメやイワナが生息していそうな清流の周辺の土壌をスコップですくい、

その中から、落ち葉や小枝、砂や小石などの夾雑物を取り除いたもの、

微生物がすぐには浄化処理できないものを取り除いて残ったようなものです。

つまり、「くさく」「きたない」物ではなく、

例えるなら、

自然環境でキャンプした時に感じるような土のような香りの物です。

SDGs対応型浄化槽から排出される余剰汚泥に含まれる物質は、

廃水の原料が、

し尿や生活雑排水だけなので、

人が摂食したバランスの良い飲食物をエサにした微生物群が8割程度を占め、

しかも、十分な浄化処理を終了させた状態のため、

余剰汚泥に含まれる微生物群は、拮抗状態を保っており、

結果として、病原菌など、一部の細菌が突出して優勢化することもない、

いわゆる完熟たい肥の状態です。

微生物以外は、ほぼトイレットペーパーや食物の植物繊維だけです。

したがって、循環利用にあたっては、

脱水処理やコンポスト化など、追加処理は、必要無いのです。

これは、重要なポイントで、

なぜ、こんな仕組みになっているかというと、

昔の「くさい」「きたない」で形容される“全くの別物”の「コエダメ」「下肥」と、

同じように考えられている疑いがあります。

SDGs対応型浄化槽から排出される

高度に浄化処理された処理水とともに排出される余剰汚泥は、

浄化処理水と一緒に薄く耕作地に散布すれば、

ほとんどが微生物のため、散布後急速に乾燥し、

耕作物は、生育障害を受けることなく、持続的に、驚くほど元気に生育します。

なお、トイレットペーパーや食物の植物繊維は、

マルチのような効果も発揮し、

耕作地の土壌改良(土壌の好気化など)にも貢献することになります。

元気に生育するのは、光合成で生育する際に必要な窒素やリンなど、多くの栄養素も供給するからです。

ところで、

上記「し尿処理施設に係る汚泥の再生方法」(環境省告示第二十七号 2010(平成22年)3月31日改正)は、

し尿処理施設も浄化槽も余剰汚泥の性状に大差はないため、

SDGs対応型浄化槽のように、

浄化処理が十分されている場合の余剰汚泥を耕作地に散布する方法としては

第1号、第2号に限らず、どのような状況であっても、

「生活環境の保全上及び公衆衛生上支障を生じさせない方法」という考え方が大切ですので、

先述のような、処理水と一緒に、薄く散布する方法がベストです。

なお、上記「再生」という言葉について、

法的な定義は見当たりませんが、

2003年(平成15年)より施行された「自然再生推進法」について、

下記の環境省ウェブサイトに記載されている内容が大変参考になります。

「国や地方公共団体の計画によるのではなく、地域の多様な主体の発意により、国や地方公共団体も参画して自然を取り戻すための事業が始まる・・・・・今までにない全く新しい発想の法律です。この法律が積極的に活用されることを期待しています。」

「発意」とは?
(意見・計画などを)考え起こすこと。思いつくこと。考え出すこと。

余剰汚泥を処理水と一緒に耕作地などに散布する、という考え方は、

長い年月で忘れ去られ、気付かなくなっていましたが、

自然再生推進そのもの、と理解いただけると思います。

SDGs対応型浄化槽から排出される余剰汚泥は、

乾燥や発酵などの手間をかけることなく、

そのまま散布することができる肥料あるいは堆肥、とご理解ください。

 事業として余剰汚泥を取り扱う場合、肥料取締法(「肥料の品質の確保等に関する法律」)が適用されます。

※法律名称の変更について
「肥料取締法」は、2020(令和2)年12月に「肥料の品質の確保等に関する法律」に変更しました。

ここでは、SDGs対応型浄化槽から出る汚泥の自家消費だけを対象にしていますので、これに特化して記載します。

ご注意いただきたいのは、法律上は、無償であっても他者に譲渡する場合は、

肥料取締法に従った登録や植害試験(植物に対する害を調べる試験)などの届出が必要になります。


「植物に対する害に関する栽培試験の方法」
改正令和3年10月12日付け3消安第3183号農林水産省消費・安全局長通知 

 肥料取締法第2条に肥料の定義があり、次の通りです。

「肥料」とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物をいう。

し尿・生活雑排水を浄化処理して排出される余剰汚泥を肥料として登録し販売する場合、

分析しなければならない項目と規制値は、下表の通りです。

肥料取締法で分析しなければならない項目と規制値

 肥料取締法では、下水道終末処理場から排出される汚泥を含め、

あらゆる汚泥を原料とした肥料を同じ範疇として、次の条文の通り定め、

肥料の品質の確保等に関する法律
第4条
三 汚泥を原料として生産される普通肥料その他のその原料の特性からみて銘柄ごとの主成分が著しく異なる普通肥料であつて、植物にとつての有害成分を含有するおそれが高いものとして農林水産省令で定めるもの

さらに、肥料取締法施行規則(「肥料の品質の確保等に関する法律施行規則」)において、次の条文の通り、

肥料の品質の確保等に関する法律施行規則
(有害成分を含有するおそれが高い普通肥料)
第一条の二 法第四条第一項第三号の農林水産省令で定める普通肥料は、次のとおりとする。
​一 汚泥肥料

「汚泥肥料」と定義付けしています

法律上は、上記の通りですが、

いろいろな産業を含む事業所から出る汚泥を含め、あらゆる汚泥を同じ扱いにする考え方は、問題があります。

SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥を自家消費するのは良いことだ、

と推奨する立場からすると、

し尿・生活雑排水に「有害成分を含有するおそれが高いもの」が、はたして含まれているのか、考えさせられます。

現状把握のため、関係機関(浄化槽の所管部署、公的調査・研究機関など)は、調査結果を定期的に公表すべきです。

SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥の評価に関わるだけではなく、

万が一、問題があるのなら、現状把握を基に、地球規模で、根本的な解決策を考える必要があります。

問題があるということは、

そもそも、飲食物を含め、有害成分が混入するような危険な流通過程がある、というようなことになってしまいます。

なお、

肥料取締法の目的や規制の内容は、次の項目の「余剰汚泥のリスク分析」に通じる考え方ですが、

余剰汚泥の循環利用促進を考えると、

し尿・生活雑排水から出る余剰汚泥は、本来は、他のあらゆる汚泥とは分けて、別格に扱う必要があります。

参考までに、

「肥料取締法に基づく肥料の種類と制度(農林水産省)」を次に掲示します。

肥料取締法に基づく肥料の種類と制度(農林水産省)

肥料取締法の改正の経緯などについて、所管する農林水産省が詳しく説明しているサイトを以下からご覧ください。

し尿・生活雑排水から出る余剰汚泥をすべての他の汚泥と一緒にしてしまうのは、

肥料取締法を所管する農林水産省の考え方に問題があります。

 「地力増進法」という法律があります。

肥料以外に、土壌改良剤として流通する物質について、法的な基準を規定しています。

 SDGs対応型浄化槽から出る余剰汚泥を処理水と一緒に、薄く耕作地などに散布する場合、

有害物質などは含まれないのか、

自然農が流行し始めている状況で、はたして、そもそも余剰汚泥を散布する必要性はあるのか、

などの疑問が残ります。

散布することで、耕作物や耕作地自体、耕作作業時、あるいは、摂取する人に悪影響の心配があるようでは困ります。

ただ、

余剰汚泥は、自家消費の場合、自分たちが飲食し、飲食などに伴い排泄や洗浄した排水の残骸でもあります。

通常の生活では、有害物質を含む廃水を流すことはあり得ません。

したがって、し尿・生活雑排水から出る余剰汚泥の循環利用は、地球上の生物の一員として当然であり、

余剰汚泥の循環利用ができないようでは、地球上の生物の一員として、責任を問われる事態ではないでしょうか。


 そうは言っても、余剰汚泥のリスク分析は、実施しておく必要があります。

最低ラインは、法令上、肥料取締法で分析しなければならない項目と規制値(=上記掲載の表)のクリア、

安心安全なラインとして、飲用水としての基準値、水道水の「水質基準」を指標とするのが適当と考えられます。

以下、余剰汚泥に含まれる、とされそうな有害成分を書き出してみます。

 肥料取締法で分析しなければならない項目(上表で掲載)は、すべて重金属です。

農林水産省の資料から、重金属に対する考え方(=肥料取締法による規制の基礎)を転載します。

諸外国においては、農用地への汚泥からの重金属の年間最大投与量を定めているが、その設定に当たっては、概ね1 0 0 年程度連用することを前提として農用地における土壌中の重金属の上限値を超えることがない水準で基準値が定められている。我が国には、農用地における土壌中の重金属の上限値等の基準がないものの、この考え方に準拠して、土壌中の重金属含有量について人為的に汚染のないレベル( 土壌中の重金属毎の含有量の平均値+ 3 シグマ値: 環境庁では市街地の土壌について汚染土壌の判定基準の参考値として活用している。)を上限値とし、都道府県の汚泥肥料に関する施用基準の最大施用量である乾物1 トンを1 0 0 年連用しても上限値を超えることがない汚泥肥料中の重金属含有量を基準値して設定する( 水稲、畑作物の施用基準では100~500 kg/10a となっていることから、耐用年数は平均で300年程度となる。)。」

ただし、ご注意いただきたいのは、有害物質であっても生物の生存に不可欠な必須元素、ということがあります。

下記の有害物質の内、ヒ素、ニッケル、クロムは、人にとっての必須元素でもあります。

1.ヒ素

 地下水を水源としている場合、かつ、その地下水が高濃度にヒ素に汚染されている場合には、

身体や健康危害の可能性が残るようです。

ヒ素についての記載は、下記リンクから、グラフと解説をご覧ください。

2.カドミウム

 カドミウムによる身体や健康危害は、イタイイタイ病が有名です。

カドミウムについての記載は、下記リンクから、カドミウムの特性や各種資料をご覧ください。

3.水銀

 水銀は、常温で容易に気化するため、地球規模で循環しています。

ただし、

すべての生物について、有害な物質を摂取すれば、

直ぐに、身体や健康への危害が及ぶということではありません。

下記リンクから、水銀の特性や各種資料をご覧ください。

4.ニッケル

5.クロム

6.鉛

 厚生労働省によると、食品中に残留する農薬などが、人の健康に害を及ぼすことのないよう、

厚生労働省は、全ての農薬、飼料添加物、動物用医薬品について、残留基準を設定しています。

残留基準は、食品安全委員会が人が摂取しても安全と評価した量の範囲で、食品ごとに設定されています。

農薬などが、基準値を超えて残留する食品の販売、輸入などは、食品衛生法により、禁止されています。

(いわゆる「ポジティブリスト制度」)

さらに、農薬が基準を超えて残留することのないよう、

農林水産省が、残留基準に沿って、農薬取締法により使用基準を設定しています。

また、食品の輸入時には、検疫所において、残留農薬の検査等を行っています。

 厚生労働省によると、食品添加物とは、

保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。

厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、

人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。

使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、安全の確保に努めています。

 都市部での農業とは、

都市計画法で区分された「市街化区域」内、あるいは、

国勢調査の「人口集中地区」周辺での農地が、対象になります。

 農水省の資料によると、

都市農業の農家戸数及び販売金額は、全国の約1割弱、

都市の農地の面積は、市街化区域面積の約5%など、減少傾向です。

ただし、

都市の農地の必要性が認識されるようになり、

都市農業振興基本法」が、2015(平成27)年4月公布施行されてから、

現在では、

都市部の農地は、多くの機能が認知されるようになり、振興(=盛んにすること)を積極的にする方向です。

法律上は、

「農地」ではなく、次の通り、「農業」全体として、

『都市「農業」の振興は、(省略)積極的に行われなければならない。』(「都市農業振興基本法」第3条を抜粋)

となっています。

また、都市における政策自体も、

人口減少財政制約(=税収減)に対応して、

都市の利便性や活力を低下させることのないよう、コンパクトシティを目指す方向へ変更されてきました。

「都市農業振興基本法」
(基本理念)
第三条 都市農業の振興は、都市農業が、これを営む者及びその他の関係者の努力により継続されてきたものであり、その生産活動を通じ、都市住民に地元産の新鮮な農産物を供給する機能のみならず、都市における防災良好な景観の形成並びに国土及び環境の保全都市住民が身近に農作業に親しむとともに農業に関して学習することができる場並びに都市農業を営む者と都市住民及び都市住民相互の交流の場の提供都市住民の農業に対する理解の醸成等農産物の供給の機能以外の多様な機能を果たしていることに鑑み、これらの機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるとともに、そのことにより都市における農地の有効な活用及び適正な保全が図られるよう、積極的に行われなければならない。

 都市計画法で定める市街化区域の一定の条件を満たす土地について、

「生産緑地法」という法律で、「生産緑地」という制度を定めています。

※「生産緑地法」について、
生産緑地法は、1974(昭和49)年に成立しています。
良好な都市環境形成のため、市街化区域内の農地の緑地としての多くの機能を活かし、計画的に農地を保全できるよう、長期営農すれば市街化区域でも農地並み課税とする「長期営農継続制度」がありました。しかし、バブル期には、都市化がさらに加速し、土地不足と地価上昇が止まらず、
①さらなる宅地化の促進、
②税負担の公平性の確保(農地と宅地の固定資産税額の大きな格差の是正)、
のために、「長期営農継続制度」を廃止し、
1992年に、保全する農地と(=「生産緑地」)と、宅地化農地を新たに区分することに改正しました。

生産緑地の指定を受ければ、固定資産税や相続税等が優遇されます。例えば、三大都市圏の特定市の市街化区域農地では固定資産税額の負担が10アール当たり数十万円が、生産緑地ではその負担額は数千円。
改正された生産緑地制度は、農地の緑地機能を評価するとともに、農地を将来の公共施設用地として位置付けるだけのものであり、農地が農業振興を図るべき対象、というものではありませんでした。
※生産緑地指定の要件(詳細:生産緑地法第3条参照)
①現に農業等に適正に利用されている市街化区域内の土地であること
②良好な生活環境の形成に効果があり、かつ公共施設等の敷地として適していること
③面積が単独または近隣の農地と合わせて500平方メートル以上であること
ただし、市町村条例により引下げが可能。近接する他の農地等(1つの農地等の⾯積が100平⽅メートル以上のもの)と合わせて300平方メートル以上である場合でも、生産緑地指定の対象になる場合があります。
農業等の継続が可能な条件を備えていること
※生産緑地の義務
生産緑地の指定から30年間またはその所有者の終身、生産緑地の所有者(または利用権者)は、その生産緑地を実際に農業等のために利用すること、およびその農業等が継続して可能となるように設備等を維持・管理することが義務付けられています。平成30年9月以降は、所有者自身が農業経営を行う場合以外に、一定の要件を満たす農地の貸付けを認めることに変更しています。

 主観的ですが、関連する法律を掲載します。

農地法⇒①~③

土地改良法⇒④~⑤

食料・農業・農村基本法⇒⑥

都市緑地法(都市緑地保全法を改称)⇒⑦

都市公園法⇒⑧

⑦都市緑地法運用指針 最終改正平成30年4月 全98ページ 国土交通省

 し尿(=小便・大便)は、昭和初期頃まで、循環システム(=農地還元)が高く評価され、維持されていましたが、

臭いや施肥労力の問題、化学肥料が安価に流通し始めたことなどから、少しづつ活用されなくなってきました。

昭和初期頃から、東京や一部の大都市では、し尿の供給量が需要を上回り、日本各地で海洋投棄処分が始まりました。

生活雑排水については、数十年前までは、垂れ流しが普通でした。

公共下水道でも、1970(昭和45)年12月の公害国会で、下水道法が改正され、終末処理場の設置を義務化しています。

世界中で、ほとんどの廃水は、浄化せずに垂れ流し状態でしたが、

し尿については、

日本では、

し尿を貯留する設備は古くからあり(=昭和初期頃までの農地還元)、基本的には垂れ流しをしていませんでしたが、

生活雑排水も浄化処理し始めたのは、戦後間もなくからのことです。

しかし、主流は、単独処理浄化槽(=生活雑排水を垂れ流し)でした。

※多様な浄化処理の考え方が存在し、多くの型式のし尿と生活雑排水を処理する合併処理浄化槽が発案されたため、合併処理浄化槽の構造基準が初めて示されたのは、1969(昭和44)年のことです。

ところが、環境汚染が進行し、垂れ流しになっていた生活雑排水を浄化処理する必要性が広く認識されるようになり、

2001(平成13)年4月以降、法令で、単独処理浄化槽は、新たに設置できなくなりました。

現在、公共下水道以外では、し尿および生活雑排水の両方を浄化槽で処理した後でのみ、河川などへ放流できます。

 廃水の種類は、①し尿、②生活雑排水、③事業場廃水(=業種によってさまざまな性状の廃水)に分類できます。

この内、し尿・生活雑排水は、

他のすべての生物と同じように、生活すれば必ず排出される廃水で、自然環境では循環利用されている類です。

事業場の廃水も、

視野を広げれば、宇宙から降り注ぐ物質を含め、地球を採掘するなど、人類が活動することで排出される類です。

全ての廃水の浄化処理の原則は、

廃水は、都市部を除き、出した場所で浄化処理して、自然界へ戻してあげることです。

 浄化槽法は、議員立法です。

当時の様子を描写した記事への誘導リンクを貼り付けました。

 下のグラフは、水洗および非水洗の変化についての調査結果を表示しています。

この調査結果が何を意味するのか?水で洗い流していることが何の指標になるのか?が明確ではありません。

ただ、水洗化しているということは、水で洗い流し去っている、ということです。


この調査内容が意味することは、

廃水(し尿、生活雑排水、事業場廃水)を浄化処理する行政運営の政策目的が、

1970(昭和45)年以降から現在では、環境の保全(=公共用水域の水質保全)ですが、

以前は政策目的が違っており、

河川や海域へ、未処理のままの垂れ流しが法令で規定されていた時代があった、ということです。

※「下水道法制度の変遷」として、このページ下段の「(4)下水道の歴史」に一覧を掲載しました。

次のように変遷しています。

土地の清潔の保持【=土地を清潔にするため、流し去ることを優先=1900(明治33)年】

都市の健全な発達、公衆衛生の発達【=1958(昭和33)年】

都市の健全な発達、公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全【=1970(昭和45)年 終末処理場の設置を義務化

※昭和45年の下水道法改正
公共下水道のうち、特定の事業者の事業活動に主として利用されるものを「特定公共下水道」といい、
下水道の計画汚水量のうち、事業者の事業活動に起因し、又は附随する計画汚水量が概ね2/3以上を占めるものは、昭和46年以前には特別都市下水路事業として、垂れ流し状態でしたが
すべての公共下水道は、終末処理場を有するか、流域下水道に接続することが要件になりました。

※公共用水域とは、
地下水、側溝などの公共溝渠・灌漑水路などを含む河川、湖沼池、港湾・海岸などの海域などです。

「浄化槽読本」より抜粋

 昔は、現在とは違って、感染症が急に拡大するような時代でした。

さらに、浄化処理方法として、

現在のように、送風機(=ブロワ)で汚水に空気を送り込む(=曝気ばっき)ことで、

主に好気処理で浄化処理するという考え方が一般的ではなかったため、十分浄化処理されていませんでした。

し尿(小便・大便)は、排泄したものをそのまま施肥すると、耕作物が生育障害を起こしますので、

3か月以上発酵(嫌気処理)させ、病原性細菌やウィルス、寄生虫などを死滅させてから施肥していました。

一般的なし尿の処理方法は、

素焼きなどの肥溜め(野つぼ)に貯留して嫌気処理をし、施肥時には、水で薄めるなどしてから散布していました。

1960(昭和35)年あるいは1970(昭和45)年頃までは、田舎では普通にみられた光景ではないでしょうか。

し尿は、上記のような処理がされていましたが、

生活雑排水は、浄化処理せず、垂れ流しが全国的に一般的でした。

なお、現在の浄化槽は、送風機(=ブロワ)で汚水に空気を送り込み(=曝気ばっき)し、

好気処理と嫌気処理を繰り返し、十分に浄化しますので、余剰汚泥は「コエダメ」「下肥」とは全くの別物です

 次のような記述があります。し尿を肥溜めに貯留し、下肥として流通させていた時代についての切り抜きです。

この記事は、十分に浄化した「活性汚泥処理法で排出される余剰汚泥の循環利用」とは、まったく別の歴史です。

以下では、「肥溜めの下肥」について、記載していますが、

当時は、活性汚泥法や余剰汚泥についての見識が無く、基礎的な浄化処理方法が確立していない時代です。
 

寄生虫病予防法と、その汚物掃除法 および清掃法との関係 -昭和前期の衛生問題と屎尿-

「大正~昭和初期において屎尿が都市で余剰化し,不法投棄による河川汚濁が発生するなどし,汚物掃除法施行規則の改正が行われ市による処理が実施された過程については既報で述べた 注1)。しかし,同時期の,特に農村部において寄生虫が蔓延し,その悲惨とも言える状態の改善に内務省等が取組んだ経緯については,戦後のそれも含め,ほとんど忘れられている。さらに近年の循環型社会形成をめざす流れの中で,安全に循環出来ていたわけではない過去の屎尿の肥料利用を無批判に美化する風潮も一部に見られ,結果として先達の努力や成果を定めることにもなっている。

そこで本論では,大正期から昭和前期における寄生虫をめぐる状況と内務省の取組み,中でも特に注目されることの少ない寄生虫病予防法(以下「予防法」)を中心に,それと汚物掃除法および戦後の清掃法との関連など,屎尿の安全な肥料利用化への取組みを述べる。」
日本下水文化研究会の分科会「屎尿・下水研究会」1998(平成10)年発足

 
 ところで、現在も「肥溜めの下肥」(=嫌気処理だけの不完全な浄化処理)は存在するかもしれませんが、

感染症の蔓延が無くなった現在では、

十分な貯留(発酵は悪臭を抑えます)や、散布方法の工夫など、循環利用の可能性は残されているはずですが、

近隣住民に悪臭の公害をまき散らすことになりそうです。

ただし、SDGs対応型浄化槽であれば、

嫌気処理だけでなく、主に好気処理による十分な浄化処理をしているため、

臭いもほとんどせず、

SDGs対応型浄化槽から排出される余剰汚泥は、「コエダメ」「下肥」とは全くの別物で、

公共下水道事業のような税金の無駄遣いもなく、施肥の手間も少なくなります。

 昭和初期頃から、東京に限らず、全国的に、し尿の供給量が需要を上回り、海洋投棄処分が始まりました。

最終的には、廃棄物処理法施行令により、2007(平成19)年まで継続されました。

し尿や余剰汚泥を含め、2007(平成19)年4月1日からは、一般廃棄物の海洋投入処分が禁止され、

「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」に基づく「廃棄物海洋投入処分の許可等に関する省令」によって、

産業廃棄物及び水底土砂を海洋投入処分する場合、環境大臣の許可及び海上保安庁長官の確認が必要となっています。

ただし、余剰汚泥を一般廃棄物と解釈し、

「再生利用」として海中散布する場合は、「廃棄物処理法」の規制に従う必要があります

「廃棄物処理法」
(一般廃棄物の再生利用に係る特例)
第九条の八 環境省令で定める一般廃棄物の再生利用を行い、又は行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
一 当該再生利用の内容が、生活環境の保全上支障のないものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該再生利用を行い、又は行おうとする者が環境省令で定める基準に適合すること。
三 前号に規定する者が設置し、又は設置しようとする当該再生利用の用に供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。

2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書その他環境省令で定める書類を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 当該再生利用の用に供する施設

3 環境大臣は、第一項の認定の申請に係る再生利用が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。

4 第一項の認定を受けた者は、第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る一般廃棄物の当該認定に係る収集若しくは運搬若しくは処分を業として行い、又は当該認定に係る一般廃棄物処理施設を設置することができる。

5 第一項の認定を受けた者は、第七条第十三項、第十五項及び第十六項並びに第十九条の三の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者と、第十八条第一項の規定(同項の規定に係る罰則を含む。)の適用については一般廃棄物処理施設の設置者とみなす。

6 第一項の認定を受けた者は、第二項第二号に掲げる事項の変更(当該認定に係る再生利用の用に供する施設以外の再生利用の用に供する施設(当該認定に係る再生利用の内容以外の内容の再生利用を行わないものに限る。)の設置を含む。)をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。

7 第三項(第一項第三号に係る部分に限る。)の規定は、前項の変更の認定について準用する。

8 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第六項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。

9 環境大臣は、第一項の認定に係る再生利用が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき、又は当該認定を受けた者が第六項若しくは前項の規定に違反したときは、当該認定を取り消すことができる。

10 前各項に規定するもののほか、第一項の認定及び第六項の変更の認定に関し必要な事項は、政令で定める。

(一般廃棄物の広域的処理に係る特例)
第九条の九 環境省令で定める一般廃棄物の広域的な処理を行い、又は行おうとする者(当該処理を他人に委託して行い、又は行おうとする者を含む。)は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
一 当該処理の内容が、一般廃棄物の減量その他その適正な処理の確保に資するものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該処理を行い、又は行おうとする者(その委託を受けて当該処理を行い、又は行おうとする者を含む。次項第二号において同じ。)が環境省令で定める基準に適合すること。
三 前号に規定する者が環境省令で定める基準に適合する施設を有すること。

2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書その他環境省令で定める書類を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 当該認定に係る処理を行い、又は行おうとする者及び当該処理の用に供する施設

3 環境大臣は、第一項の認定の申請に係る処理が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。

4 第一項の認定を受けた者(その委託を受けて当該認定に係る処理を業として行う者(第二項第二号に規定する者である者に限る。)を含む。)は、第七条第一項又は第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る一般廃棄物の当該認定に係る収集若しくは運搬又は処分を業として行うことができる。

5 前項に規定する者は、第七条第十三項、第十五項及び第十六項、第七条の五並びに第十九条の三の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者とみなす。

6 第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る処理の内容又は第二項第二号に掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。

7 第三項の規定は、前項の変更の認定について準用する。

8 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第六項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。

9 第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る処理を他人に委託する場合には、当該認定に係る処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

10 環境大臣は、第一項の認定に係る処理が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき、又は当該認定を受けた者が第六項若しくは第八項の規定に違反したときは、当該認定を取り消すことができる。

11 前各項に規定するもののほか、第一項の認定及び第六項の変更の認定に関し必要な事項は、政令で定める。

 コロナ禍で、海外では、あらゆる場所を消毒するような光景が見られましたが、

日本では、医療関係や精密機器製造などの無菌室での通常処理を除くと、そのような作業はしませんでした。

これは、私たちが生活する自然環境というものは

循環型社会で構成されていることを前提にすれば、当然のことです。

 余剰汚泥は、活性汚泥処理法(微生物が汚濁物質をエサとして捕食することで浄化する方法)により生成されます。

活性汚泥処理法とは、廃水を浄化処理する方法の基本となるものですが、

そもそも、廃水とは、その大部分が、生物が生活するだけで、必ず排出される「し尿と生活雑排水」です。

廃水が排出される原因は、し尿(=小便と大便)を除くと、洗浄することで出る排水がほとんどですが、

洗浄行為の目的は、病原性の細菌・ウィルス・寄生虫などの類を排除するためです。

活性汚泥処理法は、自然環境による循環作用を浄化処理として、その作用を人工的に最大限効率化しているだけです。

つまり、自然環境を効率よく再現しているにすぎないのです。

※水質を表す指標のひとつCOD値の低減方法については、別の視点からの除去方法があります。

自然環境では、

病原となり得る、あるいは日和見的な細菌・ウィルス・寄生虫の類は、

常在菌としても存在しますが、

常在菌叢の中で、平衡関係あるいは拮抗関係を保っており、

常在菌が病原性を発するのは、バランスが崩れた時です。


したがって、例えば、致死率が高い感染症が広まったような時期以外でも、

無菌室でも無いのに、殺菌・滅菌・消毒を繰り返すような日常は、

他の微生物などとの拮抗作用や、宿主(=ここでは人)の免疫機能などの劣化・退化を招く可能性や、

不特定多数の微生物について、薬剤の耐性が備わる危険性など、

さまざまな影響が危惧されます。

人類も、他のすべての生物も、極めてまれな地球の循環して成立する自然環境の中で、生活することができます

無菌状態の環境で、人類という生物だけが生き長える、ということは医学的・自然科学的に不可能と考えられます。

 現在の浄化槽から排出される十分に浄化された余剰汚泥は、当時の「下肥」とは全くの別物で、

コンポスト化の必要は無く、

冒頭で記載しましたように、浄化処理水と一緒に薄く耕作地に散布すれば、耕作物は驚くほど元気に生育し、

循環型社会(SDGs)の理念に合致した、素晴らしい肥料あるいは堆肥としての価値があります。

 多量の廃棄物に対して、処理速度が追い付かなくなり、

取りあえず、「土地の清潔の保持」のために、旧下水道法(明治33年)が制定され、

都市の健全な発達、公衆衛生の向上のために新下水道法(昭和33年)が制定され、

この頃の目的は、廃水浄化処理ではなく、「汚水」を出来るだけ早く人の生活圏外へ流し去ることでした。

1970(昭和45)年、公共用水域の水質保全のため、下水道法が改正され、処理場の設置が義務化されました。

下水道法制度の変遷(クリックして拡大表示)

下水道政策研究委員会
平成11年 建設省都市局下水道部、(社)日本下水道協会によって設置された委員会

 昔は循環利用していた「し尿」、昔から垂れ流しで浄化されていなかった「生活雑排水」、

いずれも人の生活だけで排出される廃水ですので、自然環境では、すべての生物と同じく、自然循環すべきものです。

人の食事の結果排出されるものですので、豊富なミネラルを含んだ、臭わない肥料、あるいは堆肥です。

余剰汚泥の循環利用は、SDGsの17項目のゴールに重複して関係しますので、すべての教育の原点となる課題です。

また、地球温暖化対策推進法が2022(令和4)年5月改正され、この法律に基づくと、

し尿・生活雑排水、あるいは食品関連事業所からの廃水を浄化処理すれば、必ず排出される余剰汚泥の循環利用は

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、

経済社会の発展や地方創生、知見の集積や人材育成など新たな価値の創造には、不可欠の発意の類です。

脱炭素化支援機構について

 浄化槽は、注文する方(管理者)が自ら保守点検と清掃をすることもできますし、業者に委託することもできます。

保守点検と清掃の内容については、浄化槽の浄化処理方式によって異なります。

 当社のSDGs対応型浄化槽は、浄化槽法に規定する処理方式の分類では、

分離接触ばつ気方式、嫌気ろ床接触ばつ気方式、脱窒ろ床接触ばつ気方式に該当します。

なお、

保守点検と清掃の2つの維持管理作業は、浄化槽法施行規則の第二条と三条に詳細に規定されています。

それぞれの回数は、以下の通りです。

保守点検回数:20人以下槽=4ヶ月に1回、21~50人槽=3ヶ月に1回

清掃回数(余剰汚泥引き抜き回数):1年間に1回以上

保守点検は、放流水を散水している場合、上記の回数よりも、必然的に多くなるかと思います。

具体的には、体毛などがトイレやふろ場などから、調理残渣などが流し台などから、

浄化槽に流入して、障害になる場合がありますので、

定期的なスクリーン(固形物を除去するための網)の保守が必要になります。

清掃については、当社は、余剰汚泥がたまっていない状態を想定していますが、規則はこの想定に対応していません。

もし、余剰汚泥がたまっていない場合、清掃する必要がないことになる、かと思います。

参考:合併処理浄化槽の保守点検回数
参考:単独処理浄化槽の保守点検回数

 浄化槽は、住宅とセットで維持管理していくものです。

当然、耐久年数についても、同じような耐久年数が必要です。

住宅の場合、直射日光や風雨などにさらされますので、数年や10年から20年程度ごとに塗装し直す必要があるなど、

定期的な修繕が必要ですが、浄化槽は地中に埋設されます。

したがって、

電気で駆動するエアポンプの状態チェックと、

スクリーンの保守点検が主な維持管理となり、

定期的修繕工事は、ほぼ不要とお考え下さい。

SDGs対応型浄化槽は、個別設計となるため、プレキャストコンクリート製になりますので、

駆体の現実的な耐久年数は住宅の耐久年数と同程度以上とお考え下さい。

なお、万が一の修繕工事は、可能な限り簡単にできるように設計をいたします。

SDGs対応型浄化槽は、性能や機能性だけでなく、メンテナンス性も重視して設計しています。

 

 し尿や生活雑排水という廃水(汚水)は、人工的廃水としては、本来、浄化処理が簡単な部類です。

(人工的廃水には、他に、さまざまなものを加工・生産・製造したり、洗浄したりする事業場廃水があります。)

したがって、浄化槽を設計するのは、それほど難しいことではありません。

ただ、浄化槽製造・設置、設計・施工の規則が浄化槽法や建築基準法と関係法令で詳細が決められています。

※屎尿浄化槽及び合併処理浄化槽の構造方法を定める件など

したがって、これに従わない限り許可が下りませんので、最低限、この基準は厳守し、高処理性能の設計を行います。

浄化槽設置届

建築確認申請で浄化槽を設置する場合は、浄化槽設置届出書は不要です。(浄化槽法第5条第1項)

法律に基づいた浄化槽です

 上記のように、SDGs対応型浄化槽は、行政手続きや、各法律の趣旨や規定に沿った上で、

高処理性能設計された循環型社会に合った浄化槽です。

当社の場合、現場打ち浄化槽ですので、「浄化槽構造承認申請書」で承認手続きを行います。

また、お住まいの地域に補助金制度がある場合は、その申請の補助もさせていただきます。

散水と肥料の還元利用ができます

 水道水で散水していた場合は、その費用が軽減できますし、

肥料としての還元利用は、その効果に驚かれることと思います。 

当社提案採用後のフォローについて

当社の基本方針としては、一定規模の廃水処理施設の場合、

お客さまとの顧問契約締結をお願いしております。

理由としましては、汚水処理施設の維持・管理について、

適切な管理ができていない実例を目の当たりにしていたり、

当初は適切にできていても、

途中から、

あらぬ方向へ方向転換してしまったりする実例を拝見してきたからです。

当社の基本的方針として、汚水処理施設の維持・管理は、汚水排出者自身が直接すべきだと考えています。

その方が、あらゆる点で整合性が取れるからです。

しかし、維持管理に関連する事項は極めて広範囲です。

したがって、管理者には、一定期間、定期的に適切な相談相手が間違いなく必要であると考えております。

なお、SDGs対応型浄化槽につきましては、小さな規模で対応させていただく前提ですので、

顧問契約の金額・期間や顧問契約締結の有無を含め、応相談とさせていただきます。

一般のご家庭の場合、し尿や生活排水だけを当社設計の浄化槽で処理することは、

維持管理や浄化処理の考え方も非常に簡単ですので、このような対応となります。

お問合せ

 まずは、お気軽にお問い合わせください。

現状の確認

 お問い合わせいただいた内容をもとに、

弊社が、お客さまの現状を十分に把握する必要がありますので、

メール(もしくはFAX)で確認事項を連絡させていただきます。

現場説明会開催

 メール(もしくはFAX)のやり取りだけでは、十分な現状把握ができませんので、

現地にお伺いし、現場を実際に拝見し、具体的な打ち合わせをさせて頂きます。

なお、お客さまの所在地が遠方の場合は、旅費についてご負担いただきたくお願い申し上げます。

行政手続きについて

 浄化槽を設置する場合、設置する前に、行政に対して、いろいろな申請手続きが必要です。

浄化槽を設置する場所の状況に応じて、その手続きの内容は異なりますので、該当する状況ごとに対処します。

下記の①の場合は、特に問題はありませんが、

①以外の場合、行政との交渉が必要になります。

 

下水道計画区域外

②下水道計画区域内で下水道管がまだ整備されていない状態で、単独浄化槽など(=みなし浄化槽)を設置している

③下水道計画区域内で下水道管が整備済みあるいは供用が開始されている状態で、みなし浄化槽を設置している

④下水道計画区域内で下水道管がまだ整備されていない状態で、浄化槽の更新をしたい

⑤下水道計画区域内で下水道管が整備済みあるいは供用が開始されている状態で、浄化槽の更新をしたい

 

上記のいずれかに該当すると思いますので、とりあえず、行政窓口に確認をしてください(電話でも可)。

その際、以下についてご確認ください。

1,問い合わせ窓口の名称、担当者名

2,行政の対応を確認してください。

  ※メモをご準備ください。その場で、あわてずゆっくり落ち着いて、メモしてください。

   再確認の手間を考えると、相手のことを気にせず、ゆっくりメモしてください。

  お問い合わせの内容によっては、部署と担当者が変わることがあります。

3,補助金・助成金の制度が、有るのか無いのか、確認していただきます。

  ※下水道計画区域外であれば、以下の制度が有るのか無いのか、も確認してください。

   次の2つの制度が基本になるはずです。

  ①生活雑排水処理による汚濁負荷のうち削減負荷の寄与分を基に、

   合併処理浄化槽を設置する費用の約4 割を補助対象とする制度が、市町村によっては、あります。

  ②合併処理浄化槽の工事費用と単独処理浄化槽の撤去費用が、基準額を超える場合、最大9 万を助成する制度が、

   市町村によっては、あります。

行政手続きの支援と顧問契約について

 浄化槽を設置する場所が、下水道計画区域外の場合、特に支障なく行政手続きを進められますが、

そうではない場合、上記の内容を確認していただいた上で、行政との交渉のゴールを決めることになります。

お客さまの立場で、当社が一定の支援をさせていただくことになりますが、

この場合は、この時点で、顧問契約の締結をお願いいたします。

なお、支援の内容は、

「汚水処理施設に関わる業者や行政機関とお客さまとの関係における適切な助言および指導」に限定されます。

当社は、弁護士資格は有しておりませんので、ご了承ください。

※支援の内容は、行政のお客さまへの対応について、事実確認、あるいは、お客さまへの助言になりますが、

 かなり適切に実施させていただけるものと自負しておりますので、

 お客さまも「やってよかった」と最終的には満足いただけるのではないか、と考えております。

 

弁護士法 法律事務の取扱いに関する取締り

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)

第七十三条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。

提案書・見積書・顧問契約書案の提出

  提案書、(工事計画書)、見積書、顧問契約書案を提出致します。

顧問契約の締結

 将来を見すえ、基本的には、顧問契約締結をお願い致します。

契約の内容については、お客さまの状況に合わせて対応いたします。

(ご不明の点を解消した後、注文書の発送あるいは注文書と合わせて顧問契約書を締結していただくことになります。)

工事着手

 行政手続きが完了した上で、

工事代金のご入金を確認後、工事に着手します。

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新着情報・お知らせ

2020/03/31
ホームページを公開しました。
2020/7/2
大型浄化槽って何?のページを公開しました。
2021/8/9
廃水浄化とSDGsの関係とは?のページを公開しました。
2021/9/12
建築基準法31条と下水道接続のページを公開しました。
2021/12/22
COD除去とは?のページを公開しました。
2022/4/19
下水道とは?のページを公開しました。
2022/5/10
下水道接続、どうあるべきか?のページを公開しました。
2022/6/19
2022/7/7
下水道接続義務・浄化槽・事実は?のページをリニューアルしました。
2022/10/11
下水道とは?のページをリニューアルしました。
2022/10/31
廃水浄化・排水規制に関わる法律のページを公開しました。
2022/12/29
浄化槽とは?のページを公開しました。
2023/1/24
下水道の運営・監査・法令のページを公開しました。
2023/3/13
SDGs対応型浄化槽のページをリニューアルしました。
2023/3/17
公共下水道の現状把握のページを公開しました。
2023/4/4
三重県亀山市との取組のページを公開しました。
2023/6/21
浄化槽とは?のページを更新しました。

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