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建築基準法31条(浄化槽下水道接続)

はじめに

 「下水道法」に規定されている公共下水道接続義務について、

インターネットで検索すると、間違った記載が多すぎます。

このページでは、この問題の基礎となる「廃水の浄化処理」の法制度についても、詳しく解説します。
 

「浄化槽法」「水質汚濁防止法」を順守して、

廃水を浄化処理している場合は、

①法令を遵守しているだけでなく、環境保全という国民の義務も果たしています。

したがって、

下水道に接続させる必要性が無いので、

当然のこととして、

②法律の条文で、下水道に接続させる規定は、存在しません。

また、「下水道法」に基づき、公共下水道の事業計画や公共下水道の供用開始が決定しても、

そもそも、環境を保全する目的として、法令の排水基準を順守するために設置されている設備や施設である

③浄化槽など、廃水浄化処理設備の廃止を強制する規定は、存在しません。

なお、

排水を河川に放流する時の水質を規制している法律は

「下水道法」ではなく、

浄化槽法と「水質汚濁防止法という2つの法律です
 

日本の法令制度は、

憲法改正、法令の違憲性、予防原則など、さまざまな“議論の余地”は残されていますが、

3つの法制局などの機関もあるため、全体として整備されており、

法律が異なっても、条文による規定には矛盾が生じないような仕組みになっています。


したがって、

公共下水道への接続義務についての間違い、あるいは勘違いの原因は、

「下水道法」「浄化槽法」「建築基準法」などの法律の条文について、日本語読解力の不足

あるいは、簡単に結論を出してしまう、

つまり

②「探究」不足によるものです。

行政組織全体が、勘違いに基づいて、「行政指導」(=おすすめ)しているケースが多いのが実情なのです。
 

法令に基づき、事務を処理しているはずの公務員の皆さん、

あるいは、法令に基づき、議論をしているはずの議員の皆さん、

公務員でなくとも、公共事業に関わる一般企業を含め、公益法人など、

法令に基づき、国民の税金を原資として所得を得ているほとんどの皆さんに該当する問題でもあります。
 

税金は、国民の所得の約半分も徴収されており、

この税金を使って、日本国の経済活動に介入(財政)して、浪費していますので、実は深刻な問題でもあります。

必要な投資や人件費に歳出するのではなく、

投資にも消費にもならない資材費に税金を使っているのですから、結果として、さまざまな矛盾が生じています。

本来、日本政府は、無駄使いせず、国民所得を向上させる政策に税金を使うようにすれば良いのです。

歳出をやり繰りできていないため、国民所得が上がらず、経済波及効果が生まれない、さまざまな弊害の根源です。

日本に比べて技術先進国でもない北欧が、国民所得が上昇し、経済成長しているのはなぜなんでしょうか。

税を歳出する際の“やり繰り”について記載したサイト(「公共下水道の現状把握」)

へのリンクを貼り付けましたので、ご覧ください。

なお、排水規制は、環境保全を目的として実施されるものです。

このページの建築基準法31条に基づく規制も、環境保全が目的です。
 

環境保全の本質は、

「循環型社会」を適正に理解し、「循環型社会」に合致した行政運営を実施しているか否かですが、

現実には、①学校教育現場、②さまざまな公的研究機関、③環境(保全)に関わる機関など、

全てについて、

水環境を保全するために必要な仕組み作りが、

十分な探究をされないで構築されてきた結果だという歴史を知ることになります。

下水道接続義務があるのは、廃水を浄化しないで放流している場合(=下水道法の用語で「下水」)に限られます

公共下水道計画区域、供用開始区域でも、廃水の浄化方法には個々の選択権が残されています

廃水を浄化すれば良いだけですので、法律にしたがって浄化処理していれば、下水道接続の必要はありません

事実は、

浄化済みで、水質規制に合格しているのに、下水道に接続しなければならない、という法律は無い

ただし、浄化処理をしていない「下水」であれば、

水環境を保全するために廃水を浄化処理する必要があるため、下水道に接続しなければならない、

ということです。

 裁判の司法判断でも、公共下水道事業を推進するかしないかは、

地方公共団体の裁量権の範囲、となっています。

しかし、2021年に至っても推進しようとする公共下水道事業は、あまりにも無駄が多く、極めて割高な事業です。

他の手段として、

し尿・生活雑排水を浄化処理するには、浄化槽(=「浄化槽法」に基づく)があり、

事業場廃水の場合、自前の廃水浄化処理施設(=「水質汚濁防止法」に基づく)を設置する選択肢があります。

したがって、

行政が、

詳しい調査もせずに、

費用対効果の効率が優れた浄化槽整備ではなく、

割高な下水道事業を事業を推進するのは

(民主主義社会ですので、法律上の手続きが適正にされている限り、無駄な大規模公共事業でも推進するのは、)

勝手ですが

そんな事業に参加する義務も、参加させられる法律規定も、実在しません

※公共下水道事業を推進する「行為」は、
地方自治法や地方財政法など、さまざまな法令の趣旨に反する無駄な大規模公共事業です。
しかし、民主主義社会ですので、
最低限、議会に諮るなどして、法律上の手続きが適正にされている限り、
行政側の勝手がまかり通ります。

しかし、これを正しく修正する場合は、
手続きが適正であれば、
法令に反する「行為」を堂々と推進していても、
行政運営の行為そのものを罰する規定が無いため、

個別の事案について、司法判断に頼るしか無い、異常な事態です。

見方を変えれば、行政運営を監視する立場にある議員の皆さんの過半数の能力に疑問符が付く状態です。
詳しくは、裁判の事例をご確認ください。
 

このページでは、法制度の考え方や裁判の事例も含めて「下水道接続義務」の事実について説明します。

 なお、下水道接続義務という問題で、一番の課題となるのは、建築基準法第31条1項および2項の解釈です。

本題に入る前に、法律の考え方などについて記載いたしますので、

とりあえず、太字赤字下線付き文章だけに注目して、最後まで一気に読み切ってみてください。

 このページでは、法制度の考え方や裁判の事例も含めて「下水道接続義務」の事実について説明しますが、

法律の規制を考えなくても、

循環型社会(SDGsなど)を考えれば、次のような考え方はもはや常識と言えるのではないでしょうか。

 

廃水(汚水)は、環境を保全するため、浄化処理して放流するのが当たり前です。

廃水(汚水)は、環境に悪影響を及ぼすため、垂れ流している場合、下水道が整備されれば接続する必要があります

 

一番大事なことは

廃水(汚水)が環境に及ぼす悪影響は、連鎖的に派生するため、

都市部を除いて、廃水(汚水)は発生現場で処理するのが原則です。

したがって、

廃水を浄化処理する施設には必要性がある、と言えますが、

公共下水道事業については、都市部でも必要性がある、とまで言えるのか、あらためて考える必要があります。
 

水は、きれいにする必要があります。
では、
①下水道接続義務が生じる「下水」の水質とは?②「下水」でなくなるために、どの程度きれいにすればよいのでしょうか?

これらの疑問に答えるためには、いろいろな水の水質を知っておく必要があります。
​「水の浄化とは?(おいしい水?きれいな水?)」というページで、これらをご確認ください。

 環境問題全般について、全ての法律の上位的な法律は、環境基本法です。

したがって、各種の法律で、環境にかかわる規制をする場合、環境基本法の各条項に矛盾することはありません。

下水道法、浄化槽法、建築基準法、水質汚濁防止法、都市計画法など、どんな法律でも相互に関わる規定があれば、

その規定は、環境基本法の目的から外れることが無い仕組みになっています。

 

環境基本法は、環境を守るために、必要な国民共通の考え方を示し、行政の責任の範囲・施策の基本を定め、結果として、国民が健康かつ文化的な生活を送れることを目的にしています。

環境基本法は、読めば、当たり前のような内容です。(このページも至極当然のことを書いています。)

 

 上記理由は、法律は社会秩序を守る手段の一つですので、法律によって規定が異なると社会の混乱を招くからです。

おかしな法律規定があるとすれば、行政訴訟で確認するなど、司法判断を求める必要がありますが、

条文作成時の確認作業が厳格なため、そんな可能性は低く、運用・指導する行政側の間違いでは?と考えるべきです。

また、行政側が間違えると、影響は大きいため、司法判断を求めるのは三権分立が熟成した社会では当然といえます。

当然、全ての法律の間でも、規定する条文に矛盾が生じると社会の混乱を招きますので、整合性が取られています。

 

 ところで、どんな法律でも、その法律には目的があります。

環境基本法は、「環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進」することが目的です。

建築基準法は、「国民の生命、健康及び財産の保護を図」ることが目的です。

下水道法は、「下水道の整備を図」ることが目的です。

浄化槽法は、

「公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図」ることが目的です。

 

 建築基準法や下水道法は、目的の結果として環境保全につながる、というような規定が法律の条文に存在しますが、

浄化槽法だけは、「浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図」ること(=環境保全そのもの)が目的です。

繰り返しますが、

国土交通省が所管する建築基準法や下水道法は、環境保全が目的ではない、ということです。

 行政の業務(=事務処理)は、全て法律に基づいて執行されます

逆にいえば、法令がない場合、行政は事務処理する(許容性はあったとしても)必要性がないということになります。

※必要性と許容性、および禁止規定について、
必要性とは、必要が無いということですが、やってはダメというような禁止の意味はありません。
許容性とは、必要性は無いけれども、やっても良い、ということです。
禁止は、文字通りやってはダメなことです。
必要性も許容性も無いとは、全くの無駄という意味ですが、手続きが適法であれば許容され、適法です。
都市でもない地方で、しかも浄化槽が既に整備されている地域で計画される公共下水道事業は、
必要性も許容性も無い公共事業の代表例
です。
単純に、まったくの無駄になると当社が評価する“田舎の”公共下水道事業ですが、
無駄な費用の程度は、
①未浄化廃水がある単独浄化槽の商品代や取り換え工事費用、
②該当する地方公共団体が抱える他の執行できていないさまざまな事業費用、
③し尿・生活雑排水関連事業以外の人件費に重点を置いた各種事業(=各種政策)、
などに振り分け、実行することが可能な金額、
あるいは、
基本的には、公共下水道事業は、本来、利用料だけで運営されるべき事業ですので、
公共下水道事業の行政運営を法令順守に適正化するだけで、余剰金が相当出るはずです。

ただ、残念なことに、
全くの無駄な公共下水道事業計画を
①企画するのは、地方公共団体の担当部署
②承認するのは、地域住民
③事業計画に格上げするのは、地方公共団体
④事業の予算として承認議決するのは、地方公共団体の過半数の議員
ということですので、ほとんどの大人が関わっているということになります。
ここまでくると、総合的な整備計画に反映されますので、修正はかなり困難になります。

 

事務処理は、広範囲に市民が要望したり、行政が制度や体制を維持したりするため、

処理の範囲が年々増え、それに合わせて法令も増えました。

 
一般人にとっては、「こんな名前の法律、あるんだ。」という感じではないでしょうか。
 
 
事務処理する公務員の皆さんにとっても、業務が細部にわたる上、数年で部署の異動があるのですから大変です。
 
そんな状態ですから、事務処理のやり方は前例にならって、ということになると思いますが、
 
法律問題に直面した場合、行政のすべての業務は法令に従って処理される決まりですので、
 
日本全国の公務員の皆さんの立場では、法律的思考の全般について、解釈や理解の仕方も同じである必要があります
 
 
 市民の側では、何か疑問を感じるような行政の対応に遭遇した場合は、まずは、法令を確認する必要があります。
 
基本的に、法令は憲法に矛盾してはダメですし、条例や規則・要綱・内規は、法令に矛盾してはダメな仕組みです。
 
したがって、行政の担当者に、疑問を感じる対応をされた場合には、対応の根拠になる法令を確認した上で、
 
具体的に確認する内容は、
 
その法律ができた時代背景や理由(=規制しないとダメな事態が発生したため法律はできますので、その確認です)、
 
行政は、何を目的としているのか(=行政指導の根拠となる法律が、目的以外の要求を求めていないか)、
 
他の法律との整合性がとれているか(=他の法律の規定を満たすにもかかわらず、必要以上の要求をしていないか)、
 
行政の対応や説明は、法律規定に明文化されているか(=行政の説明が不文律になっていないか)、などです。

 暗黙の了解、暗黙のルールあるいは不文律(ふぶんりつ)、少し分類が異なりますが、常識という言葉もあります。

法律に関しては、上記の言葉とは反対のような言葉、明文あるいは明文化という言葉がよく使用されます。

日本語の文章で明確に規定することで、「言わなくてもわかるだろ!」「常識だろ!」が無いようにしているのです。

日本語が理解できる人ならば誰もが、同じ条文の内容を同じ意味として理解できなければ、社会が混乱します。

当然、法律の条文に明確に記載されている範囲に限って、行政は指導できる、ことになります。

また、その法律が成立した理由は、法を作る必要性があったわけですから、規制の内容には、必要性が問われます。

その法律の目的以上のことを国民に求めることがあってはなりませんので、その法律の目的も明確にしています。

さらに、昔の法律に従った国民に、後から成立した法律で、昔とは全く違った規制をすると、社会が混乱しますので、

必然的に、さかのぼって法律を適用しない(=不遡及)ということになります。

ただし、

過去には常識であったことが、現在では非常識になってしまった事柄や、

公共の福祉や税制の基本原則「公平・中立・簡素」の観点から制度を見直す必要性がある事柄について、

国会で法律が改正されたり、新しく法律が成立(立法)されたりするとすれば、

法律で、

違憲(憲法違反)がない範囲で、

実質的には、遡及するような規制の可能性はあるのかもしれません。

 下水道接続義務という問題で、一番の課題となるのは、建築基準法第31条1項および2項の解釈です。

建築確認申請に係る規定のため、

解釈が異なると、計り知れない大きな影響が出るのではないでしょうか。

そこで、突然ですが、3者択一の設問形式で、質問することにします。

※このページの最重要部分です。国語の読み取りと思って、何度か読み返してみてください。

 建築基準法31条の解釈が、重大問題であることが、よくご理解いただけると思います。

 なお、地方議員の皆さんは、この設問に正答できる必要があります。

なぜなら、

地方議員は、有権者を代表して、

行政の業務(すなわち全ての事務処理は、全て法律に基づいて執行されます。)を見守る立場ですので、

法律の正しい解釈ができないようでは、

仕事ができていない、と同じになるからです。

法律の条文は、以下の通りです。

 建築基準法
 
(目的)
 
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
 
(便所)
 
第三十一条 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第八号に規定する処理区域内においては、便所は、水洗便所(汚水管が下水道法第二条第三号に規定する公共下水道に連結されたものに限る。)以外の便所としてはならない。
 
2 便所から排出する汚物を下水道法第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流しようとする場合においては、屎し尿浄化槽(その構造が汚物処理性能(当該汚物を衛生上支障がないように処理するために屎し尿浄化槽に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

 上記の建築基準法第31条1項及び2項の解釈は、簡略して記載した場合、次の3つのどれが一番妥当でしょうか。

  • 1
    公共下水道の供用開始区域内で、便所は、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所にしなければならない。

    公共下水道の供用開始区域内で
    便所から排出する汚物を公共下水道以外に放流する場合は、浄化槽法に定義される浄化槽(工場生産の認定浄化槽もしくは構造基準に適合した現場施工の浄化槽のいずれか)を設置しなければならない。
  • 2
    公共下水道の供用開始区域内で、便所は、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所にしなければならない。
     
    公共下水道の供用開始区域外で
    便所から排出する汚物を公共下水道以外に放流する場合は、浄化槽法に定義される浄化槽(工場生産の認定浄化槽もしくは構造基準に適合した現場施工の浄化槽のいずれか)を設置しなければならない。
  • 公共下水道の供用開始区域内で、便所は、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所にしなければならない。
     
    どこでも
    便所から排出する汚物を公共下水道以外に放流する場合は、浄化槽法に定義される浄化槽(工場生産の認定浄化槽もしくは構造基準に適合した現場施工の浄化槽のいずれか)を設置しなければならない。

 法律には、不文律はありませんので、明文化していることが、何かを規制するための要件になります。

「区域内」という文字は記載されていますが、区域もしくはどこでもというような記載はどこにも見当たりません。

「区域内」と1項で記載されているのだから、2項は「書かれてなくてもわかるだろ」、「常識だろ」は、

法律では通じませんので、どの解釈が正しいのか、お判りいただけると思います。

正解は、回答1です以下、説明をさせていただきます。

 

31条1項で区域内の便所について規制をしています。

ただし、浄化槽法では、浄化槽の設置場所には制限を設けていませんので、

建築基準法(国民の生命、健康及び財産の保護を図ることが目的の法律)と、

浄化槽法(浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図ることが目的の法律)の法的整合性が必要になります。

したがって、1項を受けて2項では、区域内であったとしても、「公共下水道以外に放流する場合」の規制としては、

工場生産の認定浄化槽もしくは構造基準に適合した現場施工の浄化槽のいずれかを設置しなければならない

というように規制している、ということです。

工場生産の認定浄化槽もしくは構造基準に適合した現場施工の浄化槽、とは浄化槽法で定義される浄化槽のことです。

ややこしいですが、

環境省が所管する浄化槽法では、環境大臣ではなく国土交通大臣が、浄化槽の認定や構造基準を所管しています。

 

回答3も回答1と同じ意味になりますが、

1項を受けての2項ですので、

2項にも、1項と同じ前文があるものと推測するのが一般的ですので、不正解と考えられます。

 

回答2は、上記の理由から間違いです。

回答2が正解なら、区域外という文字を記載してしっかり明文化すべきですが、どこにも記載されていません。

先述のように、法律には、不文律はありませんので、明文化していることが、何かを規制するための要件になります。

1項で、「区域内」と明文化されている以上、

1項を受けて2項は、同じく「区域内で、便所から排出する汚物を・・・」としか読み取れないのです。

 

また、2項に区域外という文字を明文化しようとしても、次の理由で明文化できません。

万が一、区域外を法律規定として明文化した場合、

将来、下水道が整備されて区域内になってしまった場合、浄化槽が使えないということになってしまいます。

そもそも建築基準法の目的は、「国民の生命、健康及び財産の保護を図」ることを目的とする法律です。

しかし、環境保全を目的とする浄化槽法という法律の第2条1項1号では、

「便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水を処理し、公共下水道以外に放流するための設備又は施設」

と定義されている浄化槽を選択することが出来ない、

すなわち、下水道しか選択できない、

という事態になってしまいます。

つまり、浄化槽法という法律と整合性が取れない、あるいは浄化槽法という法律が否定されることになります。

言い換えると、

「公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図」ることを目的とする

浄化槽法という法律が、「国民の生命、健康及び財産の保護を図」ることを目的とする法律に否定される。

という事態です。

 

また、既に下水道の供用が開始されている区域で、区域内の土地に、あらたに浄化槽を設置することが、

建築基準法の目的である「国民の生命、健康及び財産の保護を図」ることに反するなら、その理由が必要です。

しかし、そんな理由が考えられるでしょうか。

 

加えて、下水道が整備された区域では浄化槽を設置させない規制をするためには、明文化された規定が必要です。

浄化槽法では、新しく定義された「公共浄化槽」は、下水道供用区域では事業展開できない規定になっていますが、

従来から浄化槽法で定義される「浄化槽」には、設置場所を制限する規定は存在しません。

浄化槽法上、浄化槽は、下水道計画区域でも供用開始区域でも、新たに設置して使用することが出来る設備です。

 

さらに、既に浄化槽が設置・使用されている状況で、所有者に浄化槽を撤去させて下水道に接続させる場合には、

所有物を撤去させる収用の必要性が問われるため、かなり厳格な規定が必要ですが、

そんな規定はありませんし、そもそも、冷静に考えてみて、

「国民の生命、健康及び財産の保護を図」ることが目的の法律に、そんな理由や必要性がが考えられるでしょうか。

※収用について

日本国憲法 第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

収用とは、憲法29条3項を根拠に、公共の利益・福祉のために必要性があるときは、個人の財産を正当な補償を支払うことによって取得することができる土地収用法に基づく制度です。

土地を収用し、又は使用することができる事業は、土地収用法第三条に細かく規定されています。

そもそも、浄化槽に限らず、所有権の付いた財産を所有者の費用で撤去させることは、

建築基準法の目的、「国民の生命、健康及び財産の保護を図」ることに大いに反してしまうのではないでしょうか。

 以上のように、建築基準法31条2項は、「便所」の前に、区域内という文言が省略されていると解釈すべきです。

しかし、建築確認申請の際の行政指導では、上記回答2の解釈を伝えることがあるようです。

 下水道法と建築基準法を所管するのは、国土交通省です。

ただし、国土交通省が下水道事業を推進しているわけではありません。事業主体は、地方公共団体です。

正確には、地方公共団体が、公共下水道事業を採用・実施する法律の義務はありませんが、

裁判の司法判断としても、浄化槽整備事業か公共下水道事業の選択権は、地方公共団体の裁量の範囲です。

(「裁判の事例」の項目で記載しますが、効率性を抜きにして公共事業を推進するのは、地方公共団体の裁量です。)

 また、市民に選挙で選ばれた議員や地方公共団体の長が、公共事業の執行について、議論や決裁に関わっています。

したがって、大変非効率な下水道事業を推進しているのは市民であり市民が住む地方公共団体ということになります。

ところが、建築基準法第31条第2項の解釈の仕方については、地方公共団体が国土交通省に確認しているはずです。

そうすると、国土交通省の建築基準法第31条第2項についての担当者の見解は、上記回答2ということでしょうか。

もしそうなら、指導的立場の国土交通省が率先して下水道事業を地方でも推進している、ということになります。

 

 また、建築確認を申請して許可を出してもらいたい申請者と、申請窓口職員との力関係が気になります。

個別に窓口で対応するような場合、専門性や申請者と許認可する側の力関係で、問題は表面化しにくいはずです。

建築基準法31条2項の誤った解釈は、地方での大規模公共下水道事業推進の温床のひとつではないでしょうか。

 廃水浄化処理の目的は、公共用水域の水質の保全ですので、下水道事業が全ての手段ではありません。

大規模で大変非効率な公共下水道事業ではなく浄化槽を設置するなど、自家処理を選択することもできます。

 

 法制度の下、法の支配においては、浄化槽法や水質汚濁防止法の排水規制に従う必要があり、

循環型社会を基礎とすれば、廃水浄化処理の基本的な考え方は、

単純に”下水道接続義務”を考えるのではなく、

”廃水浄化処理の原則は、都市部を除き、出した場所で浄化処理して、自然界へ戻してあげる”ということです。

いずれの考え方においても、答えは同じになるはずです。 

 今後、公営企業法の全部適用が進み、補填されている費用が利用料として、利用者に請求されるようになれば、

下水道事業の運営の実態に多くの方々が気付き、自家処理への変更が急激に増加することも想定されます。

そうなれば、下水道事業は今以上に最悪の運営状態になりかねません。

当事者の皆さんには、そんな異常な事態が容易に想定できるのではないでしょうか。

 

なお、下水道事業を重要な公共事業と評価する向きがありますが、実態としては、資材費にかかる割合が高く、

公共下水道事業に関わる方々への人件費としての還元率は高くはありません。

同じ費用で経済効果を上げる方法は、人に賃金として支給し、それがさらに市中で循環するようにすることです。

低所得者対策が課題になっている中、不必要な資材費に税金を使うよりも、人件費に税金は使われるべきです。

 

また、土木工事をすることによって、施設の将来的な維持管理や更新工事の費用を積み立てる必要がありますが、

人口が減少傾向にあるため、住宅や住人も減少傾向にあること、

廃水浄化方法について、廃水排出者が法律に基づいて自家処理することの選択権が残されていること、

などから、大規模公共事業は、将来の負の遺産になることはほぼ間違いないのではないでしょうか。

 

公共下水道事業は、一定地域だけの汚水を浄化処理する場合と比較して、汚水を集める面積が非常に広いため、

本当に必要な浄化処理をするための水槽本体の容積の割合に比べると、

配管や中継地などの設備の占める割合が高過ぎるため、維持管理や更新費用は当然のこととして高くなります。

さらに、全体として大規模事業になるため、ちょっとした事故で停止してしまっては困りますので、

終末処理場を含めた配管や中継地点などの施設の保守点検や修繕のための費用に保険を掛け過ぎているため、

その予算を無理やり執行する傾向が強いなど、非常に効率が悪い事業です。

 

地方において、いまでも計画中の下水道事業は、ほとんどが極めて非効率な事業になっていますので、

そこに接続する利用者を増やしたところで、経営状態が良くなることや利用単価が下がることもありません。

 地方公共団体の一部は、都市部でもない地方で、いまだに下水道事業を推進しています。

 
地方でも非効率的な下水道事業を推進している原因は、正しい現状把握ができていないため、と推測されます。
 
心当たりがある地方公共団体の皆さま、早期に、適正なセカンドオピニオンを実施されることをおすすめいたします。
 
当社は、正確なセカンドオピニオンを提供できる極めて少ない企業の1社であることを自負しております。
 
「極めて少ない」のは、正確な現状把握ができていれば、このような状況にはなっていないと考えられるからです。

 もし、正確な現状把握はできていた、ということであれば、

 
市民から集めた税金の使い方としてどうなのか、
 
市民の皆さんは、今まで以上にもっと厳しく行政を見守っていく必要がある、ということになります。
 
大変効率が悪い公共下水道事業を選択して推進するより、他に有効な公共事業があるのではないでしょうか。

このページに直接的には関係しませんが、関連する事項を記載します。

地域保健法という法律があります。

以下の条文により、増築などの場合、保健所が浄化槽の人槽確認をする場合があります。

第一条 この法律は、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定める・・・(以下省略)

第五条 保健所は、都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。

第六条 保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
四 住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項

第九条 第五条第一項に規定する地方公共団体の長は、その職権に属する第六条各号に掲げる事項に関する事務を保健所長に委任することができる。

 「下水道接続」、「下水道接続義務」、「下水道接続 浄化槽」というようなキーワードをネット検索すると、

間違った見解が上位に表示される異常な事態です。

当社のような、詳細な事実を記載したサイトが、上位表示され、早く国民共通の認識となることを切に願います。

 

 なお、廃水浄化事業の費用削減を検討される場合は、是非、セカンドオピニオンとして当社をご利用ください。

ほとんどの廃水処理施設について、費用削減のご提案ができるものと考えております。

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下水道接続、どうあるべきか?のページを公開しました。
2022/6/19
2022/7/7
下水道接続義務・浄化槽・事実は?のページをリニューアルしました。
2022/10/11
下水道とは?のページをリニューアルしました。
2022/10/31
廃水浄化・排水規制に関わる法律のページを公開しました。
2022/12/29
浄化槽とは?のページを公開しました。
2023/1/24
下水道の運営・監査・法令のページを公開しました。
2023/3/13
SDGs対応型浄化槽のページをリニューアルしました。
2023/3/17
公共下水道の現状把握のページを公開しました。
2023/4/4
三重県亀山市との取組のページを公開しました。
2023/6/21
浄化槽とは?のページを更新しました。

※下欄の「ウェブサイト目次」以外に
「お役立ち情報」には、今後掲載予定の項目など、
一覧を掲載しています。